電磁甲冑機兵《バストゥール》
~甲冑機兵一覧~
※命名は全てアインノールが付けており、彼の前世である藤間昴の居た異世界の、旧日本軍の軍用機の命名式を参考にしていて、汎用機には(風)、特化機には(雷)、後方射撃支援機には(山)、強行偵察【間者専用機】には(夜)とそれぞれちなんだ名前が付けられている。
形式は『昴』はエンジンの総称。『イーイ』の最初の『イ』の文字はエンジンの型順、二番目の『イ』の文字は骨格開発順を表している。例えば『紫電』昴イ-ロ式の場合は、一番目に開発されたエンジンに二番目に開発された内部骨格を採用した機体という意味。その後に続く一型、二型等は用途別専用機を意味するが、疾風だけは開発順になっていて一型~三型までは試作機。他の機体の試作機は全て『試一型』というように番号の前に試作である事を示す『試』の文字が付く。
☆電磁甲冑機兵『疾風』形式:昴ロ-イ式(この後に一型、二型、甲と続く)
汎用電磁甲冑兵。比較的構造が単純で、癖の無い操作性で扱いやすく量産性に優れている。
◎(試)一型
アインが最初に試作した電磁甲冑兵。収縮鋼線筋肉繊維の異常発熱で稼働時間約三分で行動不能に陥った。
◎(試)二型
一型で発熱した鋼線筋肉繊維に水冷却機構を持たせた改良型。これにより通常稼働時間は六時間、全力でも約四時間の稼働時間を獲得した。
◎(試)三型
二型にさらに冷却ファンを取り付け、繊維発熱を軽減したタイプ。これにより筋肉繊維の冷却はほぼ解消となった。稼働時間は通常運転が約一〇時間。全力運転約六時間程度。
◎四型
三型に戦闘用の鎧を装着させた実戦用機体。主にこれを『疾風』と呼ぶようになる。起動用バッテリーの他に予備バッテリーを搭載しており、主機関である結晶電磁エンジンを稼働しなくとも約三〇分の稼働が可能。
※疾風型 搭乗者別専用機体
●青騎士 昴ローイ式 疾風四型
騎士科ミランノ・マイセンが乗る機体。全身が蒼い鎧を纏っており、カルバート標準語である聖帝語では『リッデル・ノ・スカーティス』と呼ぶのが正しいが、アインの前世である地球の英語で呼ぶ『ブルーナイト』という音が気に入り、その名で呼ぶ様になった。機体の性能自体は通常の疾風と変わらない。
●赤騎士 昴ローイ式 疾風四型
アインと同級の騎士科ガッテ・マルルースが乗る機体。ガッテがデルフィーゴ王国の騎士『焔の騎士』ことオリビトンに憧れており、ミランノに真似て鎧を赤くしたもの。青騎士同様、性能自体は他の疾風と変わらない。
●焔 昴ローイ式 疾風四型(改)
デルフィーゴ王国の騎士『焔の騎士』ことオリビトン・マウザー男爵の駆る機体。名前に反して機体色は砂色だが、両肩に炎を象ったマークが入っている。また一時的に膂力を上げる為、鋼線筋肉繊維に流れる電圧を上げる機構を備えた実験的な回路を搭載している。後に大型の両刃幅広剣『大扇』を装備する。
☆電磁甲冑機兵『紫電』昴ロ-ロ式
高速戦闘、並びに斥候、連絡用に開発された軽量電磁甲冑兵。外装鎧を鱗状装甲で覆い、軽量化を図っている。
◎一型
高速戦闘を目的とした機体。主任務は攪乱など。
◎二型
背面積載具を装備した物資輸送・回収専用機。前線に武器や物資を運んだり、損傷機体の回収などを行う。
◎三型
斥候、索敵、連絡専用機。外装装甲を薄くして軽量化を図り、代わりに追加バッテリーと冷却水増槽を追加して稼働時間を大幅に増加させた機体。その通常稼働時間は約16時間、全力稼動でも10時間に達する。
◎三型(改)『小夜風』
三型を改良した間者専用機
※紫電型 搭乗者別専用機体
●咲耶姫 昴ローロ式 紫電一型(改)
ミファの乗る専用甲冑機兵。彼女が使う刀の太刀筋をダイレクトに機体に反映させる為に、アインノールの手で彼女用に調整した専用の結晶回路を搭載し動作の最適化を行った機体。反応が敏感で扱いにくく、非常に癖のある機体に仕上がっている。鎧のカラーは紫。左腕に短銃身のサーマルガンを内蔵したスモールシールド『ガンバックラー』というユニークな装備を装着しており、サーマルガンで牽制しながら高速で接近し、刀で斬りつけるという戦闘スタイルを取る。
