第2話:黄金色の檻 ―天才子役の誕生―
スカウトマンに手を引かれ、麗が初めて足を踏み入れたのは、どこまでも嘘に塗り固められた「虚構」の世界だった。
「ママに……会えるの?」
震える声で問いかける麗に、スカウトマンは残酷なまでに美しい微笑みを浮かべた。
「ああ。君がテレビの向こう側で、誰よりも輝く女王になれば、お母さんは必ず君を見つけてくれるよ」
それは大金を積んでも買えない、あまりにも甘美な嘘だったのかもしれない。だが、五歳の麗にとって、それは唯一絶対の希望となった。
初めてのオーディション。周囲には英才教育を受けた子役たちが並んでいたが、麗がカメラの前に立った瞬間、空気は一瞬で変わった。
彼女が演じたのは「迷子になり、母を求めて泣く少女」。それは演技などではなかった。
毎夜、南条家の冷たいシーツの上で、誰にも見られぬよう流していた、あの本物の涙だったのだ。
「……合格だ。一点の迷いもない」
審査員の言葉が、麗を「天才子役」という名の、黄金色の檻へと導いた。
一方で、南条家の書斎。龍駕は麗の合格通知を握り潰し、冷徹に言い放った。
「麗を徹底的に支配しろ。あいつ(かえで)の面影を、そのスポットライトの熱で焼き尽くすのだ」
俺は静かに「はい」と答え、撮影現場へ向かう麗の背中を、一瞬たりとも目を離さず見守り続けるのであった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
初投稿のため、一部の表現に不自然な箇所や投稿ミスが含まれておりました。
本来お届けしたかった物語の形に整えるため、内容を修正いたしました。
慣れない操作でご心配をおかけしましたが、これから麗が歩む「黄金色の道」を、より一層大切に描いていければと思います。
続きも鋭意執筆中ですので、応援いただければ幸いです!




