賞金稼ぎと恋する混沌龍【13】
「ともかく、私とイリさんが、色々とにゃんにゃんな事しても、ちゃんと子供は産まれるでしょ?」
「表現がギリギリアウトな気もしますが、言いたい事だけは分かりました」
キイロさんは一応の納得を示した。
そもそも、混沌龍だって恋したいんだよ?
独りはやっぱり寂しい訳で。
そして、自分の子供を人間からもうける事だって可能だ。
その確たる証拠こそ、眼前のキイロさんだしね?
ドラゴンハーフのキイロさんこそ、人間とドラゴンが愛を育んだ末に生まれた合の子だ。
「私が人間のイリさんと結ばれたとしても、何の障害もないんじゃない?」
「別に種族間の問題を言ってる訳じゃないよ……まぁ、混沌龍が人間を好きになるってどうなの? ってのはあるから、ちょっと言いたくはなったんだけど……根本的な所はソコじゃないからね?」
「……じゃあ、何よ?」
私はムスッとした顔になった。
種族間の障害以外に問題があるのなら、他に何があると言うの?
「人の恋路を邪魔しないで欲しいんだけど……?」
キイロは私を思いきり睨み付けて来た。
……ああ、そう言う事か。
「そこはさ? まだ完全にキイロさんがイリさんの彼女って訳ではないんでしょ? 結婚はおろか、正式に付き合っている訳でもないんでしょ?……なら、私にだってチャンスがあると思うんだけど?」
私は不適に笑って答えた。
だって、そうなるでしょ?
ポイントとなるのは、イリさんの意思だよね?
イリさんがキイロさんを好きになって、キイロさんも好きだから、お互いに付き合いましょう。
これでお付き合いが成立する。
だけど、今の状態はさ?
キイロさんはイリさんが好き。
……でも、イリさんは微妙。
つまり、これはただの片想いに過ぎない訳で。
言うなれば、今の私だって似た様な物だし、頑張り次第では私がイリさんのハートをゲットする事だって出来るかも知れない。
「……はぁ」
キイロさんは溜め息を吐く。
それも、力一杯……これでもかと言わんばかりだ。
「一つ言いたいんだけどさ……それ、略奪愛って言うんだよ」
「……略奪? 盗んではいないでしょ?」
今のキイロさんは、まだイリさんの心を奪ってはいないのだから。
「……ふ」
キイロさんは不敵に笑った。
そこから、完全な喧嘩腰になって私へと答えた。
「良いでしょう……つまり、私に対しての宣戦布告って事だよね?」
「特に争うつもりはないけど……そうねぇ? イリさんと私の邪魔をするのであれば、そうなるのかな?」
私とキイロさんの二人に激しい火花が舞った。
「邪魔してしてるのはヒャッカさん……貴女の方だって言う事を、しっかりと教えてあげる」
「それはどうやって? まさか、私がいる前でイリさんを誘惑して……」
「そ、そんな事やったら、R18指定にしないと行けなくなるでしょ! それに、そう言う肉体的な面を見せても、きっとヒャッカさんは納得しないと思うし」
そこまでキイロさんは言うと、自信をアリアリと見せながらビシィッ! と、私を指してから断言してみせます。
「上部だけの恋なんかじゃない……心からの愛と言う物を、ヒャッカさん……あなたに見せて上げる!」
「へぇ……どんな物か楽しみだね」
鼻からふんすふんすと、興奮した牛みたいな鼻息を荒くして言い放つキイロさん。
一体、私に何を見せる気なのか?
それは、今の私には分からない。
だけど……ううん。
だからこそ、私はとても気になった。
……仕方ないなぁ。
そこで、私は素直に自分の布団へと戻った。
キイロさんが何をしたいのかなんて分からない。
……なら、それを確かめてみたいじゃない?
「お休みなさい、キイロさん? 良く分からないけど、貴女のやりたい事とやらに興味を持ったから、今日の所は素直に寝る事にするよ」
今日の所は……だけどね?
「……本当に寝るの?」
キイロさんは、明らかな懐疑の目を私に向けて来た。
……信用ないなぁ。
「大丈夫。今日の所は、イリさんと良い関係を構築する思い出作りよりも、キイロのさんのやりたい事を優先するから……じゃ、おやすみ~」
言って、私は目を閉じた。
……さて。
明日のキイロさんの行動に着目しましょうかね。
■キイロ■
苛立ちと焦燥感と悔しさが入り混じって、正直まともに寝る事が出来なかった。
その隣で、すぅすぅとアッサリ眠ってしまったヒャッカさんのふてぶてしさを分けて欲しい程だ。
……と言うか、本当に眠ったのか。
てっきり、また狸寝入りをするのかと思ったんだけど……杞憂だった模様だ。
……全く。
「……はぁ」
私は溜め息を漏らす。
今日は、これで何回目だろう?
すっかり溜め息が似合う女になってしまった。
……うぅ。
なんでこんな事になるんだよぉ……。




