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闇から出ずるもの  作者: まめ
陰陽師として動く(改訂版)
12/21

踏み切り2

「依頼を受けた篁です。急に申し訳ありません。2,3質問したいのですが、宜しいですか?」

「私でわかる事なら、どうぞ。私に聞くと言うことは、、やはりいたんですか?」

「あなたにとって見ればどちらがいいのてしょうか?」

「どちらとは?」

相手は驚いた様に聞く。

「あなたは、初めから私達に依頼をしてきた。ですが、普通まず、いたずらだと疑うもの。貴方には何かあそこで心霊現象が起こることに心当たりが有るのでは有りませんか」

そう言うと、相手は固まる。そして、静かに言う。

「私はあそこで心霊現象が、起こることに心当たりが有るんです。僕が小学生の頃、同級生の女の子が、亡くなっているんです」

「そうですか?」

聖は頷く。それ以上、突っ込まない。

「つまり、あなたは心霊だったら、その霊を成仏させてあげたいと言う優しい気持ちからでしたか?」

「ええ、でも疑うと言うことは、違うんですね」

「いえ、何故普通疑う処でそんなに簡単に信じたのかなと思いまして、普通、疑うところじゃないですか?」

「そうですか?」

そう言って、ちょっと挙動不振になる男。

聖はニッコリ笑う。

「有難うございます。参考になりました。あそこで成仏出来ない霊を、成仏させます。うまく行くよう祈ってて下さい」

人の仕業だとは、聖は言わなかった。

「はい、やはりいるのですね」

あくまでも、彼は霊の成仏だけを考える。

「ええ、では有難うございました」

そう言って聖達は、踏み切りの場所に戻る。

「可笑しいですね」

茅場の言葉に聖は笑う。

「何がだ?」

「あの人です。何故、あんなにかつての同級生が、亡くなったからって、陰陽師を使ってまでなんてあそこまで、熱心になりますか」

「そうだな? 悪いが小学校に言ってくれ」

「えっ、小学校ですか?」

驚いたように茅場は言う。

「ああ、そうだ」

茅場は踏み切りを渡って、学校に向かう。

「何をしに?」

「その事件を知ってる者がまだ、いるかもしれない。その人から話を聞きたい」

そう言ったのだった。それに、茅場も頷く。

そして、向かったのは、近くの小学校だった。

そこで、聖はこう聞く。

「最近噂になっている噂を知っていますか?」

「知っています」

「では、その噂になっている子は、なぜ亡くなったんですか?」

「あれは、不幸な事故でした。でも、昔から分からないんです」

「何がですか?」

「何故、彼女は、遮断機が降りていたのに、それを潜ったのか?」

「普段から、そう言うことをする子でしたか?」

「いいえ、物静かな、良い子でしたよ。それをたまたま、同級生の男の子が目撃していて、可哀想でしたよ。その子はその後暫くして引越しましたけど、仲良かっただけに、可哀想で」

そう言って目頭を抑える。

「その子の名前は?」

「えっと、確か宮本武蔵ミヤモトムサシ君です」

あの依頼をしてきた人物と名前は同じだった。

案外スラリと名前が出てきたことに、聖は驚く。

「良く覚えてましたね」

「ああ、名前ですか?」

「ええ」

「だって、彼は毎年暑中見舞いを学校側によこすんです」

「なぜ、年賀状じゃなく?」

「彼女が亡くなったのが、夏でしたから」

「そうですか?」

「多分、彼は未だに自分を責めているんだと」

「なぜ?」

「自分が近くにいて、何もできなかったことに」

「でも、子どもですから、仕方ないですよ」

聖は笑って言う。

「我々もそう言ったのですが、ダメで。もし、香ちゃんが見ていたら、キツいに違い有りません」

「香ちゃんと、言うのですか? あの、すいません、その子達の写真合ったら、頂けませんか?」

「ちょっと、お待ちくださいね」

そう言って、彼女は職員室へと行く。

「どう言う事でしょうか?」

「う~ん、分からないな。たぶん、踏み切りに戻って、玄武に聞けば分かるか?」

「有りましたわ。これです差し上げます」

「有り難うございます」

そう言って、写真を受け取った。

そして、戻るとそこでは騒ぎが起きていた。

「なんだ?」

そう思い車を降りると、何故かそこには、あの編集者の人が何故か蹲っていた。

「何の騒ぎだ? これは?」

聖がそう言って下りると、玄武と六合に聞く。

「これは、如何言うことだ?」

「どう言う事も何もこいつ死のうとしやがった」

「やっぱりな」と言って気絶している男性に聖は目を落とす。

「如何言う事ですか?」

「たぶん、こいつは未だに自分を責めているんだ」

「なぜ、そんなに?」

「それは、騰蛇の情報待ちだな」

そう言って、聖は男に哀れな視線を投げかける。

「分かったぜ」とそう言って、騰蛇が出て来る。

「どうだった?」

「如何もこうも、やりきれない話だぜ。ほら、来いよ」

と、言って女の子が出て来た。

その子は男の側に座ると、泣き出す。

「ごめんなさい。武蔵君」

「どう言う事だ?」

騰蛇がそれに答える。

「遊んでいて、彼女は、遮断機をくぐってしまいハネられたらしい」

「そうか、だから彼は、今回噂を流したんだな。この彼女が、電車で撥ねられた踏み切りを守りたくって、でも、さっき我々が聞きに行ったことでバレるのも時間の問題だと、思いいっそうのこと、自分も後を追おうと考えたんだ」

