第68話『気持ち悪いな』
とある暗い部屋
「…デルクもやられたか」
不気味な雰囲気をまとう魂は、デルクと名乗る男の名前を挙げていた。
「アウリス…やはり奴か。しかも時間逆行を覚えてしまうとはな。私ですら使えるのかどうかわからない魔法だというのに…」
時間逆行という技は禁忌とされている。
この魂の男でさえ、この魔法の情報をつかめていないにもかかわらず、アウリスはこの技を大成させてしまった。
…アウリスはただ某アニメに影響されただけなのだが…この魂の男は何も知らない方がいいかもしれない。
「…まぁいいさ。この私、すべてを無に還す者が向かいましょう」
こうして魂の男は、一人の人間に乗り移り、動き始めた。
その男の名は、レイ。
まさしく、すべてを0に戻す存在だ。
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俺は机でふて寝して一夜を過ごしたため、体が痛い。
マルクはもうベッドを抜けているようだった。
ベッドを触ってみると、かすかなぬくもりを感じる。
さっきまでマルクがここで寝ていて…匂いは一体…
(…いやいや、何変態っぽくなってんだよ!気持ち悪いな!)
俺はそう思いながらベッドの匂いをかぐ。
そのベッドの匂いは...甘い匂いがして、少し汗臭さを感じる匂いだった。
(…気持ち悪いな、俺)
そう思ってしまっても俺は嗅ぐことをやめることはできなかった。
何だったら、忘れ物であろう上着の匂いも勿論嗅いだ。
ちなみに、この後の授業は遅刻してしまった。
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僕は朝、ベッドから目を覚ますと、椅子に座って寝ているお兄様がいました。
幼少期にも見たはずのお兄様の顔は、いつものかっこよさではなく、子供らしい顔をしていた。
そんなお兄様を見て、可愛いなと思っている自分がいた。
「…マルク~」
お兄様の寝言が聞こえた。
僕の名前を言っていたようですが…
「…やめてくれ、そ、そこだけはぁ」
一体どんな夢を見ているのでしょうか。
僕はそんな呑気なことを考えていたら
「………マルク、ど、どこを触ってるんだ」
僕の名前が出ていて、何やらよく分からない夢を見ているようです。
すると、お兄様の鼠径部が…とんでもないことになっていました。
「…お兄様、僕の名前で...///」
マルクは、すぐさまアウリスの見ていた夢を察して、恥ずかしさのあまり逃げ出してしまった。
だが、マルクは上着を忘れてしまったことに気付かなかった。