第六話:可能性
長期エタり。これもテンプレって奴ですね。お久しぶりです。それにしても、この作品見てるあなた。物好きですねぇ。ありがとうございます。
あのあと、途中途中ゴブリンや動物系の魔物に遭遇したが、俺一人でもどうにか出来ない相手ではなかった。動物型の魔物は、四足歩行で攻撃が当てずらいおかげで、相変わらず倒すのに手間取ったが。
こうして、ブブゼラを持った青年と杖を持った少女は無事森を抜けたのである。
「無事出られたな」
「出られましたね」
「お前さん、途中からなんもしてなくね?」
「……まぁ、そんなことは置いておきまして。とにかく、無事生還できたことを喜びましょう」
「誤魔化すにしてももっと上手く誤魔化せや……」
っていうか、そんなことはどうでもいい。
「それより、ゴブリンの集団に囲まれたときに何が起きたか教えてくれ。まさか、ブブゼラの力だけでああなった、とは言わないよな?」
「……ふむ、ちなみに何が起きたんだと思います?」
「そんな茶番はどうでもいい。俺には知る必要があるんだ!」
「……」
頼む。教えてくれ。何が起きたのか、事細かに!
「そうですねぇ、では教える代わりに一つ頼みがあります。」
「金か?」
「いえいえ、あなたのことがもっと知りたいだけですよ」
胡散臭い上にめんどくせぇ奴だ。
「じゃあ、まず私から。名前はディオナ・ケリオ、と申します。気軽に、ディオナとでも呼んでください。今は冒険者の真似事をしてますが、本業は研究者です」
「なるほど、さっきの奇妙な光景もお前の研究の成果ってか?」
「まぁそんな所です」
どんな研究なんだ。曖昧な返答ばかりしやがって。やはりこの女、実に胡散臭い。
だが……なんだろうか。こいつとは、長い付き合いになるような気がする。あくまで俺の直感だが…
「次はあなたの番ですよ」
「なぁ、普通に教えてくれないか?」
「貴方が自己紹介をしてくれたら、ね」
「……まぁいい」
自己紹介ねぇ……無難に行くか。
「俺はパレイス・ホーン。こっちはブブゼラ。俺の相棒であり、恋人であり、武器でもある。冒険者をやっているが、今日までゴブリン討伐の依頼しか受けたことはない。これでいいか?」
「へぇ…珍しいものをお持ちのようで」
「なんだ、文句あんのか」
「とんでもない!して、ブブゼラとやらはとても大きな音が出るようですねぇ。楽器ですか?」
「……どうなんだろうな。形としては音を鳴らすためのもので間違いないだろう。だが、どこで、誰によって、何のためにこいつが作られたのか、俺は知らない。分かるのは、こいつの名前がブブゼラである事と、とにかくでかい音が出ることだけだ」
「………」
急に黙ってどうした。
「おい、自己紹介はしたぞ。さっさと」
「知りたいですよねぇ!?」
「うぉあっ!?な、何がだ!?」
怖い。マジで怖い。やはり本格的に頭がおかしいのか。いやいやいや、目的を見失うな。
「いや、すまん。あぁそうだ。森で逃げてる時、何が起きたのか」
「それだけじゃないでしょう」
「……あぁ?」
「その目は、貪欲に理解の境地を目指す者の目です」
何が言いたいんだ。
「あなたが知りたいのは、ブブゼラの可能性、ですよねぇ?」
「なっ……!?」
「さて、そろそろ先ほどの問いに答えましょうか」
「音魔法。それこそが、私が使った魔法です。そして、私が生み出した新しい魔法です!あぁ!これは運命ですかねぇ!?本当に人生は奇妙な巡り合わせで出来ている!」
本当に人生は奇妙な巡り合わせで出来ている。間違いない。こいつは長い付き合いになりそうだ。