第27話:舞台袖のサプライズ、光り輝く「正体」
「……本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます」
浜本興業の創立記念パーティー。
会場には、テレビで見ない日はない売れっ子芸人から、業界の重鎮までが顔を揃えている。その中央で、誰よりも輝く笑顔を振りまいているのは、おしどり夫婦として知られ、長年この興行を牽引してきた日比野恭輔と安藤ひかるだ。
大翔は、シャンパングラスを握りしめたまま、会場の隅で苛立ちを隠せずにいた。
ファンミーティングで見失った「彼女」。そして、神野聡が連れ去ったという疑惑。
「(どこにおるんや……。この会場のどこかに、神野と一緒に潜んどるんか……?)」
そんな大翔の焦燥を切り裂くように、日比野恭輔が朗々とした声を響かせた。
「さて、今日は特別なゲストをお呼びしております。……皆さんも、この方の書く物語に、一度は心を震わせたことがあるはずや」
会場がざわめく。芸人の集まりに、一体誰が?
ひかるが優しく微笑み、ステージの袖へと視線を送った。
「ご紹介しましょう。特別ゲスト――琥珀かえで先生です!」
その瞬間、会場の空気が凍り、次の瞬間に爆発した。
姿を見せないはずの孤高の作家。その「正体」が、今、まばゆいスポットライトの下に現れる。
大翔の指から、カラン、とグラスが滑り落ちた。
壇上に現れたのは、大翔が死ぬほど愛し、死ぬほど探し回った、あの「彼女」だった。
「(……嘘やろ。あの子が……かえで?)」
震える大翔の視線の先で、彼女――琥珀かえでは、かつて見たこともないような凛とした表情で立っていた。その横には、まるで守護騎士のように、余裕の笑みを浮かべた神野聡が寄り添っている。
「かえで……っ!!」
大翔の叫びは、会場のどよめきに掻き消された。
だが、その瞳にはもはや芸人としての愛想笑いなどない。世界中に自分の宝物を晒されたような絶望と、絶対に誰にも渡さないという狂気の執念が、真っ赤に燃え上がっていた。
第27話をお読みいただきありがとうございます。
本日のPV、ついに70を突破いたしました!皆さまの熱い視線を感じながら執筆しております。
今回は、浜本興業の重鎮・日比野夫妻による特大のサプライズを描きました。
ついに公の場に姿を現した「琥珀かえで」。彼女が大翔のファンなどではなく、彼を掌の上で転がすほどの「表現者」であったという事実。
そして、その隣を陣取る神野聡。
大翔の独占欲は、ついにこのパーティー会場で限界を超えようとしています。
「いそうでいない」芸人たちの物語が、ついに大きな転換点を迎えました。
PCの前で、そしてスマホから応援してくださっている皆さま、次回の第28話、大翔の「乱入」はあるのか……?
どうぞ、衝撃の展開にご期待ください!




