第7話「そういえば荷物。計画転生とか言う名の恥晒し」
異世界に転生し、新しく可愛らしい友人を得た俺。
家に着いた頃にはすっかり遅くなっていた。
「お帰りゴールド。ずいぶん楽しそうね?何かあったの?」
俺の母親?らしい美女が聞いてくる。
「母様。お友達が出来ました。あと父様は?」
憧れの貴族風呼びをしつつ聞く。
「お父さんは村の警備よ。忘れちゃった?それとも難しい?お仕事よ」
まだガキだから呆れられても仕方無いか、そもそも忘れたと言うか知らんわ、と心の中でツッコミをいれつつ適当に返事をする。
さっそく部屋に戻った俺は確認をする。
まず部屋に置かれた本をみる。
ミルも本を持っていたしこの世界では本はそこまで貴重ではないようだ。
それこそ貴族しか手の出せない代物だったり図書館に厳重に保管されているイメージだったが。
初級魔法、ガルネク冒険譚、鬼の童話。
後半二つは興味を引かれないので取り敢えず初級魔法の本を読む。
ファイア、サンダー、アクア、ウィンド、アース。
どれもいかにも初級らしい魔法が並ぶ。
「えーっと詠唱詠唱。火よ宿れ。我が魔力に、ファイア。ってあってんのかな?そもそも使えんのか?」
その瞬間手のひらに小さな火が灯る。
「えっ……もしかして使えた?俺天才スギィ!!マジで女神様に感謝!!!」
んっ?女神?何か忘れていた事に気づく。
「俺の荷物何処だあの糞女神!!!!てか計画転生とは??完全に騙されてるじゃん!!!これじゃただの転生じゃねぇかよ!!!」
こうして模範的テンプレ転生物語は始まるのであった。
「はぁ……なんてこった。じーざすだよ」
料理無双、お楽しみのコーラ、エアガン。どれも楽しみにしていただけあって絶望の色は深かった。
「しゃあないね。なら魔法だよ!ファンタジーなんだ!!てかもうファイア使えるんだしこの調子ならいけんじゃね?」
ファイアと唱える
使えない。もう一度唱える……あれ?使えない。
「はっ?……なんで?……あっそうか、詠唱!!火よ宿れ我が魔力に!!ファイア!」
ボゥ!!少し強めの火が吹き出す。火力は3歳レベルだが。
どうやら詠唱は必要なようだ。
才能か修練不足か?まぁ後者なら問題ない。それと他の属性な魔法も試さないと。
ウォーター、ウィンド、サンダー、アースと次々と初級魔法を唱えていく俺。
各属性の魔法の詠唱を唱えて魔法を使う。
使えた。どうやら才能はあるようだ。元の肉体じゃないしね。
こうして初日で初級魔法をマスターするのであった。