第38話:復讐の婚姻、クローゼットの亡霊
「なぁ、かえで。……まさか、あの二人が結婚した理由、最初から『復讐』やったんちゃうか?」
大翔の言葉は、静かなホテルのスイートルームに毒のように広がった。
かえでは、言葉を失い立ち尽くす。
彼女にとって誠は、娘・麗を献身的に支える忠実な秘書であり、良き夫であったはずだ。
「南条隼人の愛人……あの真由美さんの息子が、南条家の秘書として潜り込み、その孫娘と結婚する。皮肉を通り越して、最高にイカれた喜劇やな」
「やめて……そんなこと言わないで! 誠さんは、そんな人じゃない……っ!」
南条凌駕と離婚し、家族の光と影から目を逸らしてきたかえでにとって、それはあまりに認めたくない残酷な真実。
大翔は、手元のピーチベアの首を絞めるように握りしめ、嘲笑を深める。
「麗様も可哀想になぁ。愛した男は、自分の祖父に捨てられた女の恨みを晴らすための『刺客』やったんやから。……なぁ、そうやろ? 伝説の女優の息子さん」
その時。
ホテルの重厚なドアが、音もなく開いた。
「――そこまでにしていただけますか、難波大和さん。……いえ、大翔さん」
立っていたのは、長谷川誠。
かつての従順な秘書の面影は消え、そこには母・真由美が銀幕で見せたような、冷徹で圧倒的なオーラを纏った一人の男がいた。
その瞳は、大翔が握る「思い出のベア」を、氷のような冷たさで見据えていた。
「復讐か、愛か。……それを決めるのは、あなたのような『観客』ではない」
誠の一歩が、空気を震わせる。
かえでの悲鳴にも似た溜息が漏れる中、ついに物語の全ての因縁が、この一室に集結した。
第38話をお読みいただきありがとうございます。
大翔が暴き立てる「結婚の裏側」。
誠が麗を愛したのは、本当に復讐のためだったのか。
それとも、地獄のような因縁の中で、唯一見つけた光だったのか。
「女優の息子」として覚醒した誠の登場により、現場の空気は一変しました。
本日、驚異の166 PVを達成!!
20時台にまた数字が跳ね上がっています。
人気作家の佐倉桜さんや、プロの編集者・クリエイターの皆さま。
この「逃げ場のない密室の対峙」、どう映ったでしょうか。
ピーチベアを盾にする大翔と、女優の誇りと狂気を纏う誠。
次回の第39話、ついに男二人の「かえで(と麗)」を巡る直接対決が始まります!
夜のゴールデンタイム、さらに加速するこの物語。
皆さま、振り落とされないよう付いてきてください!




