第71話『僕の日記帳』
俺はあの後、30分間ものの間、廊下を散歩していたのだが、教師に見つかってしまい指導を受けてしまった。やっぱサボるのはいけないな。
というわけで、これから反省文!
と覚悟していたのに、セレナ嬢との一件のおかげで免除されることにはなった。
だが、一応の罰ということで掃除当番を任されることにはなった。
まだ懲りていないのか、周りの生徒からは
「普段の行いのせいだな」
「ざまあみろ」
という、心無い一言が飛び交う。
…ここSNSの世界ですか?
そう思えるくらいに、俺の評価は悪かった。
「お兄様、僕も手伝いますよ?」
「いや、俺は大丈夫だ。掃除だけで済んだのはマジでよかったからな」
「そう…なんですか。分かりました」
とマルクは俺のもとを去ろうとする。
「あぁ、ちょっと待ってくれ」
「お兄様?」
「まぁ一応、ヴィルシスと一緒にいろ、今は眠っているから、起きたら状況を説明しておいてくれ」
「分かりました…」
とマルクはヴィルシスと一緒に教室を後にした。
周りを見渡すと、俺だけが教室に取り残された状態だった。
「…はぁ、なんか学生に戻った気分だ。頑張らないとな!」
俺はただ一人、教室を精一杯掃除した。
________
僕は今、お兄様からヴィルシスさんと一緒にいるように指示されています。
現在僕は自分の部屋で課題をやっているところなのですが、あのお兄様の寝言を聞いただけで今でも恥ずかしくなります。
僕がそう思っていると、ヴィルシスさんも目を覚ましたようです。
「…はぁ、なんか寝た気がしないわね~。アウリス?今何時?」
どうやら、僕と一緒にいる事に気付いていないようですが、周りを見渡し、僕と目が合ったことでようやく気付いたそうです。
「…またアウリスが変なことしようとしてるの?」
はぁと言いながら僕の近くに駆け寄るヴィルシスさん。
「…アウリスからは何も聞いていないの?」
「僕はただ、一緒にいとけと言われたくらいで…」
「ふーん」
というと、ヴィルシスさんは竜の姿から人の姿になり、僕の本棚に置いてある本を取り出して読み始めた。
「へぇ、今こんな本が売ってるんだ。私一度も本読んだことないけど」
とヴィルシスさんが本を探していると、ひとつの本を取り出し始めた。
その本は日記帳だった。
「これマルクの日記帳?」
「そうだけど...」
「見てもいい?」
「えぇ?!」
僕は突然のことで驚いて、日記帳の中身は正直言って恥ずかしいものばかりだ。
否定しようと思ったのもつかの間、ヴィルシスさんは本を開いていた。