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第33話『エントリー』

朝目覚めていたらマルクが俺のベッドに侵入していたんだが…なんかラノベのタイトルみたいだな、こんなタイトル買わんわ。まず何故俺のベッドに侵入しているんだ?


ゴソゴソゴソ


「顔は整っているところがムカつくな…」


俺は布団に潜りマルクの顔をそれとなく…いやずっと見つめていた。見つめていても飽きない顔だった。


「…可愛く思えてきた、なんでだろ」


何か起きないマルクの顔を見ていたら恥ずかしく思えてきた。寝ているのに…。


「…寝すぎてしまいまし…お兄様?」

「起きた?」

「…近いです…お兄様///」


そうしてマルクは起きた。









「マルク、どうして俺のベッドにいたんだ?」


とりあえず俺はマルクがそこにいた理由を聞いた。


「少し寒かったので…」

「昨日は涼しい方だと思ったんだが…寒かったなら仕方な…くないな、自分のベッドに入ればよかった話だもんな」

「ごめんなさい…実を言うと…」




「…なるほど、寂しかったんだな」

「恥ずかしいです///」

「…そんなに寂しいなら、寂しくなくなるまで一緒に寝るか?」


我ながら何を言っているのか…まあ同性だからセーフ?


「お兄様が良いならお邪魔します…」


こうして俺は一緒に寝ることとなったのだ、マルクと。












かなりの人で埋め尽くされているその場所は、屈強な男たち・衣装を着ている女性・剣を持った男女など、様々な人がいた。そこは闘技場だったのだ。


「大きいな…」

「…僕達、あそこで戦うのですね」

「そう…だな」


国立競技場みたいなもんなのか?それとも中世ヨーロッパのコロシアム?まあでかいことは分かった。


「エントリーはここで合っていますか?」

「ここで合っています。お二人は闘技大会に参加されますか?」

「はい」

「ではあちらの方はあそこの会場に向かってください」

「ここでお別れだな」

「お兄様…会えると良いですね」


どうやらこの大会、選手専用の宿泊施設が用意されているらしく、オリンピックで言うのであれば選手村みたいなものだ。

この大会、一体どんなやつがいるのやら…。













「いい部屋だな」


俺はエントリーしたあと、荷物を置くために自分の部屋を確認していたところだ。設備がきれいに整っていた。どこぞの五輪じゃなくてよかったよ。


「…これは、薬?」


変な薬を発見した。何だこの形、すげえ形やな。


「…匂いは嫌だな、取り敢えず、匂いをごまかす的なやつで持っておくべきか」


会場でお漏らししてしまってもこれさえあれば大丈夫。














マルクは自分の部屋に到着すると落胆していた。アウリスの形をした人形を抱えながらベッドに横たわっていた。


(お兄様…早く会いたいです…)


大会のルール上、他の人の部屋に入ることは、双方の合意の上でも禁止されている。


「…そろそろ開会式ですかね」


そろそろ開会式が始まるので、マルク、そして参加者は闘技場に向かった。アウリス以外は…












「闘技場ってどこだ?」


アウリスは迷ってしまった。まさか闘技場までの行き方を覚えていなかったなんて


「誰かに聞けばいっか」


そうして曲がり道を曲がろうとしたら誰かの話し声が聞こえた


「…今日は誰が良い成績を上げるのでしょうねぇ」

「この大会の優勝者は()()()()()()()()()になるからなぁ」

「うちの娘が優勝するに決まっている!」


…嘘でしょ、国王に謁見?…いやいや、悩む必要はないんだ。そこそこの成績、覚えられることのない微妙な成績で終わればよいのだから…


「…君、そこで何やっているの?」

「あ、ちょうどよかった!」


良かったー、ようやく舞台に上がれるわー


「まさか、いたずらしようとしたわけじゃないよね」

「ちょっと待て、いたずらって…」

「計画を邪魔するものは許さない、君を抹殺させてもらおう」

「だから話を…」

超速瞬間斬(エクスブロム・ゼロ)


パリンッ


剣の折れる音がした。


「話を聞いて下さいって、本当に」


その男はとてつもなく驚いていた。














(何というガキだ…)


この俺、フライムは闘技場関係者に成りきって潜入していたのだ。俺達の計画はあともう少しで最終段階に進むところだ。立場としてはNO.3だ。だが俺こそがNO1だと思っている。当たり前だ、ヴァンパイアだぞ。そこら辺の奴等とは格が違う、そんな俺にも趣味はあるわけで剣を嗜んでいた。だから()()()()から教えてもらっていた。最近殺されたという話を聞いた。まあ歳で死んだだろうな。あの野郎を殺すということは相当の腕前だろう、俺ですら殺すのは困難だと言うのにな。

話はそれたが最終段階に入るところにガキが入り込んでいたんだ。すぐにやれると思っていたが、本能が告げている、”早く逃げろ”と。こんなことは初めてだ。


「話を聞けって、本当に」


もうやつが何を言っているのか聞こえない、俺の技を見きった上に無傷、強くないわけがない。俺の本能は、”逃げたほうがいい”と”今のうちに殺せ”の二択だった。


「…俺迷ってたんだけど、闘技場に行ける道知らない?」


…は?コイツ、迷っていただけか?そんな訳ない、こんな道、関係者くらいしか知らないぞ。俺でさえようやく迷わず行けるようになった道だぞ。だがこれはチャンスだ。ここでヤツを殺すチャンスだ。


「闘技場でしたら…あちらの道を真っすぐ行けば大丈夫ですよ」

「そうなんすか、ありがとうございます」


少しビビったがまあ大丈夫だ。ここで背後を…


サァァ

と後ろから斬りかかろうとしたが…


「なんで…俺が…」


俺が一瞬にして切られた。下半身と上半身、真っ二つだ。あのガキは完全に俺に背を向けていた。殺せるチャンスがあったのは俺の方だ。なのに…いやまて、あのガキは迷いもなく剣を引いていた。そうか、そういうことだったんだな、俺が…全部…()()()()()()()()()…。














変に嫌な気配がすると思って剣を振ったが、まさかの係員に剣が刺さってしまったようだ。


「やっちまった…」


俺は殺人罪に問われるだろうな…

そうして係員(フライム)は切られたあと、静かに消えていった。


「切ったあとに消えただと?これ…まさかモンスターだったのか?じゃあセーフだ!」


こっちが…合ってた!モンスター係員さん、ありがとうございました!


「開会式…楽しみだな、どんなやつがいるんだろう…」


そんなドキドキ…いやほぼワクワクが勝っているけど、闘技場での出来事、どうなっていくのやら…。

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