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闇から出ずるもの  作者: まめ
陰陽師として動く(改訂版)
8/21

鬼を如何する?

「とりあえず今は仕事を」

そう言ったのには、聖の前に積まれている仕事の山。

「あ〜、面倒だ」

「仕方有りませんよ。仮にも陰陽師何ですから」

「そうだが」

「聖様は正当な篁の後継者です。それをお忘れなく」

「忘れたくなった」

聖はボヤくが、自分でも分かって要るのだろう、目に付いたそれに意識をやる。

それは、何の変哲もないお屋敷だ。

でも、聖には何か気配を感じた。

「どうかしましたか? ああ、それは、警察からの依頼ですね」

「ああ、そうだ」

「それが、如何しました?」

「何か嫌な気配がする」

「嫌な気配ですか?」

「ああ」

「ここで何か有ると?」

「ああ、多分な。気配を感じるからな」

「どんな?」

「悪霊とは言えないが、霊の気配が有る」

「霊の気配ですか? でも、私何も感じませんけど」

茅場も聖より低いとは言え、霊感が多少なりともある。だから、視えるし、感じるのだ。その茅場にしても、今回は見え無いどころかなにも感じないと言う。こんなことは今までなかった。つまりは、それだけ力があると言う事か、厄介だな。ヒジリもそれが、わかり表情を引締める。

「調査待ちだな。今日の仕事は終わり」

そう言って片付ける。

どうやら、本当に終わりにするらしい。

そして、聖は茅場に言う。

「お前も今日は早く寝ろ。たぶん、明日から寝れないぞ」

明日から動くことを示唆される。

そしてすぐ、就寝した。

そして、翌日。聖達は早速動き始めた。

まずは、写真の現場に足を運ぶ。

「ここですね?」

そこは、茅場には変哲もない場所に思えた。

しかし、そこに来て聖の表情は険しくなった。

「どうしましたか?」

「ここにいる霊は人間から精力を奪い、いずれ孵化する。そうなってからでは遅い。その前に止めなくては」

「えっ?」

「食われている子も早く助けなければ、取り返しが付かなくなる」

「取り返しがつか無いとは?」

「そのままの意味だ。多分もう、勢力はほとんどないだろう。ここで消し去るのは簡単だ。しかし、その子に精力をあげること自体を辞めさせなければ、また、そう言った悪しき霊を呼ぶだろう」

