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第84話『ダイイングメッセージ』

俺とマルクは今、自分と同じ学年のクラスを一つ一つ歩いていた。

何だか誰もいない教室…あの夢を思い出すな。


「普段ってこういうところは入れないよな」

「そうですよね、普段は他クラスの生徒は立ち入りを禁止していますし、何だか新鮮な気分です」


そんなことを会話していると、俺たちの教室が見えた。

今何かちらりと人影が見えたような気がしたが恐らく気のせいだろう。


そんな中、教室に入る前に俺の鼻に鉄分みたいな匂いが通る。


「なんかこの辺り臭くないか?」

「お兄様?そんな匂いしますか?」


マルクは気付いていないようだが、匂いはかなり強烈だ。

そうだな、例えるとするならば…化学薬品をぶちまけた時みたいな?


俺たちが部屋の中に入ると、血まみれのまま倒れているラインハルトを見つけた。


「ラインハルトさん!?」

「は、ハルト…?」


俺は包丁が刺さっているラインハルトよりも先に、近くの床に名前が刻まれていることを確認した。


「…マルク?」

「ぼ、僕じゃないです!それよりもラインハルトさんが」


と俺は、血を流し続けているラインハルトを見る。

…おかしいな、ラインハルトは床にマルクという字を書いているのだが、血が今も流れていることを考えるとそうも言いにくい。


「…このダイイングメッセージは嘘だな、取りあえずマルク、傷口をふさいでやってくれ」


マルクは俺の言うとおりにラインハルトの傷口を塞ぐ。血は止まったが、出血量がすごかったために応急処置を行わなければならなかった。


「…マルクがもし、早めにラインハルトを刺したとする」

「さ、刺してませんよ!」

「仮の話だ。もしそうなると、血は止まるか乾くかのどっちかになるだろう?うちの学校って上級生のクラスとかなり離れているだろ?だとするとマルクが犯人だというのは考えにくいってわけだ。」


と俺がマルクの無実を証明すると、どこからか赤髪の…マルクに似た男性が血の付いた包丁を持って俺っ体の教室に入ってきた。


「いやぁ、お父様の言うとおりにやっても失敗しちゃうときがあるんだねぇ…」


と、かなり呑気に入ってきた。呑気さだったらアウリスと一位二位を争えるレベルかもしれない。


「いやぁマルク、探したよ。お父様の言うことを聞かなきゃダメじゃないか。僕はね、マルクのお兄ちゃんだよ?」

「何言ってんだ、俺がマルクの兄だ」


と、何故か倒れたラインハルト、状況が把握しきれていないマルク、新たなライバル出現のアウリス、自称兄貴の謎人間という謎の構図ができてしまった。

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