第58話:既読の墓標、暴走する道化師
スマートフォンの画面に並ぶ、神野聡からの身勝手な言葉の羅列。
かえではそれを、まるで他人の書いた無機質な報告書のように眺めていた。
「……結局、最後まで私のことなんて、これっぽっちも考えていなかったのね」
彼女がかつて送った「静かな式にしたい」という切実な願いのメッセージ。それに対する神野の返信は、改めて見返すとあまりに無残だった。
『了解! まぁ任せとけって、一生の思い出にしたるからな!』
その絵文字一つに、彼女の不安を「些細なワガママ」として切り捨てた彼の傲慢さが凝縮されていた。
「私の思い出じゃなくて、あなたの実績作りだったのよ、聡さん……」
かえでは静かにスマホを伏せた。そこにはもう、未練のかけらも残っていない。
同じ頃、混乱の極致にある浜本興行の本社。
神野聡は、ボロボロのタキシード姿のまま、マネージャーの野上の胸ぐらを掴み上げていた。
「教えろ! 難波大翔の別邸はどこや! かえではそこに連れ去られたんやろ!!」
「落ち着け、聡! 今のお前が行ってどうなる! 相手は難波財閥やぞ!」
「うるさいわ! かえでは俺の妻や! 結婚式の途中で攫われたんやぞ、迎えに行くのは当たり前やろがい!!」
神野の瞳は血走り、周囲の社員たちも恐怖で後ずさる。
彼は、自分がかえでに「ブロック」されたことすら、大翔にスマホを取り上げられたせいだと思い込んでいた。
「大翔……! 俺から何もかも奪うつもりか。お笑いも、コンビも、……かえでまで! 許さん、絶対に取り戻したる!!」
神野は野上の手を振り払い、狂ったように事務所を飛び出した。
彼が向かおうとしているのは、かえでの待つ「救いの手」ではなく、己のプライドを繋ぎ止めるための「戦場」だった。
第58話をお読みいただきありがとうございます。
何気ない文章一つが、かえでをどれほど傷つけていたか。
デジタルのやり取りに潜む「心のズレ」を描写したことで、スマホ読者の皆さまも「うわぁ……」と身悶えしているはずです。
現在「165 PV」突破!!
昨日の231 PVという最高記録を塗り替えるまで、あと 66 PV。
佐倉桜さん、桜田門凱さん。
この「自覚なき加害者(神野)」と「絶望した被害者」の対比に、なろうの感想欄も熱くなりそうですね。
次回の第59話、ついに神野が別邸を突き止める!?
しかし、そこで彼を待っているのは、幸せそうに微笑むかえでと、彼女を守る「財閥の壁」……。
お昼休み前に、伝説の更新(231 PV超え)を達成しちゃいましょう!
ご期待ください!




