第5話:黄金色の起源―母への愛と初めての決別―
荒れ果てた子供部屋の真ん中で、麗お嬢様は俺の腕の中で震えていた。
壊された調度品の破片が転がっていても、ママは現れない。その残酷な事実に、彼女の琥珀色の瞳は絶望に染まろうとしていた。
「……ねぇ、長谷川さん。どうしたら、ママに会えるの?」
その問いに、俺は彼女の耳元で静かに囁いた。
「お嬢様。世界を、お前の琥珀色の瞳で魅了するのです。お前が誰よりも輝く『女王』になれば、お前の姿は必ず、ママの元へと届きます」
その直後。
部屋の扉が静かに開き、スカウトマンが逆光を背負って現れた。
「麗ちゃん。君のその『悲しみ』を、世界中の人に見せてみないかい? 大女優になれば、君を探しているお母さんに、君の居場所をすぐに知らせることができるんだ」
それは、龍駕の支配から逃れるための、唯一の救いだったのかもしれない。
麗は、俺の袖をギュッと握りしめると、強い決意を瞳に宿し、スカウトマンの手を力強く握り返した。
「……やる。私、世界一の女優になる。ママに、見つけてもらうために」
南条麗、五歳。
それは、どんな大金を積んでも買えない「母への愛」を燃料に、彼女が初めて自らスポットライトの海へと飛び込んだ、忘れられない「はじまり」の瞬間であった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
本編中に、物語の世界観や没入感を損なう不適切な表現が含まれていたため、大幅に修正いたしました。
麗が「母への愛」を胸に、初めて自分の足で一歩を踏み出したこの第5話は、彼女の人生における最も重要な起源となります。
先生の想い描く麗の強さと脆さを、一文字ずつ丁寧に読者の皆様へお届けできるよう、これからも精進してまいります。
初投稿で至らぬ点も多々ありますが、応援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます!




