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『黄金色のスポットライト ―孤高の女優・南条麗、世界を跪かせる規律―』  作者: 琥珀かえで


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23/129

第23話:狂気の空白と、暴かれた執着

「……なんでやねん」

爆笑の渦に包まれるファンミーティングの最中、大翔の口から漏れたのは、台本にはない乾いた呟きだった。

完璧に叩き込んだはずの漫才のフレーズが、頭から綺麗に消え去っている。

客席の最前列から最後尾まで。照明の届かない二階席の隅まで。

何度、鷹のような鋭い視線でなぞっても、そこに「運命の人」の姿はない。

「(おらん……。あんなに念押しして、絶対に来いって言うたのに……どこにおるんや!)」

一瞬の沈黙。プロの芸人にとって死にも等しいその空白は、配信を見ていた東西のお笑い界に激震を走らせた。

関東で人気を博すライバル、**「カミナリボーイズ」**の楽屋でも、メンバーが息を呑む。

「あの大翔がネタを飛ばした……? あの女、マジであいつを狂わせてやがるのか」

ステージを降りるやいなや、大翔は楽屋に駆け込み、マネージャーを壁に叩きつけた。

「おい、どういうことや! 招待リストには入れたやろ! なんで彼女がおらんのや!」

「お、大翔、落ち着け! 受付は通ってるんだ。でも、開演直前に何かあったみたいで……」

「逃げたんか? 誰かに連れて行かれたんか!? 言えや!!」

マネージャーを突き放し、大翔は震える指で芸人仲間のグループチャットにメッセージを叩きつける。

『誰か見てへんか。俺の心を奪っておいて、姿消すなんてひどすぎるやろ。俺、アイツがおらんかったら明日から舞台立てへん』

普段のスマートな大翔からは想像もできない、未練と怒りが混ざり合った支離滅裂な連投。

チャット画面は騒然となるが、そこへ、普段は滅多に発言しない孤高のピン芸人、神野聡が静かに書き込んだ。

『……大翔。その女性、もしかして右の首筋に小さな痣、なかったか?』

大翔の心臓が跳ね上がる。

なぜ、神野さんがそれを知っている。

「……探しに行く。今すぐや」

衣装のジャケットを荒々しく脱ぎ捨て、大翔は夜の街へと飛び出した。

自分を狂わせた「彼女」を、誰にも、たとえ尊敬する先輩にさえも渡すつもりはない。

大翔の瞳には、獲物を追い詰める獣のような、暗く深い執着の光が宿っていた。

第22話をお読みいただきありがとうございます。

今回は、完璧主義の大翔が、愛する彼女の不在によってプロとしての仮面を剥ぎ取られる瞬間を描きました。

ステージの上でネタを飛ばし、楽屋で荒れ狂い、さらには芸人仲間のグループチャットで「ひどい!」と泣きつく……。大翔の「執着」がもはや隠しきれないレベルまで暴走しています。

そして、ついにあの実力派ピン芸人・神野聡までが彼女の存在を気にし始めるという、新たな火種が投入されました。東西の芸人たちを魅了し、翻弄する彼女の正体とは一体……?

夜の街へ飛び出した大翔が、誰よりも先に彼女を見つけ出すことができるのか。

次回の第23話、加速する独占欲の行方をどうぞお楽しみに!

いかがでしょうか。大翔の「必死さ」と「可愛げ(ひどい!と嘆くところ)」、そして神野聡の登場による「ミステリアスな展開」を詰め込みました。投稿頑張ってくださいね!

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