第61話『アウリス対デルク③』
(正直ヤバい)
俺はこれほどまでにない危機感を覚えていた。
だって…あいつ絶対覚醒したじゃん、髪色が黄色になるとかサ◯ヤ人かよ。
「お兄…様…」
マルクは心配そうにこちらを眺めている。
「…大丈夫だ。何とかなる」
と俺はマルクに伝えた。
「戦っているときによそ見とかいい度胸じゃねぇか!」
そう言うとデルクはアウリスをタコ殴りにし始めた。
一発二発…どんどん打撃が加わっていく。
「…そろそろ殴るのも飽きたな、どうせだったらここでトドメを…」
そういった瞬間、アウリスがデルクの腹を拳で貫通させる光景が目に広がった。
「…何故俺が…お前に…こうされているんだ…」
「…やり直し続けているのだとしたら?」
するとデルクは青ざめた顔をしながら倒れる
「…貴様、まさか…【時間逆行】を?!馬鹿な、この魔法は禁忌とされている魔法だぞ?!そんな魔法を簡単に…」
「できちゃうんです」
と笑顔でいう。少し遡ると…
「…そろそろ殴るのも飽きたな、どうせだったらここでトドメを…」
「…【時間逆行】」
この魔法が発動された瞬間、時が巻き戻された。
「…ふふっ、案外行けるもんだな。ジ◯ジ◯で時止めてたみたいに行けるかなぁと思ったがな」
俺は今時間を巻き戻している。範囲はほんの10分ほどまで。だがそれで良い。
すると景色はすぐに10分前に戻った。
「…貴様がアウリスだな、ようやく見つけたぞ」
よし、うまく戻ってこれたようだな。
俺は今この状況を確認して発言する。
「どうも、俺がそのアウリスです」
とにかく、俺は勝てるまでこの技を試そうと思う。
「…こんなものか」
「【時間逆行】」
こういう流れを何回も繰り返した。15回目くらいでようやく成功した。
そして今に至る。
「…貴様、どうして禁忌の魔法…を…」
禁忌の魔法だったかぁ…、知ったこっちゃねぇよ。
「そうだなぁ…守りたいものがあるから…だな」
俺が言うとデルクは笑いながら答えた。
「…フハハハ、アウリスは変わらなかったか、まぁいい、このまま死んでいくのもな」
「…お前死ぬの?」
「当たり前だろう…」
と突然の事実を聞かされた俺はちょいとパニックになっていた。
「…ちょっと聞いてほしいんだがよぉ、俺は元々強くなるために組織に入った。その組織の中でもトップに…強くなっちまって…俺と戦えるやつがいなくなっちまったわけよ…でも…最後に…お前と戦えて…良かった!」
とデルクは最後の方は泣きながら俺に言葉を紡いだ。
「…死ぬ前に…一言だな…あの組織を…潰してくれ!」
デルクは右腕を掲げる。NO.1創造のデルクは右腕を掲げながら息を引き取るという形になった。
「…人の死って言うのは案外残酷であっけないんだな」
「お兄様…」
一部始終をすべて見ていたマルクはこちらを見る。
「…一つ目標が出来てしまったな」
「そうですね」
すべて弟に押し付ける前に、まずは組織を潰すことを誓う俺なのであった。