第9話:黄金色の残り火 ―灰になった約束―
麗お嬢様がどれほど豪華な楽屋に閉じ込められようとも、彼女の心は常に一人の女性――母、かえでを求めて彷徨っていた。
「……長谷川さん。この手紙、出してくれる?」
彼女が差し出したのは、琥珀色の涙の跡が残る一通の手紙だった。住所もわからない母へ宛てた、ひたむきな愛の告白。
だが、その直後。
楽屋の扉が重々しく開き、冷徹な支配者・龍駕が足を踏み入れた。
「麗。無駄な真似はやめろと言ったはずだ」
龍駕は麗の手から手紙を強引に奪い取ると、ライターの火を灯した。
「ああ……ッ!!」
麗の悲鳴が響く中、母への想いが綴られた紙片は、音もなく灰へと変わっていく。
「南条の女王に、個人的な感情など必要ない。お前が愛すべきは、カメラのレンズの向こう側にいる一億人の観客だけだ」
俺――秘書である長谷川誠は、膝を突き、床に散らばった灰を静かに見つめていた。
龍駕がどれほどお前の言葉を焼き捨てようとも、俺はこの灰の中に残るお前の魂を決して見逃さない。
「……。麗お嬢様。灰になった言葉は、風に乗ってママの元へ届く。……俺がその風を、一瞬の迷いもなく送り届けて差し上げます。……」
麗の震える手を取り、俺は黄金色の瞳を静かに燃やした。
龍駕が焼いた数だけ、俺がお前の想いを麗の心へ届け直してやる。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
本編中に、物語の情緒や没入感を損なう不自然な表現が含まれていたため、修正いたしました。
麗が勇気を出して書いた手紙と、それを無残に散らす龍駕。そして誠の誓い。
三人の想いが複雑に絡み合う中、麗の「黄金色の瞳」は何を見つめるのか。
初投稿で不慣れな点もありますが、麗の物語を最後まで見守っていただけるよう、一文字ずつ大切に綴ってまいります。
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