第48話 決着
俺は邪教徒の進軍の前に立ちはだかった。
まずは。
「【供与】封印」
邪教徒達に封印を供与してやった。
これで相手は弱体化。
俺はパワーアップ。
俺のレベルは324になった。
もうほとんど超人と言って良いレベルだ。
だが、人質は縛られ首にナイフを突きつけられている。
戦闘なら、全員をいっぺんに相手しても俺は負けない。
だが、俺がこれ以上何かをすると人質は殺される。
「どうするんですの?」
「みんな何か良い案はないか?」
「性魔法が使えないとさすがに範囲攻撃はできないわ。それに範囲攻撃は人質を巻き込んでしまう」
冒険者として経験豊富なフラッチェも良い案はなしか。
「王城まで到達されたら、ブタキム様が人質もろとも殺すしかないかも知れませんわね」
「駄目よ、そんなことをしたら一生後悔する」
「ライラさん、理想論を言っているばあいじゃないわ」
「ですわね」
パンパンと音がする。
俺達は慌てて身を隠した。
着てて良かった防弾チョッキ。
何発かは当たってたからな。
地味に当たった所が痛い。
「【供与】、ダメージ」
近くの樹にダメージを供与する。
みんなもそれを真似してとりあえずは回復。
さあどうする。
封印の供与はまだ解けてない。
リードにやった時の感触では安定してたように思う。
モンスターと人間の違いかな。
「ピイー!」
この声はタール。
見るとタールが飛んできて、大きく息を吸い込んだ。
そして邪気のブレス。
邪気は邪神教徒にだけ取りついた。
ナイス。
形勢逆転だ。
「タール、後で餃子100人前食わせてやる」
「ピイ」
邪神教徒は全員のたうち回っている。
「やめろ。ジャスティスの仲間になんてことをするんだ。王政は打倒しないといけないんだ。それが正義なんだよ」
「リード、これがあなたの正義。無辜の民を人質にするのがそうなの」
「大事の前の小事だ」
「見損なったわ。もう二度と私に話し掛けないで」
「アクセサリーを受け取ってくれたのに」
「これはあなたからだったの。じゃあ返す」
ライラがブレスレットを投げ捨てた。
「何で」
「リード君、君が殺した人たちは善人だったんだよ。そしてその肉を君は食べた」
「えっ、コプラさん。嘘だ」
「そうみんな嘘だ。疑いたまえ。だが嘘でも許せないことがあるだろう」
「ブタキム殺す。あああああああああああああ」
リードに邪気が集まる。
「はははっ、良い感じだ。邪気が集まっている。ほら邪教幹部の誕生だ」
「あれは人の肉だったの?」
ライラが邪教幹部のコプラに話し掛ける。
「ただの痩せた豚の肉だよ。殺した人もみんな罪人さ。リード君は嘘を信じて、世界を恨み始めたみたいだけどね。ああ、邪神様、時が来たのですね。リード君、私の邪気を受け取りたまえ」
そうて言うとコプラは腐り果てて塵になった。
リードの邪気がますます濃くなる。
リードの体は塵になり、邪気が体になったようだ。
「邪気王万歳」
屋根の上で身を隠していた邪教徒の生き残りが声を上げる。
俺はな、邪気ならさんざん吸って来た。
リード、お前の邪気を受け止めてやるよ。
俺は邪気の塊に抱き付き、俺は邪気を吸い込み始めた。
体がはちきれそうだ。
この力をどこかに逃がさないと。
「邪気よ、国中の病気を起こすウイルスを殺せ」
邪気が国中に飛んで行く。
俺は邪気のもととなった恨みつらみを垣間見た。
だが、それがどうした。
他人の恨みなんぞ知らん。
国中のウイルスでも呪っておけ。
リードだった者は完全に消え失せた。
終わったな。
さあ、餃子パーティだ。
みんなで食えばニラとニンニクの匂いなんか気にしない。
「ネジル教徒よ。ギョーザを焼きまくれ。ただで提供してやれ」
「はい」
王都の人全員にギョーザが振る舞われた。
ウイルスが殺されたせいで病気が治った人が多数出た。
この日を奇跡の日認定して、ネジル教徒の祝日にするらしい。
来年からはこの日は餃子祭りの日になるんだろうな。
「ブタキム、本当に性格が反転したのね。身をていして世界を救うなんて見直したわ」
「やらないといけないと思ったんだよ。リードがああなった責任の一端は俺にある。ライラのことも責任とるよ。今までごめん」
「謝罪を受け入れるわ。性格が反転したのだから別人だと思わないと」
「それなんだけど。ブタキムの魂は消滅したんだ。いま入っているのは別人だ」
「あなた精霊憑きでしたの」
シャリアンヌの驚いた顔。
いや全員驚いている。
「悪魔憑きは聞いたことがあるけど、精霊憑きはないわ」
フラッチェと同意見だ。
ブタキムの記憶にもそんな言葉はない。
「シャリアンヌ、説明してくれ」
「悪魔憑きは狂暴残忍で、精霊憑きは理性的で善人ですわ。この国の初代王は精霊憑きですわね。あっ、これは王族の血を引く者しか知らない秘事でしたわね。ですが、各教会のお偉いさんも知っていますわ」
「誰が精霊憑きを認定するんだよ?」
「教会ですわ。ネジル教会に認定してもらえばよろしいのではないでしょうか」
「俺の今までの苦労は。いや、ネジル教会を作ってなかったら、精霊憑き認定はしてもらえなかっただろうから、これはこれで良いのか」
俺はネジル教祖にして精霊憑きの聖人になった。
性人かも知れないが。
だが、国中の病気を治した奇跡は各教会も無視できなかったらしい。
精霊憑き認定してくれた。
「よくやった。わらわの正しい教えを広めてくれてすまぬ」
神託を貰った。
ネジル教は正しい教えらしい。
邪神は邪気を浄化する神ってことだな。
口からでまかせだったのに。
邪気を良い事に使うというのはガス抜き何だろうな。
ガス抜きは必要だ。
ガス抜きしてほしい4人が待っている。
今日も騎士学園の寮の一角では嬌声と絶叫が響き渡る。




