第79話『たまたま』
俺は早速、今日見た夢のことをマルクに話した。
するとマルクは少し考えてこういった。
「…僕と一緒に寝ますか?」
「うん、マルクに相談する内容じゃなかったな」
相変わらずマルクはマルクで安心したぜ。
すると、急に揺れを感じた。
「な、なんですかこの揺れは!」
「...今すぐしゃがめ!手で頭を抱えるんだ!」
「わ、分かりましたお兄様!」
と、マルクと一緒にしゃがみ、手で頭を抱える。
周りの生徒はがぜんパニック状態だった。
「おいそこ!壁にもたれかかるな!あっちはガラスが近くにあるから出来るだけ真ん中に寄れ!」
俺は前世では地震大国の日本に在住してたから、こういう知識は嫌というほど叩き込まれたぜ!
みんな「あいつの言うことなんて…」と言いながら俺の言うことに従う。
しばらくすると揺れは収まった。
収まったことを確認すると、みんな安心した。
「…お兄様はよくこういうことを知っていましたね」
「ま、まぁ…」
やべぇ、言い訳が思いつかねぇ…
「…たまたま知っていただけだ」
やっべぇ、馬鹿不自然だ。
でもこういうのが一番いいのか?
「やはりお兄様は凄いです!」
まぁマルクは納得していたようだしよかったよかった。
ちなみにラインハルトはトイレに閉じ込められていた。
________
今日俺は一つのことに気付いた。
(…今更ながら娯楽がない!)
そう、子供の時にみんなやっていたであろう将棋とか、オセロとか、そういったものが普通にこの世界で売られていないんだ!
「…やべぇ、こういうときが一番暇なのに」
俺がそう思っていると、俺の部屋にマルクがやってきた。
「お兄様、今何やっているのですか?」
「今は何もやってないぞ?」
「そうですか…」
とマルクがどこかに行ってしまいそうになった時、俺は一つの案を思いついた。
「…いや待て、ちょっと手伝ってほしいことがある」
「は、はい!なんでしょうか」
ちょっとけなげだなぁと思いつつも、俺は小さい丸板と木の板を取り出し、白と黒の絵の具を準備した。
「マルク、この後時間あるな?」
「はい!お兄様のために予定を開けています!」
「そ、そこまではしなくていいんだぞ?」
そう思いつつ、マルクに絵具と丸板を渡す。
「それを白と黒、裏と表にそれぞれ書くといい。表と裏…みたいな?」
「わ、分かりました!」
俺は木の板を取り出し溝を掘る。
そしたら分かりやすいように色も付けておく。
マルクの方は...大丈夫そうか。
ちょっと時間はかかったが、何とか物を完成させた。
「…これは何ですか?」
「これはな、オセロっていうやつだ。白と黒で別れて、白と白でこうやって挟んだとするだろ?そしたら黒のやつを白のやつにすることができるんだ。数が多かった方が勝ちっていうボードゲームだ」
「ボード…ゲーム?とにかく面白そうですね!」
「一回やるか」
俺たちは早速準備をして、ゲームを始める。
ちなみに…マルクが全勝負勝った。
俺の方が…経験あるのに…
ちなみにこのゲームを校長のもとに持っていったら、学校で販売されることになった。