謎の卵の対処について。
心の中で叫んだあとは、とりあえず手を引っ張ってみた。
ぐっと引っ張れば、卵がゆらりと動いて指にくっついてきた。
駄目だ。・・・どうしよう?
指先がくっついたまま離れないので、ここから動けない。引きずれば動くけど、それをやると指が痛い。なので、リオールさんたちの所に戻れない。
置いて行かれることは無いだろうけど、かといってこのままでいいはずもなく、無駄な抵抗をしているようでも、とりあえず引っ張る。ズル、ズル、ズル、と音を立てて、卵も移動する。卵が少し重いようで、指の先の皮が引っ張られて痛かった。
このまま戻ろうかなー、でも痛いなーって考えてると、コツ、という音が聞こえた。あと、指先から振動も感じた。
じっと卵を見ていると、コツ、コツ、と音が響く。振動も響く。もちろん私が何かやっているわけではないので、卵が動いているんだっていうのは分かったけど。
・・・これ、何フラグ?
コツ、コツ、コツ、と音はする。小さな音。その度に指に伝わる振動。でも、卵が割れる様子はない。
まるで、外側から割られるのを待っているように。
あれ?もしかして待ってるパターンですか?
王道パターンだと、こういうものから生まれるのは、生涯のパートナーとかだったりするけど、それは王道主人公だった場合。
さて、ならば自分だったらどうだろうか。
バッドエンドへ向かうなら、人食い○○とかが生まれて、ごちそうさま!されちゃう感じだよね。獲物にがしませんよっていう、この現状からも考えられるし。
しかし、何時までもくっついたまま…というわけにもいかないと思う。
最悪、この卵を壊してでも・・・って、結局卵割らなきゃならないんなら、割るしかないくね?
自分の勝手で、リオールさんたちも一緒に餌食になったら困るし。ここなら次のターゲットに選ばれても、剣を構えることくらいできそうだし。
ちらっと見ると、遠くに見えるリオールさんはちゃんと帯剣してるのが見えた。さすが、軍学校に通ってるだけある。
帯剣してるから、それなりに使えるんだと思う。いえね、素人が言うのもあれだけど、バランスとれた歩き方してるから、重心がしっかりしてるんだと思う。一回鞘に入ったまま持たせてもらったけど、ずっしりきたね!鉄ですか?と聞いたら青銅とのことでしたが。
そんなわけで、遠く離れてるリオールさんたちがどうか無事であるように、とか思ってないで知らせればよかったんだけど、声が出ないので却下です。というか、声でなくないけど、多分声出したら卵割れる気がする。私の第6感がそう告げてる。きゅぴーん!(滅)
というわけで、深呼吸して、私は声を出すことにしました、まる。
・・・なに言えばいいのやら。
ちょっと悩んで、やっぱり定番の逃げてーとかかなー?て考えてると、後ろから声がかけられました。
「ツゥ、どうしたの?」
「あ、リオ・・・」
振り返った先に居た人を見て、うっかり声出してしまいました。
ピシッ
響くは何かが割れる音。
「ツゥ?それは・・・」
「リオールさん!逃げて!!」
リオールさんの質問を遮って、私は叫んだ。それと同時に、パンッ、と軽い音がしたと思ったら、指先にあった感触が消えて、その代わりに感じたのは、暖かな波のように広がった空気。
そして、
「きゅぅ?」
「・・・あれ?」
卵があった場所に居たのは、クリーム色をした子猫っぽい生物だった。
小さな手足にクリーム色の毛は短毛種なのか短めだけど、柔らかそうにふわふわとしており、見上げてくるつぶらな瞳は綺麗な緑色。
「これは・・・」
リオールさんが呟いて、口元に手を当てて目を丸くしていることから、何か知ってる様子ですが、逃げてないから大丈夫っぽい。
さっきから、「きゅー、きゅ~?」とか言ってる子猫っぽい生き物は、私に何かを訴えてますが、アクションに困って、現在私はリオールさんに助けを求める視線を送ってます。
でも、考え混んじゃってるので届いてないっぽいので、どうしよう?
なんか生まれました。