第6話『観光』
なんかカップリングしそうな予感
ある程度話が進んだあと、お父様が、
「こうやっているのもつまらないであろう、今日の話し合うことはこれで終わった、遊んでくると良い」
といって現金をくれた。値段とかそういうのわからないんだが…。まあつまらないというのは本当だった。こうやって貴族と関わると考えたらますますマルクに押し付けようと考えてしまう。まあそういう運命だけど。どうせだったらマルクと回ろう。
「マルクー、一緒に街を回らないか?」
流石に一人で回るのは寂しいし、護衛という役割もある。
「いいのですか、お兄様」
「お前は俺の護衛だろ?じゃあいける」
そうしてマルクと一緒にヴェーウェルの街を見て回った。
「これ美味しいですね、お兄様!」
「本当だな」
「服だったらこっちのほうが似合うんじゃないか?」
「そうですね…そうだ!お兄様に決めてもらいましょう!」
「いやいやいや、そういう服は自分で決めるもんだろ」
「そうですか?」
…待て待て待て、どうしてこうなっている。まるで俺達が恋人みたいじゃねぇか、あいつに関してはおそらく兄弟として楽しんでいるだけだろうが俺はちょっと意識しちまうぞ。しかも普通の男子だったらまだ良かったわ、こんな可愛らしい顔を持ったマルク、勘違いしちまう!
路地裏の方で何やら怪しそうなフードを被った男女がいる。
「…ぶははは、バカが、まさか俺達が関わっているとは夢にも思わねえってわけだ」
「ばか、そんな声出したらバレちゃうでしょ?」
「あぁ、すまねえ」
自分たちはとある組織に雇われて活動している。
「わたし、あなたのそういうところ、嫌いじゃないわ」
「あそこの、わかる?」
と、青髪の少年を指差す。
「わかるぜ、次期当主候補のアウリスだったっけな」
「あっているわ、隣の男はわからないけど」
「そうか」
「今は殺せないわね…でも、魔法も打てない子ども、今やってもいいんだけどね」
「今はやめたほうがいいだろ」
「そうね、ふふふ」
そう言いながら二人は影の方に消えていった。
「お兄様!早く早く!」
「ちょっと待ってくれ」
子犬みたいに走るマルク、剣ができても中身は子どもなんだなと実感する。
「ほらここです!」
「いい景色だな」
「ここの時計台、前に聞いたことがあるんです。【ここに訪れた想い人は必ず結ばれる】と」
子供じみた話だが、こんな絶景を想っている人と見られるのであれば確かに幸せものだなとは思った。
「じゃあ、俺は将来ここに連れてこようかな」
「…」
ありゃ、黙りこくっちゃった。
「まあ俺にそういう相手ができるかどうかは分からないけど、出来たらここに連れてこようかな」
「…ぜひそうしてあげてください」
マルクがそう笑顔で言うと、ちょっと破壊力があったのだ。かなりの美少年にスマイル、この方程式は必ず見るもの全てを看取れさせる能力があるのだと。
「…もう夜になってしまったな」
「楽しかったですね」
時間が立つのはあっという間だ
「またこういうところ、お前と来れるといいな」
「そうですね」
コツコツ
足音が聞こえたぞ、とりあえず
「完璧な立方体!」
どうだ!それっぽいものは出せたが…
「お兄様…どうしたのですか?」
「マルク…俺の下から離れるなよ!」
黒いローブを羽織った怪しい連中が出てきた。黒ずくめの組織か
「…なんで…魔法が使えるの?この子どもが…」
相手は驚いているようだ
「まて、相手はただのガキだ」
「…まあいいわ、私たちは任務を遂行するまでよ」
何だよこの怪しい連中は!なんでコイツら俺を狙ってんだよ!何より、押し付ける相手がいなくなったらどうするんだよ!!!
「許さねぇ」
「ん?聞こえなかったなぁ、今なんて?」
子供相手だからだろう、完全に舐め腐っている態度で聞き返していたが
「許さねぇッつってんだろ、お前らもろとも焼かれろ」
「やれるもんならやって…」
「燃やし尽くせ、神炎縮小」
冷たく言い放たれたその魔法は、ガタイのいい男に燃え盛るという形で放たれていた。
「あぢい!あぢいよぉ!」
「…」
男は耐え難い熱さに苦しんでいる。それを見て女の方は恐怖に支配されているようだった。
「なんで…なんで…こんなガキに…私達の任務が邪魔されるの?」
「つーか、てめぇも死ねよ」
「いや!やめ…」
「知るかよ、神炎縮小」
そうして燃やされた二人は灰になって死亡したのだった。
「お兄様…助けてくださりありがとうございます…魔法が使えたのですね」
「言ってなかったけどな、そうだ、秘密にしてくれない?」
冷静になった俺はマルクにこの事を秘密にしてほしいと頼んだ。流石にこの事がバレたら家族にも言いふらされそうで怖いし。
「…これは二人だけの秘密ってことになりますね、お兄様♡」
とマルクは笑いながら返事した。だが俺はそれどころではなかったのだ。
(…ヤバいなコレ、一気に力が…)
こうして俺はマルクにもたれかかるという形で倒れてしまった。
「お兄様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
マルクが声を上げていることを認識しながら…。
容赦ねぇ…俺もいつかやられそう…こっわ。