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旅の仲間が増えました。

 ゴトゴトと揺れる荷馬車に乗って、今日の宿泊場所の街道沿いにあるロフルという町に向かってます。

 荷台には私とリオールさん、そして私の膝の上にはあの子猫?もいますよ。

 子猫?が卵から孵化したあの後、そろそろ出発しようかっていう時間になったので、ほんとにどうしよう!?とリオールさんを見ると、周囲をキョロキョロ見てから私に「どうする?」と訊ねてきました。


 逆に言いたい。どうしたらいいの!?と。



 言っても仕方が無いんですが、私が困ってるのが見て分かったのか、リオールさんがアドバイスをくれたわけです。

「その子、多分マジュウだと思うから、ここで逃がしちゃうより、帝都のキジュウヤに引き取ってもらった方が良いと思うよ」

 僕の知ってるのとはちょっと毛色が違うみたいだけど、という言葉つきで。

 しかし、リオールさん。『マジュウ』って何?『キジュウヤ』って何?という状態なんですが、でも、それが常識だったら疑問もたれちゃうので、聞くに聞けない。

 というか、『マジュウ』って『魔獣』と書くのだろうか。それに、この世界の動物って、卵から生まれるもんなんですかね?

「あ、リオ「きゅ?」さん」

 リオールさんの名前呼んだら、子猫?が鳴いたので、視線を向けると私を見上げていた。まるで、なーに?と問うようなつぶらな瞳で。

 かわいかった。

 ちょっとだけキュンキュンしてたら、リオールさんが笑って「その子、尾が一本だから『ホーンキャトラ』のヨウジュウだね」という。

「ほーん、きゃとら?」

「そう。卵から孵化したばかりのホーンキャトラは、その辺にいる猫と見分け付かないって授業で習ったから。まぁ、孵化したばかりのマジュウやヨウジュウなんて、普通に生活してたら見る機会もないから、絶対とは言い切れないけど。セイジュウになればツゥも知ってる、ホーンキャットみたいに角も生えてくるし、あの馬よりも大きくなるよ」

 とリオールさんが指差したのはボブさんの馬。つぶらな瞳でこっちを見てます。ちなみにボブさんは木陰でうたた寝中。ちなみにリオールさんは、視線は子猫?をしげしげと観察している。

 リオールさんの説明からすると、『ヨウジュウ』は『幼獣』で、『セイジュウ』は『成獣』だと思う。ホーンキャトラはこの子猫?の種類のことだと思うけど、マジュウってなんだろ?やっぱり『魔獣』なんだろうか。もう『魔獣』でいいや。

 どこまでもふぁんたじーな世界だし。


 それはさておくとして。


 野性っぽい獣は、どうすべきか、に戻るわけだ。

 さっきリオールさんが、逃がすよりも街で引き取ってもらう方が良いって言ってた。『キジュウヤ』が何かわからないから、どうしていいか分からないと言うのが本音。できるならひどい目にあってほしくないから、このまま逃がす方が良いのかもしれないけど。

 一応、逃げなさい、という意味を込めて森の方へ押してみた。


 ぐいっ、


「きゅ?」


 ぐい、ぐい、


「きゅ?きゅ?」


 可愛らしい鳴き声を上げるが、その場から動こうとはしない。つぶらな瞳で見上げてくるホーンキャット。可愛いじゃないか。

 じゃなくて、今度は私が立ち上がって離れてみた。


「きゅー、きゅ」


 歩いだ分だけついてきた。始めはヨタッとしてたけど、段々と足取りも良くなってきて、ちょこちょこ後ろをついてくる。

 どうしよう。ぐるぐるとリオールさんのまわりを周れば、ホーンキャットも私の後をついて歩くため、リオールさんのまわりをぐるぐると周る。

 ぐるぐるぐるぐる周っていれば「どうやらツゥのこと、親だと思ってるみたいだね」と、笑顔でリオールさんに言われる始末。


 ま、そういワケけでってどういう訳だよっていうけど、子猫?改めホーンキャットが、旅の仲間に加わりました。


 片道切符で、帝都についたら謎の『キジュウヤ』に連れて行かなきゃならないけど。何でも、一般の人が魔獣を育てるのは大変らしい。主に大きさ的な意味で。そのため、専門の人に渡した方が良いよってことらしい。そうとなれば、短い間だけど頑張って親をやりましょう。

 ちなみに、このホーンキャットの名前なんですが、アッリオというらしい。らしいと言うのは、成り行きでそうなったからです。主に私が原因ですがね。

 町に着くまでの間に、リオールさんに水を差し出したり咲いてる花の名前を訊ねてたんですよ。何回かリオールさんの名前を呼んでたんだけど、ホーンキャットが割り込むように返事をすることがあって、それを不思議がったリオールさんが何回か試した結果、発覚しました。

 なんか、特定の呼び方をする時に返事をするみたいに鳴くねーってとこから、何回か呼び方を試したら、「あ、リオ」のところで「きゅ」って返事するんだよね。可愛かった。

 リオールさん曰く、ホーンキャットが孵化するときに、私がリオールさんの名前を途中までだけど呼んじゃったからじゃないのかな?ってさ。

 詳しくは分からないのは、授業ではそんな細かなとこまで習わないみたい。やったのは、どういう姿で特徴がどうとか、ていうことらしいよ。



 というわけで、ゴトゴトと荷馬車に揺られること一日。途中で定員が増えたけど、ようやっと今日の宿泊場所である街道沿いの町、ロフルに到着です。


 ながかったー。

『魔獣』卵から孵化します。成獣になると、やたら大きくなります。

    人を乗せることも可能です。

『ホーンキャット』幼獣時は見た目もサイズも子猫。成獣時には馬より大きくなり、額に角が生えます。鳴き声は「きゅ」「きゅー」


12/15 王都から帝都に訂正!

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