第4話「アニメ見終わったしそろそろ異世界に行く」
結局やることもなく荷物を整理し終わってゲームやアニメで時間をつぶす。
掲示板に俺異世界に行くわ。
そんな書き込みをしたかったがやはり万一を考えると気が進まなかった。
それに続報が書き込めないので時間の無駄だし。
……そんなこんなで約束の朝を迎える。
「えーっと確かオーブを……どうすんの?」
連絡しろとは言われたが方法は聞いてない。
神経質な俺は途方に暮れてしまった。
「おーい。女神さーんお願いしまーす!」
呼び掛けてみる。
…………あれ?、反応が無い……。
「いやいやいや。杖持ってたし消えたのだってみたんだ。それに給料も使い切ったんだぞ!!?
割と洒落にならないんだが……」
そんな事を天井に向かって吐露していると…………。
「あらっ、早いわね。もう準備とやらはいいの?」
俺の部屋には誰も居ない筈なのにーーーふと、横から声がした。
「ひっ!!」
突然の呼び掛けに思わず驚く。
不意に来られるとびっくりするわ!!普通はなんかよく分からない光に包まれて出てくる物でしょ!?。
「呼び掛けたのはあなたなのにね?変な人間」
自称女神は不思議そうに首を傾げる。
目の前の美女に照れながらも自分を落ち着かせる。
「準備終わりました。荷物もまとめ終わりました。持っていけますよね?」
さすがに聞いておかなければならないので咄嗟に質問する俺、一番重要な事だし。
「別に構わないけど。駄目なら何の為の準備期間なの?」
自称女神はあっさり答える……そして俺は心の中で歓喜する。
「言語は?魔法は?チート能力は?設定は?貴族ですか!それとも伝説の勇者の末裔とか!!!!!!」
命及び今後の異世界ライフに関わるので自称女神の事も気にせずに質問をする。
「説明面倒だし、お楽しみって事で。まぁ悪いようにはしないわ」
自称女神は鬱陶しそうに答える。
いけない、いけない……落ち着け俺よ。
「なっ、成程。楽しみにしてますね!異世界転生!!」
本来ならそれこそ質問攻めにしたいのだが機嫌を損ねる事がどれ程危険な事か分かっているつもりなのでこれ以上は聞かないことにする。
悪いようにはしないらしいし。
「じゃあ早速お楽しみの異世界に行こうかしら」
自称女神は答える。
「えっ!?まさか一緒に来てくれるんですか?」
思わず聞く俺、確か大人気異世界アニメもそんな設定があったな、使えない女神だったけど。
眼前の女神は有能そうだから心配無さそうだけど。
「いやよ。なんで私が?……異世界に行くなら貴方一人で行ってらっしゃい」
あっさりと答える自称女神は魔方陣のようなものを展開し呪文を唱え始める。
俺には何をやっているのかさっぱりだが、これからの異世界ライフを思うと期待が高まるのを肌で感じる。
『存分に道草を楽しみなさい?それも私の楽しみなのだから……』
次の瞬間ーーーー走馬灯すら感じる事もなく、意識が薄れるのを感じるのだった。