第60話『アウリス対デルク②』
俺は変なやつに絡まれていた。
戦うことを快楽かと思っているバカ野郎に遭遇した。
「ふっ、アウリスよ、貴様は何故強くなれた」
面接?すごいこと聞くじゃん。
特に強くなりたいと思ってなったわけじゃないが…一つあるのは…
「…守る物が出来たからだな」
「守る者…そうか、それは大層な理由だな」
ふーん、大層か、言ってくれるじゃん。人の理由にケチつけるやつはろくな人間じゃねぇんだよ!
「…じゃ、そろそろ話も終わりにして、始めようじゃねぇか。戦いをよぉ」
「お兄様…」
「大丈夫、こんな不審者は俺に任せとけ」
とか言いつつ俺は思った。
揃いも揃って戦闘狂ばっかじゃねぇか、と
アルテンの町は暗黒に包まれていた。それはデルクの魔法によるものだった。
そのデルクとアウリスは戦っていた。
「完璧な立方体!!!」
とにかくアウリスは守りに徹することにした。
「ほう?守りに入るか、俺としては一発勝負っていうのもありだったが…長く戦い続けるのも悪くない」
…だからなんでこいつらは戦闘狂なんだよ!!!
俺はとにかく守りに入ることにした。だって俺は何もしていないんだもん。
とにかく俺はデルクを遠ざけたくて風を放った。
「…【台風】」
するとデルクは笑顔を浮かべてこちら近づいてきた。
「…フハハハ、いいぞ面白い!魔法を同時に使うとはなぁ…興味深いぜ!」
どうして戦闘狂はこうも戦闘方面に偏るんだ!!!
「いいか?魔法は普通のやつが放とうとすると一つの術式で精一杯になる。だがお前は無詠唱で立方体を創りながら台風を発動した。普通に考えればあり得ない状況だ。どうやってやった?」
とデルクが質問する。
「…いや、ただ頭の中で作っただけだが」
「いや、それは理論上不可能だ」
と俺が喋っているところを被せて喋ってくる。
「頭の中で作れる魔法陣の容量は決まっている。この容量は覆ることはない。だからこそ、頭の中で想像するのも限界がある」
「は、はぁ…」
俺は返答に戸惑っていた。だって出来たもんは出来たんだもん。
「お前の魔法の捻出の仕方はどこか他のやつとは違う…我流か?」
とデルクは何やら俺に質問をしてくる。
「…だが我流だとあそこまで綺麗な捻出は出来ない。謎は…深まるばかりだ」
ともはやデルクは戦うことを放棄している。考えることに集中してしまっている。
…チャンスじゃね?
俺はまたとない機会を見逃すはずはなかった。
「…とりま、【絶対零度】」
デルクの周りの空間は凍る…はずだった。
「貴様…まさかこのタイミングを狙うとはな…」
男の髪は黄色に変色しており、男の目は完全に目覚めていた。
「…俺をこの状態にまでさせたのは貴様が初めてだ小僧…」
と男はアウリスの眼の前に立つ。
「…まあいいさ、【身体強化】」
男は身体強化を唱える。
唱えた後にアウリスの腹を殴る。
「うぐぁッ」
アウリスは建物の壁に飛ばされる。
…いてぇなマジで!立ち上がれねぇ…だが立つしかねぇ…
アウリスは痛みに耐えながらなんとか立ち上がる。外傷は目立たないものの傷はかなりのものだろう。
「ほう?俺の打撃にも耐える…か。面白い」
面白い!と言うデルク。
(…正直ヤバい、何も思い浮かばねぇ…)
とかなり状況がまずいことを再確認したアウリスだった。