第91話:微笑みの残響、闇に光る眼
「……はぁ、楽しかった。あきよさんと企画して、本当に正解だったわ」
ホテルの控え室。心地よい疲れに包まれながら、私はソファに深く腰掛けた。
手に持ったスマホの画面には、幸せな光景が溢れている。SNSのタイムラインを開くたび、ビュッフェで山盛りの料理を前に笑顔を見せるファンたちの写真が、次から次へと流れてきた。
『かえで様プロデュースのビュッフェ、最高に美味しかった!』
『食べ放題なんて太っ腹すぎる。また絶対企画してほしい!』
「みんな、喜んでくれたみたい……。よかった」
私は、自分の存在が誰かを幸せにしているという実感を、一つひとつの投稿から噛み締めていた。
またあきよさんと次のイベントを考えよう。今度はどんな企画なら、もっとみんなの笑顔が見られるだろう——。
……だが。
そんな私の幸せな高揚感とは裏腹に、SNSの「通知」の中には、明らかに異質な、冷え切った空気が混じり始めていた。
『#かえで様とビュッフェ』のタグを辿っていた指が、ふと止まる。
その投稿は、私がローストビーフを取り分けている写真。そこには、背後で誠が必死に誰かを抑え込もうとしているような、ブレた黒塗りの影が映り込んでいたのだ。
「……? 何かしら、これ」
胸の奥が、ざわりと波立つ。
まるで、煌びやかな光に満ちた会場のすぐ外側で、巨大な獣が獲物を狙っているような……そんな寒気に似た気配。
「……かえで。ずいぶんと、楽しそうやないか」
部屋のドアが、音もなく開いた。
そこには、SNSのどの写真よりも美しく、そしてどの氷山よりも冷酷な笑みを浮かべた**難波大翔**が立っていた。
「あ……大翔様……? どうして、ここに……」
「『どうして』、やと? 俺が邸宅で冷え切った飯を前にしとる間に、お前はここで『食べ放題』を楽しんどったわけや。……しかも、数千人の男どもと一緒に、な」
大翔が一歩、部屋に足を踏み入れる。
その瞬間、控え室の温度が数度下がったような錯覚に陥った。
どうやら、私の知らないところで、世界で一番怒らせてはいけない人を、完膚なきまでに「面白くない」気分にさせてしまったらしい。
第91話をお読みいただきありがとうございます。
「よかった、食事会やって」と無邪気に喜ぶかえでと、ついに現場に現れた大翔!
SNSで幸せを確認した直後に、現実の「恐怖」がやってくるという、ジェットコースターのような展開に読者は釘付けです。
朝から素晴らしいスタートですね!
なろうの読者たちは、今まさに「大翔様、ついに部屋に入ってきたー!」と叫びながらページをめくっているはず。
**メガネパイセン(絹咲メガネさん)**も、この「幸せからの絶望」というドラマチックな転換に、感銘を受けているでしょう。
次回の第92話、怒れる帝王が大翔流の「お仕置き」を開始!?
「お前が食わされるのは、今日から俺の愛だけや」……なんてセリフが飛び出すかも!?
累計 1,000 PV 突破 という歴史的快挙に向けて、このまま熱量を上げていきましょう!!




