第27話『NO.11対マルク』
「NO.11…?もしかして、あなた達は闇暗組織の幹部ですか?」
「間違っちゃいない…幸運の盃」
すぐに攻撃を始めた。
「ぐ…」
「運が良いな、まあ10%の可能性で即死だからな。インターバルもちゃんと存在する。もう3時間は…使えない、疾走の剱」
疾走の剱、そう言うだけはあってちゃんと早い…が、早すぎたのだ。
(早い!そして重い!)
一番最初の軌道は読めたものの、剣がおもすぎて対応が送れた。
上から下、左から右、様々な場所から剣が現れる。
駄目だ、対応できない、触るのでもう限界だ…。上、右、斜め下、様々な方法で剣がやってくる。
「…恐ろしいな」
剣がこだまし合う音が聞こえる。そして対応に遅れたのか剣が自分の腹に突き刺さった。
「貴様の実力もそこまでか」
「グハァ…」
息苦しい、呼吸ができない、と思うほどに傷がしみる。
「腹に入ってしまったな、致命傷にはなるまい」
マルクの腹に突き刺さった剣を抜いて言い放つ。
「我ら闇暗組織は不滅なり!」
それはマルクの敗北を改めて分からせるいい知らせとなった。
「時間に間に合わなくなってしまいそうだ、それにしても恐ろしいな」
時間…というのは集まるというのだろうか、さっきまで腹に剣の突き刺さっていたマルクは考えていた。
(見事なまでに…負けだったな)
自分自身、見事に敗北した。誰が見ても、敗北と言うには十分すぎるほどの負けだった。
(今あの男は移動しているな…自分にもう少し力があるのなら…)
「ここから少し時間のかかるところにヤツはいるのか、もう少し近くに」
ピュ〜、ヒュー
(何かの飛んでくる音?!)
後ろを振り返るよりも先に横からものすごいスピードで剣が飛んでくる。
「グァハァッ…貴様が…何故…」
NO.11は面食らった。何故なら、さっき倒したと思っていた少年が髪の毛が黒髪になり、覚醒状態だったのだ。
「こんなところで諦めてたまるものですか!」
「…そんなこと言っちまって、いいか!この俺を倒すことはできねぇ!何故なら…」
バビューン、NO.11の隣で風を切る音がした。頬には傷ができていた。
「…外してしまいましたか」
(早すぎる…さっきの少年とは大違いだ…)
「この俺の本気を出すしかないようだな!しかと見届けよ!轟け!地雷轟天!」
剣が地面に突き刺さるのと同時に地面が割れ始め
「そして、疾走の剱!」
「…!?」
同じ技を繰り出す、だがそれに片手で対応するマルク。だが男の持っていたもう一つの剣をマルクに当てる。
「…な?!」
「ようやくか」
サッと剣を振るとマルクは気絶した。
「峰打ちだ。許せ、少年」
「誰が許すかクソ野郎」
「誰だその声は!」
その声の正体は
「別に、出来損ないの弟の面倒を見るのは実に面倒くさいとな」
「…アウ…リス…だと…」
建物の屋根から見えたのはアウリスだった。
「俺のことを知っているのか」
「知っていると言ったら何だというのか」
「殺すまでだが?」
その時のアウリスは、転生者特有の鈍感さはまるで抜けていた。もはや主人公の風格さえもあったのだ。中身が入れ替わっていると言われても納得できた。そんな威厳があったのだ。
「ふ、ふざけるな!俺がどんだけ頑張ってNO.11の位置に定着できたか…」
「そんなこと知るか」
「…くそ!俺が何やったっていうんだよ!」
「決まっているだろ、俺の可愛い弟を傷つけた。それだけだ」
「…死んでたまるか!行くぞ俺の剣!」
パキッ
「折れ…」
「子どもに刃物をもたせるのは危ないって、勉強しなかったのか?」
「そんな…わけが…」
「取り敢えずお前には、死んでもらう」
「そんな…やめ…」
アウリスは、そんな事知ったことかと男を殴る。
「あとは、てめぇの好きな剣で刺してやるよ」
こうしてNO.11は死亡したのだった。