第30話『グリム国』
俺たちは学校が直るまでは休暇となった。夏休みよりも長くなることが想定されるのか、新しい宿題も出された。
「何か新型ウイルス来たみたいで懐かしいな」
そう俺は部屋で呟いた。暑い夏が続くので部屋に氷を置いてみた。もちろん魔法だ。この風がかなり涼しく感じるんだ。
ガチャ
「お兄様、分からないところが…涼しいですね、もうずっとここに居ていいですか?」
「それはどっちとも困りそうだから無しで」
「…わからないところがあるのですが…」
と宿題を見せてくれた。結構基礎使えばできる問題だった。
「そこだったらこうしたら出来るぞ」
「本当ですね、でしたらここは…」
と言った感じに夏休みを過ごしている。最近エルルから物凄くこちらを見られる気がするのだが…。
そうして部屋で過ごしていると父さんがやってきて
「夏休みで暇しているだろう、グリムへ行ってみるのはどうだ?」
「グリム?」
「…グリム、あのグリムですか!」
「そうだ」
グリム?グリム童話の事か?
「詳しく教えてくれ、何なのかわからん」
「グリムのことを知らないのか!?」
「グリムと言うのは剣の特産地と言うべきでしょうか、戦い好きにとって、戦士にとってはうってつけの場なのです!」
「そ、そうか…」
なるほど、武器とかを買い足せとかなのか?
「ここのところ弛んでいるんじゃないか?」
「否定できない…」
確かにここのところは勉強をしたりしていたから運動はしていなかったな。
「この街は14歳以上は闘技場の出場権があるから、出てみるといい」
「お断りしようと…」
「勝つことができたら願いを叶えてやろう、1つだけな」
「やります、さっさとやりましょうお父様」
「お兄様、やる気ですね」
「こんなやる気の出し方は避けたかったのだがな…」
全くと呟きながら父さんは準備をしていた。
「……マルク、ちょっと近くないか?」
「馬車の中なので仕方ないですよ」
「父さんは別の馬車に乗っているからなぁ」
グレッグは「思春期だろう、俺はいない方がいいだろう!」と行ってくれた。気遣いのつもりだろうけど
「…いい匂いですね、お兄様♡」
「そうか」
「…ふふ♡」
そうして馬車に乗っている俺たちは順調に向かっていた。グリムまでは1週間掛かるらしい。
俺たちはテントを建設していた。
「…よーし、出来たー!」
「お前のテントは良いなぁ、マルクはどうだ?」
「…すいません、こうなっちゃいました…」
マルクの建てたテントはぐちゃぐちゃになっていた。お世辞にも上手いとは言えなかった。
「…マルク、俺んとこ来るか?」
「良いのですか?」
「じゃあどうやって寝るんだ」
「…今日は寝かせませんよ♡」
「勘弁してくれ」
「仲が良いようで何よりだ!ガッハッハッハ…」
父さんは大笑いした後、私とも仲良くしてくれてもいいだろうにと落ち込んでいるのを見た。
「…失礼します」
「どうぞ」
マルクが俺のテントの中に入ってきた。テントは2人入ってギリギリだった。
「少し狭いな」
「ですね」
実を言うとマジで狭い。本当に。
「…マルク、寝かせないつもりなんじゃないのか?」
「…zzz」
「お前が先寝るんかい!」
まさかマルクが先に寝るとは思わなかったが、少しトイレを済ませた後
「こうして見るとマルクって可愛いんだな」
本人が寝ているのを良いことにスッと発言。次々と出てくる
「髪の毛もサラサラで努力しているんだな」
マルクの髪の毛を触るとサラサラな髪の毛が手に伝わってくる。もう女性よりもサラサラな気がする。触ったことないけど
「…頬ふにふに」
本当にプルプルでスライムでも触っている感じだった。
「…こうやって、こうすれば」
あぐらをかいていた俺はマルクの頭を自分の膝に置くと
「初めての膝枕、俺が取ってやったぞ…虚しいな」
そう呟きながらマルクの頭を撫でる。
「猫を撫でている感覚だな、心地よい」
ジャー
「キレイだなぁ」
テントを開けるとキレイな月が俺たちのテントを照らしていた。それはもう俺たちのためのスポットライトと言っても良かった。
「マルク、見えるか?あれが月だ」
まあ寝ているけどな。俺得だぜ。
〜時は少し遡る〜
(少し寝てしまっていたようです。兄様は…)
「こうして見るとマルクって可愛いんだな」
(!!!)
まさかの発言、さらに…
(頭に手…撫で撫で?!)
マルクは混乱していた。まさかアウリスが自分の頭を撫でていたのだから…
「髪の毛もサラサラで努力しているんだな」
そう、自分は髪の毛の手入れは欠かさず行なっている。褒められるのは悪くない。
「…頬ふにふに」
(ついには頬を?!)
ついに頬をツンツンされ始めたので言い出そうと思ったのだが悪くない感覚なので言わないことにした。
頭を持ち上げられる感覚がする。
「…こうやって、こうすれば」
「初めての膝枕、俺が取ってやったぞ…虚しいな」
何と膝枕だ、確かに人に膝枕されたのはアウリスが初めてだった。
…まあ本音を言うならば虚しくはないしとても嬉しいし、とても心地よい。
「猫を撫でている感覚だな、心地よい」
また頭を撫でられる。個人的にはそれよりも十分やばい状況なので気にしていなかった。
そしたらアウリスがテントをあける音が聞こえ
「キレイだなぁ」
そうアウリスは呟いた。
(…キレイ)
「マルク、見えるか?あれが月だ」
(…見えます、あれが月なのですね、お兄様♡)
そうして寝るまでマルクはアウリスの膝の上の感覚を味わった。