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こうして私は無双する・イリVer  作者: まるたん
編末・オマケ短編
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賞金稼ぎと恋する混沌龍【7】

 どんな相手であっても、必ず良い所と悪い所がある。

 簡単に言えば、相手の悪い所ばかり言い合う事になってしまったのなら、もうそれは恋愛は成立しないんじゃないか……って、私は思う。


 だってそうじゃない?


 相手の悪い所ばかり気になるのなら……もう、それは恋も愛もないよね?

 他にあるとするのなら……なんだろう? 義理かな?


 彼氏・彼女と呼べる様になれそうな相手がいないから『妥協して』相手と付き合っているだけ。


 そんなの、もう恋愛とは呼べないんじゃないかって思う。

 もちろん、私は嫌だ。


 だから、悪い所もあるかも知れないけど、良い所だって見るべきだって、私は思う訳だよ。

 もちろん、良い部分より悪い部分の方が多すぎて……一緒にいるのが苦痛であるのなら、それはそれでお互いの為に別れても良いと思う。

 どっちがどう思うかは別として……破局は決して悪い事ばかりではないと思うから。


 新しい自分のスタートラインでもあると思う。


 ……って、そうなんだけど、そうじゃなかった!


 わ、私は、まだイリと別れる気はない!

 そもそも、こんな喧嘩は茶飯事だ。

 

 冷静に考えると、私とイリの関係って仲が良いのか悪いのか、自分でも良く分からない時がある。


 その位、良く喧嘩している。


 主に、喧嘩の原因はイリが他の女に声を掛けたりする事が多いんだけどねぇ……。

 逆に言うのなら、それ以外で喧嘩した事なんてないんじゃないかな?……って、思う。


 妙に浮気性である事を抜かせば、イリはとても思いやりのある素敵な男性だ。

 正確に言うと、半分は女性なんだけど……ここはねぇ。

 根本的に男でいる事の方が多いし、イリもイリで自分の基本性別は男性だと思っているから、私もイリは男として見る事が多い。


 だからこそ、恋愛対象として成立している訳なんだけどさ?


 ともかく、私として言うのなら、イリは浮気癖さえ無ければ理想に近い。

 私が寂しそうにしてれば、ちゃんと気を遣ってくれる。

 嫌な事があったら、親身になって相談に乗ってくれる。

 しっかりと、私の事を気にしてくれている。


 何より、一緒にいるとホッとする。


 ここが一番大きい。

 

 ……そう。


 イリと一緒にいる時が、一番心が安らぐんだ。


 例えばね?

 仲の良い知り合いと、一緒にカフェでお茶を飲んだとしよう?


 それはそれで楽しいし、他愛のないおしゃべりとかして盛り上がる時もあるから、もちろん私としては幸せな時間ではある。


 ……あるんだけど。


 そこにイリがいないと分かった時……ちょっと物足りない何かを感じてしまう。

 イリがここにいたら、どんな話をしてくるかな?

 ……なんて、無意識に考えてしまう。

 楽しい時間ではあるんだけど、やっぱり何か欠けている気がして仕方ない。 

 

 そして、極め付けは……その後だ。


 知り合いとお茶飲んで、自宅に帰った時……イリが仕事で家にいない時、一人寂しく部屋のテーブル前に座る。


 然して広くもない部屋が、なんだかとっても広く感じる。

 この瞬間が……私にとって、一番『寂しい』を感じてしまう瞬間だった。


 酷いと、寂しさの想いが強く込み上げて来て、瞳からしたたり落ちてしまう時すらある。


 バカだな……何やってるんだ、私は……。

 そうは思っても、心は素直に寂しさを感じてしまう。

 身体はもっと素直で、こぼしたくもない涙を流してしまう。


 イリがいない。

 目の前にいない。


 たったこれだけの事で、私は無限回廊の中に閉じ込められたかの様に、侘しさのループを味わう事が出来た。


 ……はは。


 本当、バカだね……私。


 こんな私に誰がした?


 ………。


 ……私だよ、バカ過ぎる。


 結局やっぱり、私はどうしてもイリを求めてしまう。

 イリがいるだけで、やっぱり安心してしまう。


 夕飯の支度をするのに買い物して、自宅に帰って来た時。


『ただいま~』


 ……って、私が言えば、


『ああ、おかえり』


 そうと、イリが声を返してくれる。


 これだけで良い。

 私は、これで十分幸せだ。


 やってる事は、本当に些細な事。

 言う程、スゴい事なんか欠片かけらだって存在しない些末な事。


 けれど……私にとって、どんな宝物よりも貴重で、絶対に無くしたくない大切な物。


 イリと一緒にいれる……これだけで、平凡だけど特別な時間が生まれる。

 一緒にいるだけで、価値がある。

 

「……はぁ」


 私は、そこで重い重い吐息を口から思いきり吐き出した。


 そんな私がいた場所は自宅だ。

 正確には、イリの自宅なんだけど……もう、私の自宅でもある。


 ちゃんと、住民登録もしたのさ!


 これで私もれっきとしたニイガ市民。

 そして、イリの自宅をちゃんと自分の家と言える存在に!


 ……って、そんな事はどうでも良かった。


 ともかく、私にとっも自宅に当たる部屋で、見慣れたテーブルに頬杖をついて溜め息を吐き出していた。

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