「でも、言っただけでは、自分があげていること自体気付きませんよね」

「そうなんだよな。だから、こうなったら、そのこの前でやるしかないか」

そう言って、物陰に隠れ聖はその子が来るのを待つ。

そんな事をしていると、一人の女の子が来る。

どうやら、あのこの様だ。

暫らく様子を見る。と、突然女の子の前に、同い年ぐらいの男の子が現れた。

これは、茅場にもみえたようだ。

「あれですね?」

「ああ、写真よりも濃くなっているな。もう、時間はない」

そう良い、九字を切り、霊を捕まえる。

「祓いたまえ、清めたまえ」

そこまで、言ったとき、それを止める者がいた。

「辞めて下さい」

手を広げ、彼女は霊を庇う。

「どうして払う必要があるの? 鬼さんは悪いことはして無いわ」

「だから、このままにしておけって、それこそ冗談じゃない。本当に悪いことをして無いって、そう思っているのか? 彼は、君の生気を奪ってる」

少女はそう言われ、目を見張る。

「そんな・・・。嘘だよね」

「分からないのか、自分のことなのに、聞かなきゃ?」

聖は中傷するように、鼻で笑う。

「お前ここ最近、疲れやすくなって無いか?」

それに、少女も心当りが、あるらしく、困った様に少女は霊を見る。しかし、霊は、安心させるように言う。

「僕が大切な君を傷つける様なことする訳がないじゃないか?」

「じゃあ、なぜ疲れやすくなった?」

聖は少女に問い掛ける。が、上手く答えられない。

「それは???」

「僕が信じられないの?」

聖はそれに、笑った。

「貴様の何処を信じろと」

「君、うるさい、黙れ」

霊が聖に向けて力を放つ。

聖は、右手一本でそれを受け止めると、

「返すぜ」

そう言って、聖は投げ返す。それに、霊は驚く。

「お前」

「我が使令に下れ、急急如律令」

霊に向かって言う。

「ギャアアアアー」

霊が悲鳴をあげ、指令に下るが、なぜか不機嫌そうだ。

聖はそれに、笑う。

「何か、不機嫌そうだな」

「当たり前だ。俺を使役するなら、覚悟しておけ」

「私が死んだときには、食らえば良かろう」

「何、言っているんですか?」

茅場は焦って止める。

「しばらく、力を貸して貰うんだ。このぐらいの益がなきゃやりたくないだろう」

「ですが」

「それに、私が死ぬまでこいつに自由はないんだ。このぐらいしないとな」

そう言い、少女に目をやる。

「また、一人になっちゃった」

寂しそうに言った。

「命なら、こんなものあげたのに。こんな命で役に立つなら」

少女の言葉を聞き、萱場は怒る。

「せっかく助けられた命をその様に」

「茅場」

聖は止める。

「それなら、家に遊びに来い。一応こいつもいるしな」

「行ってもいいの?」

「こいつも、お前が来なきゃ、寂しがる」

それに鬼が怒る。

「誰が、俺は寂しがったりなど」

と、最後まで聖は言わせなかった。

少女が、嬉しそうに笑うと、霊も何も言えなくなる。

そして、頭を掻くと、

「いつでも来な。暇な時は、遊んでやるよ」

そう言われ、少女は嬉しそうに手を振り帰って行った。

「有難うよ。あの子の前で消すって選択自体が、あんたの中には初めから、無かったんだな。ここに来たのも、あの子の置かれている状況を知るためか」

「何かそう聞くと、私が偉くなったようだ」

そう言って、聖は言葉を濁し笑う。

「あんたに、使役されるのは、俺の望みでもある。あんたに忠誠誓うよ」

「それは、ありがたい」

「あんたなら、俺を消すことも出来ただろう?」

「そう言うお前こそ逃げられたはずだ。本気で、私は呪縛をかけていない」

「だろうな。でも、あいつから精気を奪って行く中で、あいつが死にたがっているのがわかり、そんな気も無くなったよ」

「だろうな。私の元に情報がきてからほとんど、精気が奪われてない。我慢するのは、気つかっただろう。あの子美味そうだし。あの子をお前他の霊から守っていたな」

「そこまで気付いたか? ヤダね。じゃあ、何かあったら呼べ。じゃあな」

そう言って、消える。

「守って? どう言う事ですか?」

茅場は聞く。聖は犯しそうに笑い言う。

「お前にも分からないかい?」

「すいません」

「いや、それが普通なんだろうな。彼女は霊が狙いたくなる気を発している。それから、守ってたんだろうな。たぶん」

そう言われ、茅場は納得する。

「そう言うことですか」

「ああ」

「彼方が彼を式として残した理由がようやく分かりました」

「あいつを消したらそれが鍵となり彼女が、自殺し兼ねなかったからな」

「優しいですね、彼方は」

「たぶん彼女は死にたいぐらい悩んでいたんだ。その背中を押す事はあるまい」

「そうですね」

「彼はそれが、分かり護っていたんだ」

「では、彼を消したら」

「間違いなく死を選ぶ。それぐらい彼女は孤独だったんだ。それに、あいつを消したら、彼女を守るものがいなくなる。それは、何としても避けねば為らぬ。じゃないと余計な仕事が増えて、困るのは私だ。それは、嫌だ」

真顔で言う。どうやら、それが本音らしい。

「聖さんらしい」

笑って茅場は言う。

「だって、それ以外何がある? 仮に奴を倒したら、私は彼女に向けて、バリアを貼らなければいけない。そんなの無理だ。仕事をしている時に、貼れるか?」

「そうですね」

茅場も納得する。

「あれに彼女を護ってもらえば、仕事に集中出来ますね」

「ああ。集中せねばヤバイやつもいるだろう。その中で彼女を守りながらは無理だ」

「そうですね。それを彼に守らせるなら、ある意味安心ですものね」

「そうだ、あいつは彼女を護る。その間に私は仕事をする。一石二鳥じゃないか」

「あいつは、もう彼女の護りに付いてるよ。彼女にばれない様にな。それに、私には仕事で使う式はもういるしな」

「そうですね」

「でも他の奴は使役霊となったときに、力は聖さんに取られますよね?」

「取るわけに行か無いだろう? だって、彼女を護るためには、彼が自由に出来る意識を残さなきゃ、意味が無い」

「そうですが、何も全部残さなくても」

「私がヤツに負けるとでも、それこそ私を甘く見過ぎだな」

「申し訳ありません」

茅場は謝罪する。

「まぁ、良い」

「さて、私達も帰ろう」

「ハイ」

そうして帰った。警察には、もう何も起こらないことを伝える。、自分

「でも、おかしいですよね」

「何が?」

「だって、彼が彼女の警護をしていたなら、あそこで悪さなんて出来ませんよね」

「そうか? でかした茅場」

指を鳴らすと、聖は急いで戻る。

「どう言う事ですか?」

「この霊は? 物凄く小心者なんだ。だけど、やる事はでかい」

「つまり?」

「力を持つ者が行くと隠れるんだ」

「つまり、あそこには他の霊もいると言うことですか?」

「多分な」

「でもまた、我々が近付いたら、隠れてしまうのでは?」

「だろうな? だから、気配を消すぞ、お前もそのぐらいの力は有るだろう」

「ええ、そのぐらいなら」

「それは良好。じゃあ行くぞ」

そう言い茅場は頷く。

「バン、ウン、タラク、キリク、アク」

そう言って、自分の周りに茅場は壁を作る。

聖は呪文も言わずに壁を作る。

二人が行くと、そこには小物がいた。

左右互いに中指・人差し指をからませて伏せ、親指、薬指、小指を立て合わせる。

そして、術を放つ。何も言わずに。

それは眩い光を放ちながら、霊は突然のことに、驚く。霊がそれに気付いた時には遅かった。逃げることも出来ずに消される。

「ウギャアアア」

断末魔の悲鳴が上がる。

「使令にする価値も無いな」

「そうですね」

茅場はクスリと笑う。

「ようやく、終わった。今回でも、大きな拾い物も出来たし、良かったな」

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