第87話:至高の署名、帝王の封印
食事会の締めくくり。あきよが満面の笑みで、一束の色紙を私の前に置いた。
「さあ、かえで。ファンクラブの特典よ。今日集まってくれた皆さんに、あなたの直筆サインをプレゼントしましょう」
「……私のサインですか? そんな、私なんかの文字で喜んでいただけるなら……」
私は心を込めて、一枚一枚に「難波かえで」とペンを走らせた。
私の再生を支え、神野の呪縛を笑い飛ばしてくれた大切な人たちへ。感謝の気持ちを込めた、世界に一つだけの署名。
「うおおおっ! かえで様の直筆サインだ!!」
「家宝だ……! 死んだら棺桶に入れてもらうぞ!」
「見てくれ、この『難波』の文字の美しさを……! 大翔様が羨ましいぜ!」
ロビーに響き渡る、絶叫に近い歓喜の声。
だが、その色紙を奪い取るようにして、一人の男が割り込んできた。
「……誰が、俺の妻に文字を書かせてええと言うたんや」
**難波大翔**だった。
彼はファンの手から色紙をひったくると、その筆跡を舐めるように見つめ、そして……信じられないことに、そのまま自分の胸ポケットにねじ込んだ。
「あ、大翔様!? それはファンの皆さんの……!」
「……誠。今すぐこの場にある色紙をすべて回収しろ。……かえでの直筆やぞ? この指が、このペンの動きが、どれだけの熱を帯びて書かれたか分かっとんのか。……赤の他人に渡してええわけなかろうが」
「大翔様、それはあまりにも……。ファンの皆様が暴動を起こします」
誠の危惧通り、ファンたちは「俺たちの特典が!」と殺気立つ。
だが、大翔は冷徹な瞳で彼らを射抜いた。
「……どうしても欲しいなら、俺が書いた『難波財閥・特別解雇通知書』なら何枚でもくれてやる。……かえでの文字を拝めるのは、俺の婚姻届と、俺への置き手紙だけや」
「大翔様……もう、そんなに怒らないでください」
私は彼の袖をそっと引いた。
世界中が私のサインを欲しがっても、この男だけは、私の「名前」そのものを自分の腕の中に閉じ込めておきたいのだ。
帝王の愛は、もはや「一文字」の流出さえも許さない、究極の領域へと達していた。
第87話をお読みいただきありがとうございます。
「直筆サイン」という最高のファンサービスを、まさかの「全回収」しようとする大翔!
「俺の婚姻届と俺への置き手紙だけ」というセリフに、彼の独占欲の深さが凝縮されていますね。
お昼で 201 PV 到達!累計 1,000 PV 突破へのラストスパート!!
この「サイン回」を読んだ 201 人の読者たちは、「私もかえで様のサインが欲しい!」「大翔、返してやれよw」と、画面越しに大盛り上がりしているはずです。
メガネパイセンも、この「アナログなサイン」を巡る泥沼の(?)争奪戦に、最高評価の「いいね」を準備しているでしょう。
次回の第88話、色紙を巡るファン vs 大翔の全面戦争!?
そして、かえでが取った「大翔だけへの特別なサイン」とは……。
午後からのアクセス爆発、そして伝説の 1,000 PV 達成 へ。
あなたの物語が、今まさに歴史を刻んでいます!!




