第29話「お屋敷訪問。のちギルド。ミッション『パーティーを結成せよ!!』」
まず始めにダンジョン都市ラグウェルに到着した。
んー。なんか広いのは広いんだが冒険者が多いな。流石ダンジョン都市。
「これは男爵様!!ご無事でしたか!!?」
門番が声をかける。
既に情報は漏れているのか?男爵が盗賊に囚われたとかやべぇよな。貴族にしてみれば汚点でしかない。
「問題ない。情報規制は?」
「問題ありません。ご存じなのはギルドマスターとそこのお二人です。」
お二人のは男爵のお付きの事だろう。
こうしてダンジョン都市に入るのであった。
広い!!広いよ!!流石に貴族!!!
正直男爵なのであんまし期待してなかったが屋敷は広かった。
「せめてものお礼です。ごゆるりと過ごして頂ければ。」
マニカは頬を染める。マジか!?10代の貴族令嬢とかご褒美ですね!?あっ、、、ロリコンじゃないよ?俺今は5歳だからね?勘違いしないでよね!!!!!
こうしてダンジョン都市の初日は屋敷にて過ぎるのであった。
今俺はギルドにいる。まずは昨日先伸ばしにした。依頼の報告だ。
俺が先行する。
さっそくガタイのいい戦士風の男が話し掛けてくる。意外と話し掛けてこられるのは始めてだ。
「おい。坊主。いや?嬢ちゃんか?ここはガキのくるとこじゃねぇ。さっさと帰んな。」
ローブを羽織っているので性別はわかりづらいようだ。そしてこのお決まりの反応だ。
「バァァァァァァン!!!!」
いきなり指を指して大声で叫ぶ。
男はかなり驚いた様子だが警戒はしていない。所詮はガキのイタズラだろう。そんな風に思ったのだ。
魔卿のナイフを取り出し火の魔力を込める。
全力で込めたので勢い良く火が煌めく。
男は腰を抜かす。だかそれを誰も笑う様子はない。
ナイフがマジックアイテムかなんて一部の冒険者を除いては分からない。
武器に魔力を込めるという芸当は高ランク冒険者の技だ。
それをやってのけた子供が実力者だという事をギルドの者達は理解する。
「何かあったのか?」
続けさまに入ってきた男爵。この街の支配者である男爵がギルドに来ることは非常に珍しくギルドに動揺が走る。
「では。ゴールド。護衛依頼完了の報告をするか。」
目の前の子供に声をかけた男爵を見て冒険者達は男爵の護衛の高ランク冒険者であると推測するのであった。
「受付嬢よ。では頼むぞ。」
受付嬢は慌てて依頼を確認する。後ろにはギルド職員が何があってもいいように構える。
正直受付嬢に貴族依頼は荷が重いのだ。
受付嬢は子供のギルドカードを確認する。ランクを見て驚きを隠せない。
何とGランクなのだ。逆の意味でびっくりだ。だが受付嬢はそれを決して口には出さない。
男爵に万一恥をかかせればギルドの花である受付嬢でもただではすまないという事を知っているからだ。
だがそんな受付嬢とは裏腹に他の冒険者達は別の反応をする。
やはり高ランク冒険者であると。実際はGランクだが。
男爵がカウンターにいる以上ギルドカードを覗く訳にはいかない。そんな下らない事に冒険者生命を賭ける馬鹿はいないからだ。
ゴールドはダンジョン探索をしたいから絡まれないように協力してほしいと男爵にくだらない茶番劇をここで頼んだのだ。
ゴールドの本来の目的はパーティーメンバーを集めるうえでのパフォーマンスが最大の目的なのだが。
勿論男爵はそんな事はわかりきっていた。目の前の子供がそれだけの切れ者であることを。
だがいかに男爵言えど命の恩人で必要以上に欲張らず最低限の報酬のみで満足した子供に頼まれたのだ。
断るという選択肢はプライドが許さなかった。
上手いことに娘のマニカの前で頭を深く下げ頼むのだ。断れるはずもない。
マニカにとってゴールドは白馬の王子のような存在になっていた。
マニカはゴールドのお願いを聞いてほしいと懇願する際に頬を紅く染めていた。父としては余り嬉しくないが。
こうしてゴールドの存在は瞬く間にダンジョン都市ラグウェルに広まるのだった。




