第5話「フラグブレイカー。勿論悪い意味で」
「…………うん?」
俺は目を覚ます。
見慣れない天井に家のベッドだ。
「異世界は!!?ここは!?夢じゃないよね!!?」
夢の確認方法は至ってはシンプル、頬をつねる俺。
これは夢じゃない……本来ならそこに行き着くのだがそんな事は些細であると思う程の衝撃が体に走る。
「えっ。俺の手ってこんなに小さかったっけ?」
異世界仕様に変わった自分の肉体に気づくのだった。
「マイクテスマイクテス。まずは状況確認」
自分を落ち着かせるために状況を確認する。
「異世界には着いたが肉体には恐らく3~4歳になってる。家は木造で本が置いてある事からある程度裕福な家庭かな?何故か字は読める。恐らく肉体が違うからか?」
「てか元の肉体でチートハーレム無双したかったんだが……まぁ何にもなしの状況で放り出されなかっただけいいのか?まぁ面倒な下地を整える作業が無いのは楽だしいいか」
不審者扱いを受けずに済む事に胸を撫で下ろし、確認が終わった所で移動を開始する。
本来なら臆するが家の住人だと思うのが妥当だし恐らく家族がいるだろうから確認したいのだ。
特に妹がいるかどうかと、村か都市等の情報も確認しておきたい。
もしかしたら爵位が低くともスタートから貴族かもだしねー。
「誰かいませんかー?」
家の廊下で声を出す、メイドさんがすぐに来てくれない。
ここは恐らく二階部分だろう。
だが広いわけでも無いので残念ながら貴族ではなく一般家庭だろう。
「どうしたの?ゴールド?」
純白の長髪の美女がこちらにきて訪ねる。
俺はえっ?俺の名前?と思いつつも返事に詰まる。
母なのか姉なのかそもそも家族なのかまさか貴女は誰?そんな事を聞くわけにもいかない。
「今何時ですかね?」
お天気と同じぐらいの無難な話題を出すのだった。
「陽刻の8時よ?それよりも朝ごはんが出来てるから一階に降りてきて。もうお父さんも来ているんだから」
見知らぬ美女はそう告げる。
多分姉か母親、親戚辺りだな。
そんな事を思いつつも一階に降りる。
そこには美女と黒髪の成人男性が1人いた。
残念ながら念願の妹は見当たらない。
「おぅ、ゴールドか。おはよう」
成人男性が声を掛けてくる、恐らく俺の名前であろうな。
いきなり父様とか呼ぶか?そんな事を考えるが勇気がでないので、先程と同じく無難返事をしなくては。
「おはようございます。いい朝ですね」
下手に喋ってもボロが出るので無難に返事をする。
「ふふっ!ゴールドたらっ。そうね。いい朝ね。まだ三歳なのに礼儀正しい息子に育って嬉しいわ」
俺はこの会話から一瞬で父親、母親、息子の関係であると気づく。
「だな。やっぱり俺の血を引いてるだけあるぜ。飯が冷める前に食べるか」
直ぐ様父親から答え合わせがあったのでどうやら間違い無さそうだ。
こうして恐らくはいつも通りであろう一家の団欒が始まる。