第384話「ああっ!女神様。」
「すみませーん、失礼します。」
「失礼します。」
こうなったら虎の穴……なんとかだっての!女神アルテミタの事を調べてしまおう!。
後で分からなかった虎なんとかは調べておこう、俺って異世界でも積極的に日本の持ち込み品使いこなせてるな。
よく異世界転生の設定いる?全然主人公が前世の知識とか役立てて無いじゃんとツッコミが入っているのを見掛けるが、俺は違う。
貴族の用語等も分からない場合はすぐ調べるし、ネットサーフィンやソシャゲで暇な時間を潰す。
スマホ使いのゴールドだ!……ってただのスマホ中毒ですよね、はい。
それにスマホのフラッシュで敵の隙を作り出すとかやってないし、俺物語にはあんまり絡んでないな。
……いやっ!確かオークの軍勢を撮影して敵戦力の割り出しに役立ってたよね?。
その当時俺の言葉には信憑性が低かったので大いに役立ったと言える筈だ。
スマホを異世界で活かすのは基本的に難しい、何故なら武器では無いのでどうしても活躍の場面が限られるからだ。
フラッシュで敵の隙を作り出すとか写真で何かを証明したり、貴族のお見合い写真や風景、当時の姿を残すとか使い道は多いがそれは俺の使い道では無いでしょ?。
俺は主にスレ用素材と、思い出の風景や仲間を写真に写したりする位しか思い付かない。
それにやたらと見せびらかすと危険だからな。
実力で追い返せればいいが、偉かったりスラムのスリだったりすると即アウトに繋がりかねない。
「おいっ!ゴールド、聞いてんのか?」
「おっと、すみません。考え事をしていました。」
俺の考え込む癖は悪い癖だ、小説の様に周りの人達は待ってはくれないのだから。
俺が正面を振り向くと、そこには金髪の美女がこちらを不思議そうに見つめていた。
「あの……本日は教会にどの様なご用件でしょうか?」
「あっ、あぁ。実は女神様に関して色々とお聞きしたいのですが、お時間よろしいですか?」
「あぁ!そうですか、それは素晴らしい事です。貴方に女神アルテミタ様の御導きがあらん事を。」
「はぁ……」
このシスターさんは新しい教徒候補が自分からノコノコとやって来てくれたので感激している様だ。
凄く真面目なのか営業ノルマでもあるのか分からんが、俺は女神の事は知りたいが別に入信するつもり等無いと言うのに。
後、これは流石に公言出来ないが俺はある意味女神に導かれている、例え操り人形だったとしてもな。
「では、待合室にどうぞ、少しお話が長くなってしまうかもしれませんので。」
「構いませんよ、お手数御掛けします。」
どうせ観光と言っても予定を組んでいる訳でも無いんだから暇なんだしありがたいお話でも聞く事にしようか。
「こほん、ではまずは女神様の起源からお話しなければなりませんね。」
シスターさんはもくもくと話し出す、俺は視線が下に向く癖のせいで彼女の豊かな胸に視線がいき、すぐに反らす羽目になった。
この世界の始まりについては分かっていない事も多いらしいが、最古の歴史の書物には女神に導かれた初代六神が大魔王イマジンとやらと死闘を繰り広げたそうな。
最終的には女神アルテミタが疲弊した大魔王を封印する事で世界に平穏が取り戻された。
「そして現在まで女神様は私達を遥か天上の天魔大陸で我らを見守って下さるのです。」
「成程、参考になりました。因みに教本とかはありますか?」
「勿論です、今お持ち致しますね!」
すぐにシスターさんは教本を取りに行った、本当に信心深いいただのい人っぽいな。
それにしても得られた情報は思ったよりも少なかったな。
女神が以外にこちらの世界に深く干渉している事と、天魔大陸とやらに居るかもしれないと言う事だ。
と言っても女神が干渉しようがどうしようが俺には関係の無い話だし、天魔大陸とやらに行くつもりもない。
女神と敵対する気など全く無いし、そもそもそんな所がある保証すら無い。
大人気の小説では、神を名乗るものと戦いを繰り広げていたが、結局主人公が生存している内に倒せてなかったしな。
なんの恨みも無いので必要以上に関わりたく無いし、刺激したくも無い。
俺はせっかくの第二の人生を無駄にしたくはないからね。
「こちらが教本となります。もし他にもご要望があれば言って下さいね?」
「いえ、まずは教本をしっかりと読みたいと思っておりますので。こちらは少ないですが、心ばかりの寄付金です。」
「まぁ、これはどうもありがとうございます。こちらは恵まれない方への奉仕に充てさせて頂きますので。貴方に女神アルテミタの導きがあらん事を。」
「僕もそう願うばかりです。」
シスターさんは俺の言葉には不思議そうに首を傾げていたが、説明する気など毛頭無いので足早に教会を後にする。
シスターさんは俺が入信はするが、焦ってはいけないとか思ってそうだが、俺の用事はもう済んだので二度と教会に立ち寄る事は無いであろう。
「それで?収穫はあったかよ?」
「予想していたよりかは少なかったですね。あまり知り過ぎるのも寿命を縮めますが。」
「いや、意味分からねぇから。どうしてそんな話になるんだか。」
「知らぬが仏ってやつですよ。」
ノルドは俺の言葉の意味が伝わらなかったのか、不満気な表情をしているが気にしない。
俺は教本をアイテムポーチにしまいこみ、先を急ぐ。
俺とノルドは帝都観光と言っても、他にどうしても行きたいって所も無かったのでノルドの剣を見る用事にだけ付き合ってクラインツの屋敷へと戻るのであった。




