賞金稼ぎと恋する混沌龍【12】
……その後。
「もう、キイロさんが何を言っても聞きませんし? てか、やっぱりキイロさんの一人相撲にしか感じないですし? イリさんはやっぱりフリー寄りの人みたいだから、ヒャッカさんが頑張っても大丈夫って事で決まりですよねぇ~!」
再三、キイロがヒャッカへと説得を試みるのだが、全てがなしのつぶてに終わってしまい、
「そんな訳で、しばらくは私もここにいるんで、よろしくねっ!」
最後は、完全に居座るつもりでいた。
「……くぅ……なんて聞き分けのない、押し掛けドラゴンなの……」
キイロはぐぬぬぬっ! と歯噛みする形でうなり声を上げていた。
他方、イリは思う。
お前が言うなよ……と。
ここまで物語を読んで下さった方であるのなら分かるだろうが、キイロもキイロで押し掛けよろしく状態のまま、この家に居着いてしまった。
簡素に言うのなら、やってる事はヒャッカとなんら変わりないのである。
正直、口に出して言いたい所だが、これ以上の火炎放射を浴びたら、流石に身体がもたない。
思ったイリは敢えて、胸中でのみぼやくだけにした。
……かくして。
「絶対の絶対に追い出してやるんだからっ!」
背中から虎のオーラを出して『ガルルルッ!』とかってやってたキイロと、
「その権利がキイロさんにあるとは思えないけど?……まぁ、やれるものならやってごらんなさいよ」
やっぱり似た様な感じで背中から龍のオーラを出して『シャギャァァァッ!』とかやってたヒャッカの二人が、不毛ないがみ合いをしつつ……その日の夜は更けて行くのだった。
■ヒャッカ■
はぁ~い、皆さんごきげんよう!
知ってる人は知っているけど、知らない人はみかん本編を見てねと言いたくなる、美人でキュートでスタイル抜群な混沌龍のヒャッカさんが、イリさんに夜のラブアタックを掛けに行こうかな~って、思っております!
いやぁ……最初はねぇ?
本当に、どうしようかなって思ったんだよ、私もねぇ?
けどねぇ?
やっぱりねぇ?
イリさん、良い男だし。
こうぅ……感じる物があったんだよ。
リダさんが、私に写真を見せてくれた時、私は運命って言う物を感じた!
来た! 来たよ!
これこそ、私が待ち望んでいた、運命の想い人!
カグとカサブの二人がくっついてから……もうね、私の居場所がないと言うか……妙に居ずらいと言うかねぇ。
それ以上に人恋しい気持ちが芽生えてしまった私がいる。
やっぱり、弟まで彼女出来ちゃって……なのに、姉の私はボッチな独り身な訳じゃない?
凄く寂しい訳じゃない!
そんな所にやって来たリダさんの写真。
もうね……寂しさで荒んでいた私の心を一瞬で癒してくれたよ!
はぁう……何て事でしょう……。
こんな身近に、ここまでの出会いが存在しているなんて。
きっと、これも神様の思し召し……おお、神よ! あなたは素晴らしい!
……って、事で!
「いざ、ゆかん」
私はキリッとした顔のまま、ゆっくりと寝息を立てているイリさんの元へと向かおうとした。
ふふふ……イリさぁん。
今すぐ、貴方のヒャッカちゃんが、行きますから~♪
がしぃっ!
ルンルン気分でイリさんの元へと向かおうとした瞬間、私の腕をがっちりと掴む存在がいました。
……む?
「何をしようとしてるのかな?」
そうと言っていたのはキイロさんだ。
彼女は、今にもナイフで私のお腹を刺すんじゃないかって言う程の、おどろおどろしいオーラを迸らせつつも、私を凝視していた。
やばい、目がマジだ……。
こんな目をするイタイ人、初めて見たかも知れない。
「ど、どうしたのキイロさん? 今のあなたは、誰がどう見ても立派なドキュンさんだよ?」
「ドキュンさんって……そこまで酷い言われ方をするとは思わなかったよ」
うぅむぅ……。
そうか、流石にドキュンさんは少し言い過ぎだったかも知れない。
「ごめんなさいね。最近の若い子はDQNなんて酷い単語を使わないよね? 私、古い人間だから」
テヘペロ状態で謝る私がいた時、
「古い人間とか言う以前に、人間じゃないでしょ、ヒャッカさんは」
キイロさんは、見事に正論をねじ込んで来た。
……だけど、その言葉はブーメランだと思うんだけど……?
「そう言うキイロさんも、人間じゃないよね?」
「私はれっきとした人間です。半分だけど、ちゃんとした人間です。だから、イリと結ばれても子供が出来ます」
……いや、ちょっと?
「その言い方だと、私はイリさんと合体しても子供が出来ないみたいな言い方じゃない?」
「ちょっ! その発言は危険です! 一応、ここR15なんですから!」
キイロさんは、珍妙な気の遣い方をしていた。




