ザ・ブロークン・ゲーム
初めまして、るとです。
練習も兼ねて、短編物語を投稿していきたいと思います。
なんとなく感覚がつかめたら、本編執筆や周りのユーザーさんと交流していきたいです。
文章は軽やかさを心がけ、リズム重視。ストーリーは合ってないようなもの。
最初はよく分からない世界観をお楽しみください。
「チップを懸けた途端、この盤は地獄をみるのだよ。
それはそれは末恐ろしいものどすぇい。」
早くもグラスのマナを巻き上げたチョンピョン氏が慈しんだ。
その者、金色の肉体を纏い手。情熱なる賭博場に降りたたん。
敗者の男は泣いた。声を上げてころころと。泣きじゃくった。
まるで仔猫のように。
「もう一文無しだよ、あっはっはー。ははは;;はァ・・・」
「泣くのか、其処で泣いたら男じゃないのに。どれ、ネカマにして進ぜよう。」
ザシュ...
股間から嫌な音が鳴り響いた...
ココはとある冒険者の賭博場「バクチズキネ♡」というお店だ。
チョンピョン氏は、もはや伝説である。賭博場で負けなしとされる一流の詐欺師。
そして筋肉の盛り上がる肉体美は、あらゆる冒険者の業を奢るに相応しいステータスを醸し出している。
「我、スーパームキムキポッシブル!」
チョンピョン氏は高らかに宣言した。
ステージのバックで暑苦しい男色の肉体美をひけらかすピエロたちが、赤黒いマッチョな筋肉をモリモリ上げている。
「「「「うぉおおおおお!!!」」」」
会場は盛り上がった。ギャラリーは皆その筋のモノたちだ。
白熱したバトルの結果に、チップの予想が外れて涙するもの、一発逆転を夢見て泣き崩れるもの。
そしてこの店のオーナー「岩西」氏を始めとするサクラたちは、今日も京都て素晴らしい金づるを手に入れた。
「バクチズキネ♡」
売上はうなぎのぼりである。
所詮この世は弱肉強食。勝者あれば敗者有り。
ソンをするものが居るからこそ、我がチョンピョン氏は栄光の座をほしいままとするのだ。
さて、この街には独自のルールがあった。
「女氏禁制」
まわりはむさ苦しい男ばかりだ。
そして、敗者は「ネカマ」となって、町から追放となる。
一方でこの町の頂点に極めしもの、それこそが栄華を誇る地位を象徴するものであり
また、伝説となるのであった。
リー・チョンピョン。それが彼のモノの名。
知らないということを、私は確かに知っている。
知らないということを、知ってィ(ry
私は私の、あなたはあなたの物語を、つまんで、まるでピエロのように笑いましょう。
ほら、そこから不適な不協和音が転がってくるんだ。
ケタケタケタケタ・・・♪
この町からまた一人、病院送りになった。
「「「「うぉおおおおおおおお!!!!」」」」
怒号が木霊する。
一瞬、張り詰めた空気が辺りを覆った。
束の間...
「さて、ここは一つ。私が相手をするとしよう」
中年瀬戸際の紳士が横槍を入れた。
彼は前もってシカケを仕込んでおいてから、囁いた。
カウンターでは、マスター岩西がちらちらと目配りしていた。
「ジン・マハモティを6マナで」
中年紳士が注文を出す。
マスター岩西がカウンターの戸棚から「ジン」を手に取り、6マナのグラスに注いだ。
「チョンピョン氏、むこうの挑戦者からです」
そして、6マナのグラスを3マナ2つに分け、両者に配る。
青い液体が、3マナのメモリいっぱいまで満たされた。
これが、プレイヤーの命を表す魔力の源。性質は「ジン」に由来する。
「うわっちょう! 命知らずとはあなたのことネ。我が肉体の養分におな〜リー^^」
チョンピョン氏が慈しんだ。
だが、中年瀬戸際の紳士は告げた。
「筋肉はひけらかす物で在らず。チュートリアルの相手に不足なし」
賭博場に、新たなる風が巻き起こる。
ここは「バクチズキネ♡」が集うザ・ブロークン・ゲーム。
両者の手札に、7枚のカードが姿を現した。
さて、ルールを説明しよう。
このゲームは、ザ・ブロークン・ゲームと呼ばれるトランプのような遊びだ。
だが、トランプと違って5種類のマークが存在する。
日・月・森・水・金だ。
術者と呼ばれるプレイヤーは、その5種類のマークから任意のモノを選び
40枚からなる独自の山札を創り上げる。この山札がプレーヤーのマナと共鳴する。グラスに注がれた液体だ。
プレーヤーはマナを使い、カードに込められた魔力を具現化する。
それが攻撃呪文でもあれば、防御呪文、エンチャント呪文、召喚呪文など様々だ。
召喚呪文はグラスのマナを注ぐことで強化され、相手の召喚呪文を一方的に討ち取ることも出来る。
青い液体3マナは「水」3つ分の強化だ。
基本的には、その1枚1枚に魔力を込めたカードを駆使し、
攻撃呪文や召喚呪文によるプレーヤーとの連携で、相手の山札を攻撃する。
そして相手の山札を消滅させたほうが勝ち。
細身紳士は直に告げた。
「チュートリアルは終わりだ」
コインを投げて先手はもらった。
7枚のカードを一挙に場に並べる。そして順番に唱えた。
「モックスサファイア」水マナを一つ生み出す
「ブラック・ジョークス」このターンのみ月マナを3つ生み出す
「サブリナ・スカーレット」月2消費して山札から「黄昏の使者」を召喚する
「暗黒の儀式」月1消費して山札から「黄昏の賢者」を探し「黄昏の使者」に重ねて強化
「グラスからの解放」水マナ一つ生み出す。グラスルール適応。
「魔導事無き幻視」水2マナ消費し、賢者を生贄に捧げることで山札からカードを7枚引く
「見捨てられる原石」瞬間呪文、手札がこのカードのみとなった場合に即席で唱える。山札から「・・・」を持ってきて、手札とは別の領域に加える。
手札が7枚になった瞬間に、そのカードをノーコストで唱える。
「茶番は終わりだ...」
・・・もってきた切り札を表向きにした。
「カタストロフィー」
月8マナ 相手の山札をこのターン消費された手札の枚数分×5消し去る。
終...
チョンピョンの栄誉ある連勝記録は、ここで潰えた。
手も足も出ずに、そう。自慢の筋肉をひけらかすことなく、魔力が。魔力がぁあああ。。
しゅるるるるるr.
自慢の筋肉は、風船が裂けたようにしぼんでいきました。
「しょぼーーん」
会場総なめ。
この日、細身紳士に掛けられた莫大な金が、マスター岩西の手にほくほくと渡ったのは言うまでもない。
客は、全財産ほぼすっからかん。
そしてまた一人、町から住人が消えた...
伝説は終ったのだ。
「相変わらずエゲツねぇな。一発ツモじゃねぇか」
岩西は細身紳士に告げる。
そして誰にも悟られず、マスター岩西は盤上の駒を後にした。
読んで下さりありがとーございマッスル…
ああ、やってしまいました。
次回まじめに取り組みます。