第4話『名案』
縁談を終わらすことのできた俺は今、マルクとともに訓練場に来ていた。
「まさかマルクが稽古に付き合ってほしいと言うとは思わなかったぞ」
「今の僕の実力を確認したかったからです、アウリス兄様」
「その…まあ良い戦いができるといいな」
そう、マルクから剣の稽古に付き合ってほしいと言われて今訓練場にいるのだ。マルクの剣の腕前は窓からちらりと覗いたことがあるのだが、一番と言われている兵士を圧倒するというほどの腕前だという。
「アウリス兄様…その、本当に全力で行ってもよいのでしょうか」
「構わない、マルクの実力も見たいが、何より、俺が剣をうまく扱えるのかどうかも見たいからな」
「…まあ兄様なら大丈夫だと思いますが…では行きます」
準備万端だということを伝えるとマルクは剣を天空に掲げ斬りかかる。
「斬空剣!」
おっと、これは剣を横にして守ればいいのだな。ちょっと簡単か?
「これを防ぐとは凄いですね兄様、結構自信があったのですが、これならどうですか?」
「地中斬」
地面から剣が出てくるのか、これは避けるしかなさそうだな。
「これも防ぐのですか、何故避けれているのです?」
前世で読んだラノベ本からですとは言えない。ラノベにそれっぽい技があったのを思い出したのだ。
「俺は、マルクの動きを読むことができると言ったら?」
「そんな事ができるのですか?」
俺は適当なことを呟いてしまった。だがまあ本人もすごく納得しがちな顔をしてるし…
「まあ本気にしなくてもいいさ」
俺はその一言で逃げてしまった。
「…これ以上兄様とやっても全部防がれそうな気がします、今日のところは終わりにしましょう」
「そうだな、俺もやりたいことがある」
「…今日は付き合ってくれてありがとうございます」
「俺も楽しかったぜ、ありがとな」
俺達はそう言いながらボロボロになった練習場を去った。
まじでどうしよう、あんなに面倒くさい貴族の仕事をどうすれば…そうだ!我ながら名案を思いついたぞ!今日はよくいい案が出てくるなぁ…。俺には弟がいる。ここまではわかるだろ?だから、その弟に面倒くさいこと全てを押し付けちまえばいいのよ。そうすれば面倒くさいことをやらず、そして目立たずに俺は自由に生きれるからな。そうと決まれば早速…
「アウリス、ちょっといいか?」
「何でしょうか、お父様」
「お主、外交は興味ないか?」
…は?
このとき俺は数秒フリーズした。
「外交ですか?」
ふざけるな、そんなことしたら目立っちまうじゃねえか。俺の目的からかけ離れるじゃねえか
…待て、これはチャンスかも知れない。
「そうですか…興味はありますが、それは、マルクも連れて行く事はできますか?」
そう、俺はマルクを公共の場に連れ出すことで注目の的にしようと考えた。パンダとかとおんなじ感じだ。
「マルクか?まあ別に構わないが…何故だ?」
「いえ、とにかくこのような機会を与えてくださりありがとうございます」
この外交で弟を持ち上げて弟を主役にする計画の始まりだ!