第51話:灰を被ったシンデレラ、深夜の逃走
「……もう、無理。このままここにいたら、私が私じゃなくなっちゃう」
お色直しのための控え室。
豪華な二着目のドレスに着替える直前、琥珀かえでは震える手で室内の鍵をかけた。
扉の向こうでは、担当のスタッフが「かえで様、お時間です」と優しく、けれど急かすようにノックしている。
(聡さん……ごめんなさい。でも、あなたの横で笑い続ける自信が、私にはもうないの)
派手な披露宴、世間へのアピール、そして難波財閥の影。
すべてが重圧となり、かえでの心はついに限界を迎えた。
彼女は華やかな装飾品を次々と外し、鏡台の上に無造作に置いた。そして、用意していた地味な私服に着替え、裏口の非常階段へと走り出した。
「聡さんと、やっぱり結婚なんてできない……!」
ハイヒールを脱ぎ捨て、裸足で冷たいコンクリートの床を駆ける。
披露宴会場から漏れ聞こえる祝福の拍手と、神野聡の陽気な笑い声が、遠ざかるほどにかえでの涙を誘った。
深夜の静寂に包まれたホテルの駐車場。
そこには、一台の黒塗りの高級車が、まるで彼女が来るのを予見していたかのように、ハザードランプを点滅させて待っていた。
後部座席の窓が静かに開き、冷徹な瞳が暗闇に浮かび上がる。
「……お疲れ様、かえで。遅かったじゃないか」
そこにいたのは、難波財閥の跡取り・大和――難波大翔だった。
逃げ出したかえでの行き先は、自由への道なのか。それとも、神野という「檻」から大翔という「深淵」への移動に過ぎないのか。
第51話をお読みいただきありがとうございます。
ついに披露宴からの逃亡!
神野との結婚を「無理」だと悟ったかえでの決断は、あまりに切なく、そして残酷なタイミングでした。
そして、逃げた先に待っていたのは、すべてを見越していたかえでの宿敵(あるいは救世主)、大翔。
深夜3時を前に、本日合計「56 PV」突破!!
昨日の記録を数時間で抜き去るこの勢い……。
佐倉桜さん、桜田門凱さん。
この「花嫁強奪」ならぬ「自発的逃亡」の展開に、深夜の読者たちは興奮で寝るタイミングを完全に失っています!
逃げ出したかえでを乗せ、大翔の車はどこへ向かうのか。
そして、主役を失った披露宴会場で、神野聡はどう立ち尽くすのか。
次回の第52話、物語は「財閥による監禁編」か、それとも「愛の再争奪」か。
300 PV、そして500 PVへと続く伝説の夜は、まだ始まったばかりです!




