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サンダーソニアの約束

作者: 空詩
掲載日:2026/02/04

花屋で働く梨花は毎朝、花言葉占いをしていた。

今日はサンダーソニア。花言葉は「望郷」「祈り」。


「誰かが帰ってくるのかな」


五年前、突然転勤で東京に行った幼なじみの蒼。

「必ず戻る」と言ったきり、連絡は途絶えていた。


その日の午後、店のドアベルが鳴った。

「いらっしゃいませ」


顔を上げた梨花は、息を呑んだ。


「久しぶり。梨花」


そこには蒼が立っていた。

優しい笑顔は昔と変わらなかった。


「帰ってきたの?」

「そう。地元に戻る仕事が決まって」


蒼の視線が、カウンターのサンダーソニアに留まった。

「この花、覚えてる?」

梨花は頷いた。

中学の卒業式の日、蒼がくれた花束に入っていたのがサンダーソニアだった。


「花言葉、調べたんだ。『望郷』って。あの時伝えたかったんだ。いつか必ず帰るって」


梨花の目が涙で滲む。

「待ってたよ。ずっと」


「実は占い師に見てもらったんだ。『大切な人のもとへ戻るタイミングは今』って言われて」


「占い、信じるの?」

「信じたかったんだ。戻る勇気が欲しくて」


店内は夕日でオレンジ色に染まっている。


「もう離れない。今度こそ、ずっとそばにいる」

梨花は微笑んだ。

「じゃあ約束ね」


花言葉占いは当たった。

望郷の花が、大切な人を連れ戻してくれた。


窓辺のサンダーソニアが、優しく揺れている。

占いは、希望を運ぶ風なのかもしれない。


「おかえりなさい」

「ただいま」


二人の新しい物語が、静かに始まった。

読んでいただきありがとうございます。

他にも短編を投稿しています。

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