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第38話 ワイバーン

Side:コラプ

 あの遠距離攻撃はなんだ。

 あんなの反則だ。

 ミスリルワームがスライムみたいにやられた。


 名剣でもかすり傷を付けるのが精いっぱいなはず。

 強力過ぎる。


 もうどんな敵も敵わないのではないかとさえ思える。

 恐らくドラゴンもやられるだろう。


 しっかりしろ。

 絶望してどうする。


 残った2本の指を眺める。

 もうこれだけの命か。

 いやまだやれる。


 最後の1本の時は、もう死ぬしかないから邪気をありったけつぎ込むのだ。

 たぶん強力な何かが出来上がるだろう。

 それがブタキムを殺し、災厄をまき散らすと思うと笑みが零れる。


 終末の世をこの目で見れないのが残念だが。

 弱気でどうする、チャンスは2回。

 次の何かで上手く行く知れない。


 相場では大金を儲けた。

 活動資金としては申し分ない。


「未来予知を」


 予言スキル持ちに俺は尋ねた。


「【予言】。窒息と強力な遠距離攻撃を避けるなら、空を飛ぶモンスターが良いでしょう。ワイバーンの群れをけしかけるのを推奨します。成功確率は50%です」


 半々か、悪くない。

 指を使わずとも、今回で方が付くかもしれないな


 ワイバーンの巣穴は、火山の中腹にあった。

 洞窟内は外に比べて暖かい。


 恐らく、火山の熱が温めているのだろう。


「やれ」


 小声で囁き、手で合図をした。

 黒い服装の邪神教徒達が、闇に紛れ、卵に近づく。

 そして、卵を抱えると走り出した。

 走る音もしないし、気配さえない。

 さすが腕利き暗殺者達。


 何人かはドジを踏んでワイバーンに食われたが、卵を3個運び出せた。

 斜面に張った、ロープに滑車を付けてぶら下がる。

 瞬く間に山を下ることができた。


 卵を馬車に載せて、全速力で飛ばす。

 日が昇るまでに、どれだけ距離が稼げるかの勝負だ。


 勝負には勝てた。

 王都までワイパーより先に到着できた、


 卵を王都のある区画に隠した。

 これでワイバーンの群れは卵を取り返そうと王都に進軍するはずだ。


 さすが50%を叩き出した策。

 今回はかなり自信がある。


 あの強力な遠距離攻撃をやってくるだろうから、進路上の開けた場所の近くに伏兵を置こう。

 嫌がらせ程度にはなるはずだ。


 伏兵には強力な遠距離攻撃魔道具と爆発魔道具を持たせた。

 まず爆発魔道具でパニックにさせる。

 そして状況が分からないうちに遠距離攻撃魔道具で仕留めるのだ。


 遠距離攻撃魔道具は、魔道具内で爆発を起こし、まん丸な形状の弾を発射するというものだ。

 条件さえ良ければ街の一区画向こうまで飛ぶ。


 この遠距離攻撃魔道具は邪神教の切り札。

 無理を言って数を用意させた。


 伏兵はだめかも知れないが、多少の消耗やダメージはあるはずだ。

 本命のワイバーンとやる時に隙ができれば良い。


 くっくっく、勝てるぞ、きっと勝てる。


Side:リード


 ライラが僕に冷たくなった。

 話し掛けても素っ気ない返事。

 だが、ライラが悩んでいるのを知っている。

 強くなりたいと友人に話しているのを聞いた。


「コプラさん、友人が強くなりたいと悩んでます。何か良い手はないですかね。僕も強くなりたいですし」

「モンスターを倒すのは良くないと言いましたよね」

「はい」

「ですが彼らの怒りに火を点けるために殺すのは良い事です」


「なぜですか?」

「些細なことで怒る者は悪人です。モンスターには善悪がないとも言いましたが、怒りは別のようですね」

「分かりました。モンスターを刺激してみます」


 ええと、オークの集落で子供のオークをいたぶるように殺す。

 さあ逃げるぞ怒りに任せて追いかけて来い。

 怒ったモンスターを殺しまくって、レベルを上げるぞ。


 予想を外れ、追いかけてくるオークの数が多い。


「コプラさん、失敗したようです。仲間達の人数では倒しきれません」

「構わないではないですか。どうせ死ぬのはモンスター狩りを生業としている奴らです」

「そうですね」


 ライラにもモンスターが来ると報せてある。

 撤退をライラに進言しておくべきか。


 いや、ライラが窮地に陥ったら、颯爽と助けよう。

 ライラの様子を密かに見守る。

 ライラ達は奮闘しているようだ。

 なかなか窮地に陥らないな。

 僕は石を拾うと投げた。

 投げた石はライラのパーティの盾職の頭に当たる。

 一瞬気がそれて、盾職の彼はオークの攻撃を受けそこなった。

 良いぞ。

 前衛が崩壊する。


「【性魔法】、魔力拳銃ですわ。オークがゴブリンより弱く感じます」

「【性魔法】、魔力拳銃。さあどんどんいくわよ」

「【性魔法】、魔力拳銃。これ楽しいです」


 オークが次々に死んでいく。

 くっ、ブタキムの女達が現れて台無しにされた。

 何でだよ。


 恰好つかないが、いま出るしかない。

 僕は、オークを背後から襲った。


「ライラ、助けに来たよ」

「助けてなんて言ってない」

「そんなことは言うなよ。危なかったじゃないか」


「何で知っているの?」

「ジャスティスの仲間が遠くからスキルでみて教えてくれたんだ」

「それで走ってきたのよね。何で息が上がってないの?」

「鍛えているからさ」


「最初からあなた達は胡散臭すぎる。何でモンスターが来ることを知ってたのよ」

「ジャスティスの情報網のおかげさ」

「そう」


 ライラが僕に疑惑の目を向けている。

 くそっ、モンスターをおびき出して退治は大いに結構じゃないか。

 冒険者だって、モンスターをおびき出して討伐している。

 でもそれを言い出せる雰囲気じゃない。


 助けてほしくないようだったし、ギリギリまで待ったのは別に構わないよな。

 盾職がミスしたのは集中力がないせいだ。

 気づかせてやったのだから、感謝してほしいぐらいだ。


 正義は理解されれづらい。

 今回の件でオークの集落がひとつ潰れたから良い事だろう。

 だよな。


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