第72話『あいつ変だな』
俺は教室を掃除し終えて、道具などをロッカーにしまい込む。
こういうところは前世と同じなんだな。
「…これで終わりだな」
俺は誰もいなくなった教室の中、そう呟いていた。
すると、教室の扉に影があった。
「誰かいるのか?」
俺はそこにいた人物に話しかけると、ヴォルティオールのようだった。
「アウリス様は、なぜ教室掃除を…?」
「サボって廊下を歩いていたのがバレてしまってな」
「そういえばいなかったですもんね」
と俺は会話をしているのだが、あの時に回収したかけらが反応している。
何かに強く反発しているようだった。
だが安心してほしい!俺は何のことだか分かってない(矛盾)!
…安心って何だっけ
「まぁ、もう終わったし、ヴォルティオールは帰ってもらって構わないぞ?」
「いえいえ、アウリス様と一緒に行きたい場所がございまして…」
とヴォルティオールが俺に近づこうとしてきたその瞬間、またしてもかけらが強く反応し、今度は俺とヴォルティオールを強く引きはがした。
「な、なんですか今の力は」
「さ、さぁ、俺にもわからないぞ?」
もちろん俺にも分からない。
「…そうなのか」
俺はヴォルティオールの言葉は良く聞こえなかったが、何かを喋っているのは分かった。
「…予定を思い出しましたので帰ります」
「お、おう、そうか」
今日のヴォルティオールはよく分かんないなあ。
そう思っているとヴォルティオールは、あっという間に教室からいなくなった。
「…あいついつも俺のことさん付けするのにな」
多分変だと感じたところはそれだけだろう。
そう思いながら、俺の部屋に戻った。
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ヴィルシスは、マルクの日記を読み終わった。
マルクはもちろん恥ずかしそうな顔をしているが、ヴィルシスはそうでもない。
(…前から思ってたけど、兄弟の距離感じゃない!どうして気付かないわけ!?どういう感情を抱いてるの!?)
ヴィルシスはマルクたちに言いたいことが山ほどあったのだが
「…勝手に日記読んでごめん、もっと考えて行動するわね」
ということしかできなかった。