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第31話『あら、久しぶりね』

…おはようございます。昨日は寝れました。でも何でか心臓がドギマギして仕方ないんすわ。


「…おはようございます、お兄様」


とマルクは目をこすりながら挨拶をする。

何だこの可愛さ、小動物かよ…。




「お前たち起きたか!」

「起きたよ父さん」

「おはようございます、お父様」


朝だと言うのにかなり元気な父さん、母さんに似ているな。


「取り敢えずここから後6日は掛かるから覚悟しておいてくれ」

「…」

「…」


俺とマルクは黙りこくった。多分、疲れたからだな。寝たのに…。












〜6日後〜


「よーやく着いたー!」


グリムは活気付いていて、人々の話し声が聞こえてくる。


「じゃあマルクは俺に着いてきてくれ」

「分かりました、お父様」

「じゃあ俺はそこら辺にいるから終わったら声かけてくれ」

「分かりました」



 グリム、活気付きすぎじゃない?むっちゃ元気じゃん…








「…あの、アウリスさんですよね?」


聞いたことのある声がしてきたので振り返ると、少しピンクがかった髪をして、桃の匂いのするルルージュがそこに立っていた。


「…私のこと覚えていますか?」

「ルルージュ…だよな?」


間違っていたら嫌なので一応確認をする。


「…! 覚えてくださったのですね!ありがとうございます!」

「ちょっと落ち着いていただきたいのですが…」


ルルージュは興奮しているのか俺の言葉を聞いていない様子だった。

少し周りを確認した後ようやく冷静になったようで


「…ごめんなさい」

「大丈夫ですよ、久しぶりですもんね」


久しぶりに会う友達ってこんな感じなの?



















ルルージュはグリムに訪れていた。その理由はただ単なる一人旅だった。王都に訪れていたのも一人旅だった。一人旅が大好きなのだ。家庭環境については口出しはしないお約束。

ちなみにルルージュはアウリスと同い年なのである。そんな()()()()()()()()()()()()()()()。当の本人は気づいていないがあそこで出会えるとは思っていなかったルルージュが興奮したのは恋心を抱いていたからである。


(…アウリスさんは今日もかっこいいなぁ)

「そう言えば王都の方で何か大変な事があったって聞いたけど」

「そうなんですよ、私なんてかなりの人に襲われたんですからね!」


私がこうして文句を吐いても否定したり、茶化したりせずに聞いてくれる。


「それは災難でしたね」

「それにしても何故あんな事が分かったんですか?」

「…そう言うのを見た事があるから」


この人はどこまで自分の想像を超えてくるのだろうか、大災害を見てきて、それを判断してそれを自分に伝えたのだから。


「…すごいですね、そこまで判断できませんよ」

「そうですか…もう一つ聞きたい事があるんですけど、何故グリムに訪れたのですか?」


アウリスさんが自分にそう質問をしてきた。


「父親に世界を見るよう言われて…」

「もしかして…」

「一人旅みたいなものです」

「すごいですね。憧れます!」


一人旅をしてきてすごいと言われたことはこれまで一度もなかった。もちろん人生で一度もなかった。その中、こうして憧れるなんて言われたらもうこの言葉を忘れるわけなんかない。

なので私はいろんな意味を込めた言葉を言った。


「…ありがとうございます!」


この瞬間も忘れることは無さそうです。


「じゃあな、気をつけて」

「またどこかで会いましょう!」


今日は生きてきた中で一番楽しかったです。ありがとうございます、アウリスさん。

















ルルージュ、今日楽しそうで何よりだな。


「…お兄様…今の女性は誰ですか?」

「…マルク、これは…」


目からハイライトの消えたマルクはそう聞いてきた。


「色々と説明して欲しいのですがねぇ」

「…すみませんでした」


今日はマルクに一日中説教されたのでした。

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