第10話「反省会、村の外に遠征かい?」
「う……ん?あれっ?」
気付くと俺は見知らぬ天井を見上げていた、そもそも自宅の天井以外見る機会に恵まれないけどね。
どうやら先程の戦いで気を失っていたようだ。不思議な事に体は痛くない。回復魔法だろう。
「ゴールド!!大丈夫!?」
まず顔を見せたのはミルだ。心配させてしまったようだ……。
その後ろにはヨミが壁に寄り添っていた。どうやら彼女も大丈夫そうだ。
「大丈夫?痛くない?」
おっと、早く返事をしなきゃなかなり心配してるみたいだし。
「大丈夫だよ!回復魔法だしもしかしてお母さんかなぁ?」
俺の記憶だと回復魔法なんか使えるのはそうそういない筈だ。
そもそも村に魔法を使える人材など居らず、仮にいても冒険者になるか、才能があれば貴族に召し抱えられたりする事もあるそうな。
「もうっ!ゴールドったら……そうだよ。ゴールドのお母さんだよ。とにかく無事で良かった」
ミルはホッとしたようだ。
「だから心配しなくても大丈夫って言ったのに。私に勝ったのよ?そのくらいで死ぬ訳無いじゃない」
見方によっては引き分けと取られてもおかしくないが勝ったって事でいいのか?。
「ふざけないで!!あなたがやったんでしょ!!」
やべぇ。喧嘩が始まるよ。
「違うんだよ!ミル。ヨミとは勝負したんだ。だから気にしないで。ヨミだってダメージあったんだしさ」
その言葉にヨミはピクッ!っと反応したが言及はしてこない。うん、意外と大人だね。
ミルはわかった……と渋々了承してくれた。
「その……ゴールド?だったっけ?君が勝ったからその……約束通り貴方と友達になってあげる。」
新しい世界での二人目の友達が出来るのであった。
「村の外に出たい?」
ヨミはこの村は早くも飽きていた。
そりゃな、都市みたいに広くないし娯楽施設とかないしね。
ギルドとかあったらクエストボード見るだけでも楽しそうだけどさぁ。
「駄目だよ!!村の外は危ないんだよ!!」
勿論ミルは反対する。
「ミルは村の外に出たことがあるの?」
興味があったので聞いてみる。
「うっ……無いけどお母さんが言ってたもん!!」
まぁそうだよな。と思い謝ろうとしたときヨミが口を開く。
「私はあるわよ。モンスターも大型じゃなければ大した事ないわね!」
多分ゴブリン辺りだろう。スライムかな?いや……ゴブリンは俺達子供ではどうにもならない気がする。
「まぁ何かあっても僕が守るよ」
思わずでた台詞に二人は少し照れている。
「じゃー行こっか!僕達の大冒険!!!」
「もうっ!というか門番はどうするの?」
大人が俺達の出撃を許す筈も無いな……出発以前の問題だった。