表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/18

第14話 豚肉

Side:コラプ


 簡単な任務だったはずだ。

 クズ男ブタキムを邪竜に憑依させ、世界を破滅させる。


 未来予知を持っていた信者の予言ではそうなるはずだった。

 憑依は上手く行っていた。


 ブタキムの魂が邪竜に入ったのを確認している。

 だが魂のないブタキムの体が動いて、邪竜を葬り去った。

 善神の魂でもブタキムの体に入ったか。

 そうでなければ説明が付かない。


 忌々しいことに、邪竜世界破滅計画はブタキムを強化しただけで終わった。

 ブタキムはクズ男だが、モンスター被害を食い止めていたのも事実。

 それを葬り去って世界を滅ぼせたのに。


 今のブタキムが何なのか分からないが、強化されれば、さらに世界は良い方向に向かう。

 ブタキムの体に入った魂は神ではないようだ。

 だが油断はできない。


 なんとか、レベルだけは封印させたものの、それでも元の強さより強いかも知れない。

 そして、ブタキムはあろうことか新邪神教を作って、邪神教の信者を奪い始めた。


 新邪神教の教義は邪神教とは真逆だ。

 善行を成せだと、笑わせる。

 そんなことで邪神様が喜ぶわけがない。


 ペテン師の匂いがする。

 邪気は偽物に違いない。


 偽物の邪気だと思っていたブタキムの邪気は本物だった。

 ペテン師などではなかった。


 なぜ邪神様はあんな男に莫大な邪気を与えて、新邪神教の信者にはもれなく邪気を与えるのだ。

 残った指は5本。

 体にも腐りが始まった。

 残りの5本の指が腐り落ちると、たぶん命はないだろう。


 邪神様のみもとへ行けると思うと喜びで体が震える。


「未来予知を」

「【予言】。ラージアントに邪気を与えると、ブタキムが倒せるようです。前にも言いましたが外れることもあります。完全に未来が分かるのは神だけですから」


 ラージアントの女王に邪気を植え付ければ、勝手に邪気に染まった働き蟻を産むだろう。

 邪気のモンスター軍団にブタキムがどう対処するかが見ものだ。


 ラージアントの巣に侵入する。

 邪気で認識を捻じ曲げれば、働き蟻は俺には見向きもしない。

 女王蟻に辿り着いて、邪気で染めるのにまた指を1本失った。

 残り4本。


 だが惜しくはない。


Side:リード


「コプラさん、体調が悪そうですよ。大丈夫ですか?」

「リード君、生まれつきの持病でね。体が腐っていくんだ。なに、正義を成すには犠牲はつきものだ。私の命で正義が成せるのなら問題ない」

「何でモンスターを強化して襲わせるのですか?」

「君はモンスターについてどう考えるね。彼らも言葉を話す生き物なのだよ。人間と変わりない」

「モンスターを殺すのは悪なのですか?」

「そうだ。悪だ。その悪を行っているブタキムは倒さねばならない宿敵だ」


 ブタキムが悪なのは僕が良く知っている。

 モンスターを殺すのは悪か。

 たしかにゴブリンも言葉を喋っている。

 僕には意味は分からないけど、彼ら同士では通じ合っている。


 待ってろブタキム。

 君の顔が情けなさや、不甲斐なさ、敗北感でぐしゃぐしゃにいずれなるだろう。

 その時を思うと股間が熱くなる。


「もっと封印を強化できないんですか。ブタキムのレベルは封印しましたけど、攻撃力と防御力が落ちた以外はピンピンしてます」

「すまない。精一杯やってあれなんだ」

「封印、強化アイテムはもう貰えないんですね」

「そうだな。すまない」


「いいえ、貴重な物をありがとうございます」

「リード君、人間は悪人が多いと思わないか」


「はいそう思います」

「リード君から怒りを感じるね。君の怒りを晴らしてあげよう」


 そう言われて案内されたのは地下室だ。

 牢があって、人間が入っている。


「出してくれ。何で捕まえる」


「リード君、耳を貸したらいけないよ。彼らは殺されても仕方ない重罪人なんだ」

「嘘だ。俺は真っ当な人間だ」


「ほら簡単に嘘をつくだろう」

「はい」


「彼らを殺したまえ」

「分かりました」

「やめろ。呪ってやる」


「ほら正体を現しただろう。善良な人間が呪うわけない」

「そうですね」


 僕は剣を抜くと、牢に入っている人間を刺した。

 正義を執行してやったぞ。

 ざまぁみろ。


 あの顔と言ったら。

 股間がたぎっている。

 正義を成すことはなんて素晴らしいんだ。

 この快感に代わるものなどない。


「気にいってくれたかい」

「ええ、ありがとうございます」

「こっちこそ、ありがとうだ。ゴミがひとつ減った」


 地下室から戻って、用意されている血の滴るステーキを食べる。

 あの刺した感触が戻ってくるようだ。

 じつに美味い。


 なんの肉だろう。

 食べたことのない肉だ。

 狼かな。

 きっと極悪な動物の肉だろう。

 正義に殺されるような。


「何の肉ですか?」

「ゴミとも言える豚だよ。育ちが悪いのであまり美味しくないが」


 コプラさんも美味しそうに食べている。

 問題ないはずだ。


「そうですか」


 最近、ライラが冷たい。

 もしかしてブタキムの元へ戻ろうとしているんじゃないかな。

 もしそうなら、もはや悪人だな。


 僕は何を考えたんだ。

 ライラを刺したりできるはずない。


 ライラが裏切ったりするものか。

 そんなことは天地がひっくり返ってもありえない。


 そうだライラに正義の素晴らしさを語ろう。

 きっとライラも気に入るはずだ。

 とりあえず今日の土産話は極悪人を殺した話だな。


 また機会があれば極悪人を殺そう。

 あれは良いものだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
…………あかんな。性癖そのものが歪んだらもはや手を打ちようが無い。己の快楽の為に行動を起こすのも時間の問題だな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