第6話「村の少女と魔法の本」
「さーて。まずは探検するかぁ」
俺はまず村を歩き回る。
規模は多分100人程度の村の様だ、根拠は無いが多分そうに違いない。
後日修正されるかもしれないが、今の俺には預かり知らぬ所である。
そこそこ広く、魔物避けっぽい壁と一応門番もいる。
「まずは情報収集も兼ねて、友達でも作るか?」
門番曰く村の外は結界が無いので危険らしく護衛付の行商人か腕に自信がある村の用心棒位しか出ないらしい。
勿論村に獣の肉を持ち込む、狩人なんて役割があったりする。
彼等は村でもあらゆる意味で力を持つ、村に貴重な肉や毛皮なんかを持ってきてくれるから当たり前か。
そしてもれなく三歳の子供は勿論出られない。
(まぁ元は24歳なんだが、今の体じゃ戦闘力はゴミカスだし仕方ないか……)
そうして村を散策しながら周りを見渡すと、ふと広場に1人の少女に目が行く。
他の子供と違い、一人だ。
「ねぇ。君1人なの?」
他の子供達は元気に駆け回っているがこの少女は1人本を読んでいた。
他の子供の遊びに混ぜて貰うよりもこの子の様な大人しい子の方が話し掛けやすいし。
「えっ……うっ、うん…………」
茶髪の短髪の少女は頷く。
その恥ずかしながらもやや嬉しそうな表情に親近感を覚える。
「僕はゴールド。君は?皆と遊ばないの?」
友達作りの為に質問をする。
作るなら美少女だろう。
「えと……私はミルって言うの。運動は得意じゃないし、私は本が好きだから……。」
ミルは悲しそうな様子だ。
きっと誰かと子供らしく遊んでいたいのだろう。
「へー。僕も本は嫌いじゃないよ。なに読んでるの?」
友達を作るには共通の話題趣味だ。
本は(主に漫画)は好きなので嘘では無い。
「魔法の本……簡単なやつなんだけど」
……魔法?ミルが気になるワードを発したので、テンションが低そうなミルに構わず俺は質問をする。
「えっ!!本当に!!良かったら僕にも見せてくれないかな!?」
興奮の余り質問攻めになっているのに俺は気づかない。
それほど俺にとっては重要な事だ、異世界と言ったら魔法に限るからね!?。
「あっ……あの…いいよ?。君、私と同じで本が好きなんだ?」
本のタイトルは魔導の書「生活に役立つ初歩魔法」だ。
この本もまた理由がわからないが読めるので読み進めてみたが全属性の初歩の魔法が載っていた。
魔法とはいえ初歩なので生活に使える程度の魔法だ。
攻撃や、回復魔法は無かった、贅沢は言えないが確かな収穫と言える。
「ありがとう。僕も魔法使ってみたいなぁ。ところでミルは魔法は使えるの?」
取り敢えず本をミルに返す、後で貸して貰おうかな?。
「……うーん。私も使いたいけどわかんないや。お母さんも使えるのは凄い人って言ってたよ?」
ミルはそう答える。
そりゃ魔物狩りとか、干ばつの際に役に立ちそうだから頼りにされるだろうな。
若者が魔法とか使えたらギルドで冒険者を目指して村からさっさと出ていきそうだし。
「そのさ……良かったら友達になろうよ!」
さっそく目的を果たす。そら幼女の幼なじみとか我々の業界ではご褒美ですしね。
「あっ……うん!!改めまして私はミル!!これからよろしくね!家はあそこだよ!」
ミルは嬉しそうだ。俺も嬉しいわ。女の子の友達とか人生で初めてだしね。
「僕の家はあそこだよ。これからよろしくね!」
ファーストミッションの成功に満足した俺は誇らしげに帰路に着くのであった。