第3話 「10万以上余ったしやる事がない」
「ひとまずはこんな所か?」
準備は終わったが所持金が10万以上余ったのだ。
更に言えばまだ14時で時間もだ。
異世界用に薬草を纏めた本だとか、サバイバル知識が載っている本でもとは思ったが付け焼き刃では役に立ちそうにも無いしそもそも都合良く日本にある草が異世界にあるとは思えない。
そもそも素人がサバイバルブックをちょっと読み齧った所で十全に活用出来る筈も無い。
転生特典のチート次第な所もあるのでそこは現地で臨機応変に頑張りたい。
「うーん。宝石でも買うか?」
異世界での注意点はやはり金銭だ。
物資は換金出来るので幾ら持っていても困らない。
転移場所に関しても何処につくのかわからないのだ、検問の際にお金がかかるかもしれないので物々交換等も視野にいれなければならないのだ。
「こんな所来た事無いし緊張するなぁ……」
取り敢えず店の中へと入る、もじもじしている時間は無いのだ。
だが高級な物は買えないしかと言って金は密輸などの不正が疑われそうなので却下だ。
その点宝石ならダンジョン等から手に入れたと主張すればいいので便利だ。
良く通販番組でダイヤモンドが3~5万で買えると知っていた金次は量販店に向かう。
サイズは金持ちが持っている様な物では無く、変に思われたりしないサイズの物が望ましい。
そもそも大きなサイズは買えないけどね。
「お客様。恋人へのプレゼントですか?」
ダイヤモンドのネックレスをみていると店員が声を掛けてくる。
いつもの俺なら鬱陶しくて堪らないのだが今回に限っては声を掛けようと勇気を振り絞っていたところなのでありがたい。
「すいません。予算8~9万で彼女の誕生日プレゼントにネックレスと指輪が欲しいのですが」
言い終わった所で指輪はおかしくねぇか?と気づくが気にしないでおこう。
勿論彼女もいないのは分かっているが、突っ込まないで欲しい。
「ではこちらは如何でしょうか?」
店員がネックレスを持ってきた。
その手にはダイヤモンドだけではなく真珠もあるようだ。
どうやらお手軽な値段の商品を買わせるつもりらしい。
まぁ大富豪のつけてるような物はフリーターに買える筈がないので賢明な判断ですけどね。
「じゃあその二つを貰えますか?」
真珠とダイヤモンドのネックレスを購入して家路につく。
「後予算は数千円か……」
だが欲しい物はあらかた買ったので満足だ。
通販系はクレジット払いがあるで心配ご無用だし。
時間は余っているがラノベみたいに妹がいるわけでもなく幼なじみもいないし実家暮らしの俺は親位しか別れの挨拶する相手がいないのだ。
「あっ。バイト先…………まっ、いいかな」
咄嗟に思い出すがブラックだしそもそも月末に給料を貰っている金次は同時に連休も月末に確保している。
4連休だ。
ブラックだが夜勤は自分1人以外辞めてしまったのでそのぐらいは融通は効くのだ。
そうして準備期間初日が過ぎるのだった。