●白龍 昴ローロ式 紫電一型(改)若しくはビルニルス・ヘーゼ
ミランノと同級の騎士科ラッツ・スターツの乗る機体。通常はビルニルスだが、飛行装置『翼龍機構』を取り付けられた状態を白龍翔と呼び、ラッツは翼龍機構を付けて作戦を行う事が多く、その名か、縮めてヘーゼと呼ぶ事が多い。機体色はその名の通り純白の鎧を纏い、龍を象った兜を持つ。軽量機である紫電の細身も相まって美しい機体に仕上がっている。
●緋色鬼 昴ローロ式 紫電一型(改)局地改修機
銀狼団の若き女団長レイ・マサジュワが駆る機体。細部にわたって手を加えられており、狼を象った意匠の兜に『フエーリ』と呼ばれるマキア族伝統の多重織り腰巻きを付けるなど、民族色豊かな外観で原型である疾風の面影はほとんど無い。盾を持たず、一撃離脱の高速突撃に特化した機体。両腰に『牙折刀と呼ばれる屈折刀を二本装備。後に単射程のサーマルガンを背中に背負う。機体色は赤とオレンジのツートンカラーで、これは彼らの信仰する『太陽の女神』をイメージしている。
☆電磁甲冑機兵『零式』昴甲ー弌型(アインノール専用機)
紫電を全面的に改修し再設計した機体でエンジン以外(後に昴五式に載せ替える)は別の機体と言って良く、アインノール専用である為、現在のカレン界の戦争思想から大きく逸脱した、色々と規格外の機体。
機体制御とは別に『結晶術』を行使する為に結晶回路をもう一つ搭載してある。結晶術で強度補強をさせて使用する専用の連発式サーマルガン、ハンドタイプの単射程サーマルガン、燃焼石を触媒にして結晶術で爆発させるグレネード、戦小刀など、いずれもカレン界の人間以上に結晶術を操るアインノール以外は扱えない装備。また剣を持たない射撃兵装主体の装備で、しかもそのカラーリングはデジタル迷彩というおよそ王族たる威厳が全く感じられない外観をしており、ミファなどは思いっきり顔をしかめているが、その武装はまさしく異世界の戦闘思想を踏襲している。
しかしこの機体兵装はこの時代の騎士が尊ぶ『騎士道』を完全に無視しており、騎士達からは嫌煙されるものだったが、アインノール自体甲冑機兵での直接戦闘はほとんど参加せず、部隊の指揮だけを行うのでその戦闘性能はほとんど発揮されず『お飾り』の機体であるため、カラーリング等で眉を寄せる者は多いが特に際だって反感を持たれるまでには至っていない。
ただし、後にミファや側近の騎士達だけはその戦闘能力を目の当たりにし、その戦い方と戦果はミファに『騎士の時代が終わる』と言わしめたほど。
また、指揮官機である為、戦況分析が出来るように、結晶術である『鳥観眼』を応用した『俯瞰パネル』を搭載しており、戦域での敵、味方のユニット展開を立体的に投影しリアルタイムに見ることが出来る。
加えてアウシス仕込みの結晶術を行使するアインノールの零式だけが使用可能な専用装備として『術式増幅撃滅砲』という高出力の大砲があるが、アインノール曰く『ロボットバトルにおけるナンセンス』とのことでほとんど使用されない。
☆重電磁甲冑機兵『富嶽』昴ハーハ式
三つの小型電磁エンジンを一纏めにした大型エンジン『スバル四式』を搭載した機体。大型のエンジンを内蔵するため内部骨格から再設計し、疾風より一回り大型の重甲冑機兵。四連装電磁誘導加速投射砲を装備する後方支援機。生体エネルギーである『エナ』の供給量を補うため機操士の他に砲術士が乗り込む複座型の操縦席を搭載している。また砲術士の頭部保護具には電磁甲冑機兵の眼球水晶の動きに連動した投影バイザーが装備されている。機体の大型化と四連装電磁誘導加速投射砲の連続発射による反動を軽減するためのカウンターウエイトを脚部に装備しているため、移動速度が疾風の半分程になってしまった。