「そうか、やり切れませんね」

「ああ、お前自分の口で言うか」

「えっ? どうやって? 私のこと見えないでしょう?」

「いや、私ならお前を見えるようにする事なら出来るぞ」

「本当じゃあお願いします」

頭を下げる少女に、聖は笑って頷く。

「じゃあ、茅場、そろそろ彼を起こしてくれ」

「はい」

頷くと、彼を起こす。そうすると、彼の目に香が入り、驚く。

「香」

「ごめんね。武蔵君。武蔵君は、止めてくれたのに、私がそれを聞かずに遮断機をくぐってしまった。そのせいで、あなたは苦しんでいる。でも、時代は移りゆくわ。あなたが残そうとしてくれていることは、嬉しく思うけど、もう忘れて。そして、私を成仏させてお願い。もう成仏したい。私の事覚えてて、くれることは、嬉しく思うけど、もう忘れて。武蔵君は武蔵君の人生を生きて、今まで、有り難う、武蔵君」

「香、行くな」

彼は、叫ぶ。それを聖は止める。

「もう、成仏させてやれ。彼女は、お前のために成仏せずに今までお前についていたんだ」

「有り難う、香」

泣きながら呟いたあと、聖に頭を下げる。

「有り難うございました。僕は間違えてました。忘れないことこそがあいつのためだと。でも、それが、あいつを余計苦しめていました。貴方はそれに気付かせて下さいました。有り難う」

「いえ、何でもありません。これが私の仕事です」

聖は言った。

「仕事ですか?」

「ええ、天后テンコウと白虎いるか?」

「なんですか?」

ものすごく綺麗な着物を着た女の人が現れる。

「悪いが彼女が無事行けるか見守ってくれもし、邪魔するものがいたら、ケチらせ」

「分かりました」

と言ったが茅場には納得がいかなかった。何故あのような綺麗な人に護衛を頼むのだろう? 護衛なら、彼女の方がどちらかと言えばしてもらう方だろう。

「茅場は言いたいことが、凄く顔に出るね。私が彼女に護衛など任せるから、心配かい?」

クスリと聖は笑う。

「でも、神を人の常識で測っちゃダメだ」

納得がいかないまでも、茅場は納得する。

「はい」

「あいつを怒らせると、怖いぞ、そこらの並の男よりな。あれは逆ギレしたら、手が付けられないぞ」

「酷いです。聖さん」

怒っていった。

「悪い、悪い。でも、美女を怒らせるとあんなに怖いものかと学んだよ」

謝りながら、謝罪になっていない事を聖は言う。

「でも、黄泉の国まで、送って行っても、最後まではいけませんよね」

「何故?」

「だって人は、地獄か天国に行くとこ別れるでしょ?」

「それこそが人の思いだ。あの世は一つしかないし、天国とか地獄とかって別れて無いぞ。それこそが、人の思い込みだ」

「そうなんですね」

茅場はビックリする。そうなのかと。それなら、生きている時の行ないとか、関係ないのか?

茅場の思いが分かったのか、聖は笑う。

「ああ、そうだ、死後の世界など人が作ったものだ」

「では、そんなものないと」

「ああ、あの世は一つだけだ。そこには、何もない」

「では、何故人は思いこむのでしょうか? 極楽浄土とか」

「それは、人の思い込みだな。自分が極楽浄土に行けると思えばそこは極楽浄土だし、反対に地獄に落ちると思っているものには、そこは地獄になる」

「と言うことは、死後には皆同じ世界に行くと言うことか?」

「ああ、そうだ」

「夢もないですね」

「ああ、そうだな。あの世があるとしたら、そこには無だけだ」

「無か? では、何から彼女を守るのですか?」

「鬼だな。それは、生きた時善である奴ほど、狙われる。だから、彼女の護衛が必要なんだ」

「そうなんですね?」

「ああ」

そして、暫くして戻って来た天后と白虎の姿に聖は驚いた。

凄く、二人は傷ついていた。

「安心して下さい。彼女は無事届けました」

「そうか。ところで、どうしたお前達が鬼程度を相手にこんな傷を負うことないだろう?」

「ええ、鬼ではありません。あれは・・・」

天后が言い淀むと、白虎が続けて言う。

「天魔十神刀と北斗七星が待ち伏せしてやがった。クソー、天后にこんな傷負わせやがって許せねえ」

「ふ〜ん、篁に本気で喧嘩をうるとは身の程知らずだな。確かに、彼らは天魔十神刀と北斗七星を式として持っているかもしれない。でも、所詮十二天将を前にしては、敵ではない」

「そうだぜ」

白虎が意気揚々と言う。

「まず、お前達は傷を治してから、言え。ほら傷口を出せ」

「いらねぇよこのぐらい、屁でもないぜ」

「お前にしてみれば、屁でもないだろうが、それを見る天后の事を考えろ」

そう言うと腕を出す。天后も腕を出す。

それに、手を翳すと言う。

「かのもののたちの傷を癒したまえ急々如律令」

聖はそう言って、天后と白虎の傷に手を翳すと、傷を癒やす。

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