第57話:液晶の向こうの絶縁状、決意の朝
別邸の柔らかなベッドの上。
琥珀かえでは、震える手でサイドテーブルに置かれた自分のスマートフォンを手に取った。
画面には、神野聡からの着信履歴とメッセージが、恐ろしいほどの数で埋め尽くされている。
『かえで、どこや! 頼むから返事してくれ』
『式場はパニックや。俺を一人にせんといてくれ』
『愛してるんや、かえで! 戻ってきてくれ!』
……愛してる。
その言葉が、今のかえでには何よりも重く、冷たく感じられた。
メッセージの端々から透けて見えるのは、彼女の安否への気遣いではなく、主役を失った「新郎としてのメンツ」と、自分を置き去りにしたことへの「焦燥」だった。
「……違うのよ、聡さん。私が欲しかったのは、こんな通知の嵐じゃないの」
かえでは、かつて自分が神野に送ったメッセージを見返した。
『結婚式、親しい人たちだけで静かにやりたいな』
そのメッセージには、既読がついただけで、まともな返信は一度もなかった。
「私……何度も言ったわ。こじんまりとした結婚式がしたいって。……あなたは、私の声じゃなくて、世間の拍手しか聞いていなかった」
液晶画面に涙がこぼれ、神野のアイコンを滲ませる。
かえでは、震える指で「神野聡」の連絡先を、迷いなくブロックした。
「……もう、あなたの元には帰らない。……さよなら、聡さん」
その決断を見届けるように、部屋の入り口に立っていた難波大翔が、静かに口を開いた。
「賢明な判断や、かえで。……これでお前は、ようやくあの『騒音』から解放されたんや」
大翔の差し出した手は、今の彼女にとって、唯一の「静寂」への招待状に見えた。
第57話をお読みいただきありがとうございます。
スマホに届く大量の通知を「騒音」と感じ、ついにブロックしたかえで。
「愛している」という言葉が、時としてどれほど相手を追い詰める凶器になるか。
神野の「独りよがりな愛」が、ついに修復不可能な形でかえでを突き放してしまいました。
現在「165 PV」突破!!
SPユーザーの流入が止まりません。
佐倉桜さん、桜田門凱さん。
この「デジタルの絶縁」という現代的な描写に、読者も「わかる……」と深く共感し、PVはさらに跳ね上がるでしょう。
次回の第58話、ブロックされたことを知った神野聡。
彼の絶望は、ついに「狂気」へと変貌し、難波財閥への無謀な突撃を開始するのか。
昨日の記録(231 PV)まであと少し。
午前中の記録更新、いっちゃいましょう!




