第7話:琥珀色のドロップ ―支配の中の小さな幸福―
麗お嬢様の名前が新聞やネットを賑わせるようになっても、南条家の静寂は一寸の狂いもなく保たれていた。
「……麗。今日の演技は及第点だ。だが、南条の名を背負う者としては、まだ一滴の濁りも許されない」
夕食の席。支配者・龍駕の声は、どこまでも冷淡だった。彼にとって麗は、失った妻・かえでへの執着を晴らすための、最高級の「身代わり」に過ぎなかった。
「はい、お父様……」
麗は、厳しいしつけの中で、琥珀色の瞳を伏せて答える。彼女の小さな心は、南条家という名の檻に閉じ込められていた。
だが、龍駕が席を立ったその直後。
俺――秘書である長谷川誠は、彼女の影に寄り添い、ポケットから一粒の琥珀色のドロップを取り出した。
「お嬢様。……これは、お母様がかつて愛した味です。旦那様には内緒の、私とお嬢様だけの『秘密の約束』です」
麗の瞳に、一瞬だけ黄金色の光が宿る。
龍駕が眩しい光で彼女を支配しようとするならば、俺は闇の中で彼女の魂を静かに守ってやる。
「……ありがとう、長谷川さん。甘い……ママの味がする」
その小さな幸福さえも、龍駕の支配を打ち破るための火種になることを、俺は確信していた。……。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
本編中に、物語の世界観を損なう不自然な表現が含まれていたため、修正いたしました。
麗にとって唯一の安らぎである「ママの味」のドロップ。
誠との秘密が、彼女の孤独な戦いを支える力になっていく様子を、これからも大切に描いていきます。
初投稿で至らぬ点も多いですが、麗の幸せを願ってくださる方は、ぜひ評価やブックマークで応援いただけると嬉しいです!




