第10話 ネジル教
新邪神教の教祖としては邪神教の信者の話が聞きたい。
乗っ取るのは確定だが、敵を良く知る必要がある。
邪神教の信者ってどこにいるんだ。
情報屋をあたるべきか。
歩いていたら、邪気の気配のする女に会った。
「お前、邪神教だな」
「なぜそれを」
逃げそうになったので魔力をロープの様に伸ばして拘束する。
「ちょっと話を聞くだけだ」
「今すぐ放しなさい」
俺は手から邪気を出して見せてやった。
「これが何か分かるだろう」
「新しい幹部の方ですか。失礼しました。何なりとお申し付け下さい」
邪気を出せるのは幹部なのか。
となるとディータも新邪神教の幹部になるのかな。
まあ別に良い。
信者を連れ込み宿に連れて行く。
「お客さん、やるね。3Pかい」
「そんなところだ」
部屋に入るとディータが脱ぎだす。
それを見て信者の女性も脱ぎ始める。
「ディータ、ちょっと待て。信者のお前もだ。ここは密談するために入った」
「てっきり体を使った密談だと思いました」
「悪事を働くと高ぶる方もいらっしゃるので。失礼しました」
「まず、最初に言っておく。俺は新邪神教の教祖だ」
「分派ができたのですね。本家に見つかれば戦いになるのではないですか」
「それを望んでる」
「なるほど、私に話してしまって良かったのですか」
「ああ、宣戦布告しないといけないからな。遅かれ早かれだ。ここで相談だ。新邪神教に入れば幹部の地位を約束しよう。どうだ?」
「邪気を授かれるのですか?」
「ディータ、見せてやれ」
ディータが手から邪気を出す。
「分かりました。邪気を授かれるのなら」
新邪神教の邪気を減らして邪神の負担を軽くしてやるという教義を話した。
「ふわ、教義に同意したら、邪気が。あれっ、聖痛も聖傷もありませんね」
「それは何だ」
「幹部の方々は、邪気を宿す副作用で、絶え間ない痛みと体の腐敗が起こります」
ふへっ、邪気ってそんなに危ない物だったのか。
「ディータは痛みとかないのか?」
「ございません」
これは良い傾向だ。
副作用があるよりない方が良いに決まっている。
新邪神教の方が優れていると宣伝できる。
それから、信者の女に連れられて、邪神教のアジトに乗り込んだ。
そこにいた人間は全て、新邪神教に改宗した。
改宗したものは全員が邪気を身に宿した。
邪気ってそんなに尊いのか。
信者はありがたがっているけど、腐敗の力ってだけのような気がする。
「邪気って何に使えるんだ?」
聞いてみた。
「腐敗や弱体化、力を捻じ曲げたりできますね。モンスターの強化も出来ます」
腐敗だけあれば良いや。
「お前ら、酒蔵と醤油屋をやれ。それと奉仕活動しろよ。善行が新邪神教の教義だからな」
「はい」
「それと邪神教の信者をドンドン連れて来い。改宗してやろう」
「かしこまりました」
新邪神教教義。
先祖は敬うべし。
善行は率先してやれ。
悩んでいる人には手を差し伸べよ。
この三カ条しかないがまあ良いな。
邪神教の信者ではない普通の人が連れて来られた。
「憎い。彼を奪ったあの女を刺してやりたい。邪気を賜ったら腐らせてやる」
「悪行はタブーなんだがな」
「早く力を寄越せ」
頭に手を置いて儀式した。
「あがが、痛い」
「負の感情を抑えるんだ。楽しい事を考えろ」
「ふぅふぅ、くそっ、騙された」
「この人に楽しいことを教えてやれ」
「はい教祖様」
かなりいった女が他の信者に連れられて行った。
「家族が死んで悲しくてもう死にそうです」
頭に手を置いて信者にすると念じる。
「ああ、心地いい痛みだ。これでやっと死ねる」
「他の信者は家族だ。お前にはもう家族がいる。死ぬことなど考えるな。楽しいことを教えてやれ」
「はい、教祖様」
恨みに凝り固まった奴は大体改心した。
痛みに耐えられないらしい。
問題は死にたがっている奴。
俺の信者はえげつない。
セックスでも何でも使う。
そして、子供ができてないのに子供ができたと嘘を言って、死ぬのを諦めさせたりする。
おいおい、そこまでするかよと思わないでもない。
死にたがっている奴の治療法を発見した。
邪気で正常な思考を捻じ曲げるのだ。
楽しい夢を見せるのだ。
もうここまで来ると、新邪神教は元の邪神教とそんなに変わりがないな。
違うのは一般人に迷惑を掛けてないところか。
俺は自分を善だとは言わない。
灰色だと思う、かなり濃い灰色。
生きていくにはそれぐらいが良い。
「すまないね。家の前を掃除して貰って」
「エヌイージーアール(neo evil god religion)、略してネジルの教義は善行ですから」
表に出す名前はネジル教。
新邪神教の名前は秘されている。
俺の信者は信心深いというか、寄付をかなりしてくる。
だから、俺は今、裕福だ。
「あっ、偽善のお兄さん」
前に金貨をばら撒いてやった浮浪児が寄ってきた。
「おう、お前らネジルの信者になるか」
「なる」
「悪さができなくなるぞ」
「今までも悪さなんかしてない」
頭に手を置いて浮浪児達を信者にしてやった。
大半は酒蔵と醤油屋で働いた。
残りは、他の街の浮浪児を助けたいと言って旅に出た。
「お久しぶりです」
ええと、見た事ある顔。
誰だったっけな。
ディータに聞こうとして思い出した。
解放した奴隷のひとりだ。
「元気にやっているか」
「ネジルの信者にして下さい」
いきなりだな。
酒蔵と醤油屋は儲かっている。
一瞬で酒や、醤油ができ上がるのだからな。
「構わないぞ」
解放した奴隷の全員が信者になった。
信者がどんどん増えていく。
邪神教の信者も続々とやってきた。
そろそろ、邪神教と戦争かな。




