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早い朝と書いて早朝、むしろ今は夜明けだよね。


 あったかい。やわらかい。

 そばで、ぐるぐるぐるぐる、おとがきこえる。あったかい。


「――、―――て」


 おとがやんで、あったかいのがなくなった。でも、きゅー、となくのは、アッリオ?

 そういえば、ずっとそばにいたね。私のとなりに座って、お兄さんと話してるときは大人しかったね。

 人見知りしないのはいいことなのか、悪いことなのか。どっちだろう。

 ニンゲンはこわいんだよって、教えた方がいいのかな?

 それとも、このまま・・・


「――、――きて」


 ・・・声が聞こえる。すっごいでじゃびゅー。

 精霊の、お兄さん?


「――、―おきて」


 お兄さん・・・リオール、さん? 


「ツゥ、起きて」

「・・・・・・あぅ?」

 目を開けると、そこに居たのはリオールさんだった。

 闇の精霊のお兄さんはどこにもいなくて、アッリオが私の頬をなめる。

「おはよう。もう少し寝かせてあげたいけど、そろそろ起きないと待ち合わせに遅れてしまうから」

 さぁ、起きて。って促し、私を起こすリオールさんは、服も荷物もすでに準備万端。リオールさんの荷物の横には、私の荷物も一緒に置いてある。

 外を見れば、窓からはうっすらと明るくなった空が見える。さっき見たの同じ、空の色。

 でも私は、今起きた。

 あれ?私、寝てたの?夢落ちなの?


 でも・・・


「ツゥ、着替えは枕の所に置いてあるから、早く着替えてね」

 言われてみてみれば、枕元には私の服が置いてあった。つまり、私待ちですか。

 リオールさんが、これまた用意してくれた手ぬぐいで簡単に体を拭いて、残った荷物を片付ける。

 寝巻みたいなも荷物になるものは持ってないし、そんなに長旅でもないので、服に至っては着た切り雀だそうです。毎日お風呂がある生活をしていると、身体服だけってのは綺麗になった気がしない。でも、この世界ではお風呂に入るっていうのは、大きな桶にお湯を入れて、その中に膝を抱えて入る桶風呂とでもいうのか。それだって毎日じゃない。2~3日に1回くらいだし、夏場は川で水浴びだそうだ。

 そもそも昨日の夜はご飯食べたらすぐ寝ちゃったから、そんなことをしてる暇もなかったんだけどね。我が儘は駄目だす。自粛自粛。


「おまたせしました」

 荷物を持って、わざわざドアの外で待っていてくれたリオールさんに声を掛けた。出来るだけ素早く動いたけど、待たせてしまったのは申し訳ない。

 昨日、ちゃんと起きる時間も聞いてたのにー!

 闇の精霊のお兄さんが夢落ちなのか、私の妄想の産物なのか、とにかく寝不足ってことが無い感じなので、ベッドで寝てたのは確かです。うん。魔法がある世界だから精霊が居ても別にいいんだけど、次は時間になったら起こしてもらおう。そうしよう。

 するっと足元をアッリオが抜けて、部屋のドアを閉める。鍵はかけなくていいらしい。朝ごはんと昼ごはんは宿の人に頼んであるので、カウンターの所で受け取るんだって。

 宿代と一緒に精算するのかなーって思ってたら、宿代は先払いらしいってのは、お弁当受け取った時にお弁当代しか払わなかったことで知った。

 それが高いか安いかは、私には分からない。

 よくよく考えれば、金銭的なことは全く教えてもらってなかった。というか、物々交換がほとんどで必要なかったんだよね、あの村では。


 うん、これは覚えなくてはなりませんな。


「よう!リオールにツクシロ、おはよーさん」

 宿を出た所で、若干朝っぱらからテンションの高そうな昨日の変質者・・・じゃなくて、セグロスさんが居た。昨日と同じ恰好だ。セグロスさんだけじゃなくて、オーリケットさんも居たけど、こちらは静か。静と動みたいだ。どっちがどっち、てのは言わなくても分かるだろうけど。

「セグロスさん、オーリケットさん、おはようございます」

「おはようございます」

 私たちのテンションは、いたって普通。

「今日からよろしくな!あと、こいつ朝起きるの苦手でよ、ちょっと今はいつも以上に愛想が悪くなってるけどよ、歩いてるうちに戻るはずだから」

 元気のよいセグロスさんは、リオールさんと私にそういうと、街の北門を出たろころで再び待ち合わせて別れました。


 なーんでか。



 答え、彼らは馬車持ちだから。



 私たちはこの後、馬を預けてある所まで行って、ボブさんに事情を説明しなければなりません。なので、セグロスさんは馬車を取りに行ったアルフォンスさんと合流して、一足先に来た門の所に待機するそうです。

 さて、そうなると、ここに一人残る人がいるんですが・・・。


「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


 説明役として一緒に来ることになったオーリケットさんなんですが、まったく会話はなく、黙々と私たちの後ろを歩いております。

 こころなしか、眉間に皺が寄ってらっしゃるような?



 ・・・大丈夫だろうか?



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