第49話「決勝戦Aランクパーティー『龍剣の刃』」
「ほっほっほ。後は決勝だけか。たのんだぞ。」
ミッシェルは上機嫌だ。龍剣の刃も同様だ。対戦相手は見ることは出来ていない。だがここまで無傷で来ている。次も大丈夫だ。流石に王者戦は勝つのは厳しい。だが勝てなくて良いのだ。
「任せて下さい。ミッシェル様。私達はAランクパーティーですからね。」
リーダーのマークナーは自信に満ち溢れている。
「うん。勝とう。必ず。」
自身の怪我で大金をパーティーに使わせてしまったミトは覚悟を決めている。それをルドーは黙って見つめている。
「はぁー。疲れた。」
「もぅ。まだ決勝と王者戦があるのよ?それに控え室にずっといなきゃいけないわけではないのだから歩いてきたら?」
その言葉に首を振る。疲れた。横になろぅ。10分程時間が過ぎる。
「戦闘狂様。お時間です。決勝戦となります!」
遂にか。この戦い勝つ必要がある。必ずだ。
「さーて闘技場のお祭りもいよいよ決勝戦!!まずは『戦闘狂』!!!」
わぁぁぁぁあ!!!!歓声が大きいね。 はい、終わり。
「対するは今大会優勝候補筆頭!!!!Aランクパーティー『龍剣の刃』!!!!」
わぁぁぁぁあ!!!!歓声がそろそろうるさく感じてきた、、、。
「勝負開始!!!!!!」
相手は剣士1盾持ち1魔法使い1か。武器で判別しやすいのはいいことだな。
「俺があの女を抑える!!お前達はあのガキをさっさと仕留めろ!!!」
盾持ちの男ルドーが叫ぶ。剣士のマークナーと魔法使いのミトがゴールドへ接近する。
だがゴールドも自分が狙われやすいのを理解しているためか行動は早い。
「魔卿土来!!!」「静寂を。サイレス。」
いつもの陽動ではなく周囲に壁を作り上げる。魔法はお馴染みのコンビだ。今回は籠城戦だ。二対一で尚且つ魔法使いがいるので隙をつくことも詠唱をすることも難しい。故の籠城。だが籠城は破られると相場で決まっているゴールドは次の策に出るのだった。
「撃ち抜け風の咆哮!!ウィンドブラスト!!!」
ミトの風属性中級魔法が土の一夜城に突き刺さる。だが一部を粉砕するに終わる。
「っ!!!硬い!!さらに言えば何層にも固められています!!」
「だが詠唱は聴こえなかったし魔剣技もつかってなかったが?」
当然の疑問をマークナーが聞く。
「恐らくはサイレスでしょう。あれ初歩魔法ですし、隠密も出来ない未熟者の使う魔法の筈なんですが、、、」
もともとサイレスは音を出しにくくする魔法だ。初心者がうっかり小枝を踏む。といったありがちなミスを防ぐ為の物だ、こんなふざけた使い方をするものはいない。
本来奇襲を除けば詠唱は魔法使いの華。それを聴こえないようにするなどプライドの高い者が多い魔法使いには発想すらない。あくまで勝てばよい。何もさせずに勝てれば尚良い。そんなプライドの欠片も持っていないゴールドだから出来る、、いや。思い付く事だ。やろうと思えばサイレスからの小声詠唱などAランクの魔法使いのミトには簡単に出来る。
「それを躊躇なくやるなんて、、、魔剣技を使える程の才能がありながら。」
ミトは素直に感心した。己もまだ慢心しているのだと。そんなミトにマークナーは毒を吐く。
「で?同職の魔法使い様は攻略法は思い付いたんで?」
「うっ、、かなり厳しいですね。あの壁は周囲に展開されて上から様子を見るのも厳しい。いや飛び込めばいけますが完全に罠でしょう?更には先程も言いましたが壁は何層にも固められて突破は厳しい。しかも中々硬いです。」ミトは悔しそうに呟く。
「ならどうすんだよ!?ルドーの方に行ってあの女を仕留めるか?」
マークナーにしては以外な良案だ。それにミトは驚くがすぐに否定する。
「ここにあの少年を残すのは反対です。わざとらしく上に空洞を作ったのもここからいつでも出てきてこれますよって言いたいらしいですし。ルドーは細かい動きが出来ません。私の魔法が当たってしまっては意味が無いですしマークナーがいると戦いについてこれません。盾持ちは相手の攻撃を待つものですから打ち合いに混ざれないと置物ですよ?だったら最初からマークナーが相手をすればいいです。」
これまでに無い正論でマークナーは嫌な顔をする。
「じゃあどうすんた?俺の龍剣のマグナオーグで焼き尽くすとか?」
「えぇ。その通りです。マークナー。私の火属性中級魔法と貴方の龍剣マグナオーグで上の空洞に火をぶちこみましょう。」
ミトは作戦を決める。マークナーも異論は無い。基本的に力押しが効かない相手はミトの作戦だよりなので素直に首肯く。
「焼き尽くせ!!!龍翔炎!!!」
「上空より降り注げ!!インゴットフレイム!!!」
二人の豪炎が降り注ぐ。
「剣魔一体!!魔卿水壁!!」
「打ち放て水流!!敵を妨げよ!!!ウォータースプラッシュ!!」
ゴールドにしてみれば狙いが明らかなので防ぐのは容易い。あっさりと豪炎をかき消す。
ミトは驚愕を隠す事が出来ない。
「ばっ!馬鹿な!!魔剣技と中級魔法の同時使用!!?そんなのAランクの私ですら聞いたことも無いですよ!!!」
種さえ分れば不可能という訳では無いがミトには気付くことが出来ない。
そんなミトの興奮っぷりが判るのだろう。マークナーは呆れる。
「こりゃ本格的にルドーの所に行くか?」
「それはないですよ!!!あの空洞から魔法をぶち込まれたいんですか?」
「じゃあ正面突破しか無いだろ?」
「うぐ、、、でも、、、」
そんな相談をしていると足元から水が滴っているのに気付く。
「???。なんだ?さっきのガキの魔法のこぼれた水か?」
「違いますよ。恐らくはあの防壁から染みでてます。恐らくは雷魔法を封じにきたのでは?万一感電したら大惨事ですし。」
「おいおいおい。あの土の防壁に雷魔法うつ馬鹿が何処にいるんだよ。魔法で出来た土の防壁は雷魔法に耐性があるんだぜ?それとも相手はこっちの特上級雷魔法でも警戒してんのか?撃てねぇよ。ん?、、、って防壁の下、隙間が出来てねぇか?さっきと違って。」
「は?それが一体なんだと、、、しまった!!逃げてく、、」
「這え雷よ。巡れめぐりめぐって。ジャミングサンダー。」
ゴールドはサイレスで聴こえないように詠唱する。雷中級魔法だ。
「ぐわぁぁぁぁあ!!!」
「きゃあああああぁ!!!」
二人は滴っていた水を伝わり感電する。いくらAランクであろうと人間なのだ。強い雷耐性持ちのマジックアイテムでも無ければ意味が無いのだ。二人の装備は残念ながらある程度だ。
こうして二人は崩れ落ちる。ここに一つの戦いが決着する。




